スタッフからのお知らせK会本郷教室
37件の新着情報があります。 1-10件を表示
★春期セミナーのお知らせ★
2025年3月23日 更新
みなさんこんにちは。K会事務局です!
今回は春期セミナーのお知らせです!
数学者たちの研究、さまざまな分野とその世界
講演者:尾高悠志(京都大学大学院理学研究科准教授)
■日時 4月12日(土)15:00~17:00
■対象 新中学1年生~新高校3年生とその保護者
■料金 1,000円(当日受付にてお支払いください)
■会場 河合塾本郷校
勉強の延長に学者の仕事や研究があると言うのは確かなのですが、どのようにつながっていて、またどのように違うのでしょう。
そんなことをまったく知らない算数好きの少年だった私が30年弱前に中学受験をし、中学入学前に初めてK会に顔を出した時は非常に良いショックを受けました。学問としての数学の研究の道に突き進んでいく若くて活発な大学院生の講師陣に、本格的な数学の世界を垣間見せていただきました。それは、テストや成績を意識して頑張る勉強と、学問の研究の差に気がついて、私が学問としての数学にのめり込んでいく大きなきっかけとなりました。そのような経験を経て、今は数学者として数学三昧の生活をしています。研究と探究が毎日楽しくてたまりません。国際共同研究のためによく海外にも参ります。
本セミナーでは算数や数学が大好きな若いみなさんに、同じく算数や数学が好きで、かつそれを職業として選んだ私自身の経験や考えを、具体的な数学の話と織り交ぜながらお伝えしたいと思います。具体的な数学の話の中では、みなさんが途中で取り組める問題もご用意し、なるべくわかりやすいように努めます。また、個人的な話にはなりますが、整数や素数の話など(整数論・そして類体論)にK会ではまっていた私が今なぜ空間や図形の曲がり方に関わる研究をしているのか、できればそんな話もしたいと思います。
少年だった私にとってK会が数学者を志すきっかけの一つであったように、本セミナーが数学好きな若いみなさんの肥やしになれば、大変嬉しく思います。
≪講演者プロフィール≫
K会OB。筑波大学附属駒場高等学校卒。在学時に国際数学オリンピックに3度出場。2001年アメリカ大会金メダル、2002年イギリス大会銀メダル、2003年日本大会銀メダルを獲得。その後東京大学へ進学。同大理学部数学科を経て京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻を修了。2016年から京都大学大学院理学研究科准教授。2020年に日本数学会賞春季賞と学術振興会賞を受賞。
★お申込・各種お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
★入塾・春期講習のお申し込みはWebから!★
お申し込みページへ
今回は春期セミナーのお知らせです!
数学者たちの研究、さまざまな分野とその世界
講演者:尾高悠志(京都大学大学院理学研究科准教授)
■日時 4月12日(土)15:00~17:00
■対象 新中学1年生~新高校3年生とその保護者
■料金 1,000円(当日受付にてお支払いください)
■会場 河合塾本郷校
勉強の延長に学者の仕事や研究があると言うのは確かなのですが、どのようにつながっていて、またどのように違うのでしょう。
そんなことをまったく知らない算数好きの少年だった私が30年弱前に中学受験をし、中学入学前に初めてK会に顔を出した時は非常に良いショックを受けました。学問としての数学の研究の道に突き進んでいく若くて活発な大学院生の講師陣に、本格的な数学の世界を垣間見せていただきました。それは、テストや成績を意識して頑張る勉強と、学問の研究の差に気がついて、私が学問としての数学にのめり込んでいく大きなきっかけとなりました。そのような経験を経て、今は数学者として数学三昧の生活をしています。研究と探究が毎日楽しくてたまりません。国際共同研究のためによく海外にも参ります。
本セミナーでは算数や数学が大好きな若いみなさんに、同じく算数や数学が好きで、かつそれを職業として選んだ私自身の経験や考えを、具体的な数学の話と織り交ぜながらお伝えしたいと思います。具体的な数学の話の中では、みなさんが途中で取り組める問題もご用意し、なるべくわかりやすいように努めます。また、個人的な話にはなりますが、整数や素数の話など(整数論・そして類体論)にK会ではまっていた私が今なぜ空間や図形の曲がり方に関わる研究をしているのか、できればそんな話もしたいと思います。
少年だった私にとってK会が数学者を志すきっかけの一つであったように、本セミナーが数学好きな若いみなさんの肥やしになれば、大変嬉しく思います。
≪講演者プロフィール≫
K会OB。筑波大学附属駒場高等学校卒。在学時に国際数学オリンピックに3度出場。2001年アメリカ大会金メダル、2002年イギリス大会銀メダル、2003年日本大会銀メダルを獲得。その後東京大学へ進学。同大理学部数学科を経て京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻を修了。2016年から京都大学大学院理学研究科准教授。2020年に日本数学会賞春季賞と学術振興会賞を受賞。
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日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
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★情報科学(IS1)コースカリキュラム説明会のお知らせ★
2025年3月19日 更新
みなさんこんにちは。K会事務局です!
情報科学(IS1)コースのカリキュラム説明会のお知らせです。
■日時 3月23日(日)15:00~16:30
■対象 プログラミング初学者の中学2年生~高校3年生の方
初学者向けのコースなので、PC操作に不慣れな方も、コードを書くプログラミングの経験が無い方も気軽にご参加下さい!
説明会ではK会についてや情報科学のコースのご案内を簡単に行い、1時間ほどプログラミングに触れていただく予定です。
Java言語をベースにした初学者にも扱いやすいProcessingという環境で、図形を書いたり、動かしたりすることを通してプログラミングとはどういうものなのかを体験していただきます。
これはプログラミングのほんの入り口にすぎませんが、「楽しい!」「面白い!」と感じていただけたのならぜひ本格的な学習を始めましょう!
K会のカリキュラムは、全くの初心者から始めて約2年でアプリをつくったり、自分の実現したいプログラムを書けるようになるように組まれています。
また、情報科学の理論もしっかり扱うため、変化の激しい情報技術に振り回されるのではなく、それに対応し使いこなす力を養います。
※IS1コース詳細・シラバスはこちらを参照
≪入会までの流れのイメージ≫
3月23日(日)カリキュラム説明会
↓
4月2日(水)~4月5日(土)17:30~20:40 春期講習「Pythonではじめるプログラミング入門」
IS1コースの一時学期はPythonというプログラミング言語を中心に学習が進みます。
春期講習で一度この言語に触れておくことで、今後の学習がスムーズに進みます
↓
4月16日(水)または4月17日(木)1学期初回授業
説明会や、春期講習を経ても入会に不安が残る方はぜひ初回の授業にお越しください。
授業を体験することができます!
学校が終わってから塾に間に合うか、部活が重ならないかなど、新学期が始まってみないとわからないことも多いはずです。
そのような心配事があるみなさんは、焦らずに初回の体験を通してから入塾を判断しましょう。
ご相談ごとはK会スタッフがいつでも承ります!
★説明会のお申込・各種お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
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情報科学(IS1)コースのカリキュラム説明会のお知らせです。
■日時 3月23日(日)15:00~16:30
■対象 プログラミング初学者の中学2年生~高校3年生の方
初学者向けのコースなので、PC操作に不慣れな方も、コードを書くプログラミングの経験が無い方も気軽にご参加下さい!
説明会ではK会についてや情報科学のコースのご案内を簡単に行い、1時間ほどプログラミングに触れていただく予定です。
Java言語をベースにした初学者にも扱いやすいProcessingという環境で、図形を書いたり、動かしたりすることを通してプログラミングとはどういうものなのかを体験していただきます。
これはプログラミングのほんの入り口にすぎませんが、「楽しい!」「面白い!」と感じていただけたのならぜひ本格的な学習を始めましょう!
K会のカリキュラムは、全くの初心者から始めて約2年でアプリをつくったり、自分の実現したいプログラムを書けるようになるように組まれています。
また、情報科学の理論もしっかり扱うため、変化の激しい情報技術に振り回されるのではなく、それに対応し使いこなす力を養います。
※IS1コース詳細・シラバスはこちらを参照
≪入会までの流れのイメージ≫
3月23日(日)カリキュラム説明会
↓
4月2日(水)~4月5日(土)17:30~20:40 春期講習「Pythonではじめるプログラミング入門」
IS1コースの一時学期はPythonというプログラミング言語を中心に学習が進みます。
春期講習で一度この言語に触れておくことで、今後の学習がスムーズに進みます
↓
4月16日(水)または4月17日(木)1学期初回授業
説明会や、春期講習を経ても入会に不安が残る方はぜひ初回の授業にお越しください。
授業を体験することができます!
学校が終わってから塾に間に合うか、部活が重ならないかなど、新学期が始まってみないとわからないことも多いはずです。
そのような心配事があるみなさんは、焦らずに初回の体験を通してから入塾を判断しましょう。
ご相談ごとはK会スタッフがいつでも承ります!
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K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
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★物理コースカリキュラム説明会のお知らせ★
2025年3月14日 更新
みなさんこんにちは。K会事務局です!
物理(P1)コースのカリキュラム説明会のお知らせです。
■日時 3月23日(日)14:00~15:30
■対象 中学数学を一通り理解している中高生の方
このコースは微積分の計算ができることが前提となります。
ただし、春期講習「物理学入門」で必要になる数学の知識をレクチャ-するため、現時点では中学数学を一通り理解できていれば問題ありません。
説明会では、K会で学ぶ「物理学」が中高で学ぶ物理の内容とどう違うのかなどを講師よりご案内します。
学問として学ぶ物理の魅力や、面白さを知って頂けると嬉しいです。
※P1コース詳細・シラバスはこちらを参照
≪入会までの流れのイメージ≫
3月23日(日)カリキュラム説明会
↓
3月28日(金)~3月31日(月)17:30~20:40 春期講習「物理学入門」
微積分の計算に不安がある方は、入塾前にこちらの講習をご受講下さい。1学期の授業をよりスムーズにご受講いただけます。
日程が合わない場合は、春休みに教科書や参考書等で微積分の計算についてご自身で学習をしておきましょう。
↓
4月16日(水)1学期初回授業
説明会や、春期講習を経ても入会に不安が残る方はぜひ初回の授業にお越しください。
授業を体験することができます!
学校が終わってから塾に間に合うか、部活が重ならないかなど、新学期が始まってみないとわからないことも多いはずです。
そのような心配事があるみなさんは、焦らずに初回の体験を通してから入塾を判断しましょう。
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K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
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物理(P1)コースのカリキュラム説明会のお知らせです。
■日時 3月23日(日)14:00~15:30
■対象 中学数学を一通り理解している中高生の方
このコースは微積分の計算ができることが前提となります。
ただし、春期講習「物理学入門」で必要になる数学の知識をレクチャ-するため、現時点では中学数学を一通り理解できていれば問題ありません。
説明会では、K会で学ぶ「物理学」が中高で学ぶ物理の内容とどう違うのかなどを講師よりご案内します。
学問として学ぶ物理の魅力や、面白さを知って頂けると嬉しいです。
※P1コース詳細・シラバスはこちらを参照
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3月23日(日)カリキュラム説明会
↓
3月28日(金)~3月31日(月)17:30~20:40 春期講習「物理学入門」
微積分の計算に不安がある方は、入塾前にこちらの講習をご受講下さい。1学期の授業をよりスムーズにご受講いただけます。
日程が合わない場合は、春休みに教科書や参考書等で微積分の計算についてご自身で学習をしておきましょう。
↓
4月16日(水)1学期初回授業
説明会や、春期講習を経ても入会に不安が残る方はぜひ初回の授業にお越しください。
授業を体験することができます!
学校が終わってから塾に間に合うか、部活が重ならないかなど、新学期が始まってみないとわからないことも多いはずです。
そのような心配事があるみなさんは、焦らずに初回の体験を通してから入塾を判断しましょう。
ご相談ごとはK会スタッフがいつでも承ります!
★説明会のお申込・各種お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
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★新中学1年生対象説明会・体験授業のお知らせ★
2025年3月11日 更新
みなさんこんにちは。K会事務局です!
新中学1年生対象の説明会&体験授業は今週末が最後です!
保護者様のみまたは生徒様のみのご参加も歓迎いたします。体験授業は1科目から選択が可能です。
説明会終了後、会場は控え室としてご利用いただけます。生徒様の授業が終わるまでの待機場所として、また、お昼をはさむ場合は食事室としてご利用下さい。
<体験授業の内容>
◆数学:合同式(mod)という割り算の余りに注目した等式を用いて、算数では扱いきれなかった大きな数の世界を見ていきます。
◆情報科学:プログラミングの基本を学び、簡単なアニメーションに挑戦します。コードを書く本格的なプログラミングがK会の特徴です。
予習は不要です。授業内でテストなどを課すこともありません。
数学が好き、プログラミングが好き、受験勉強とは違うアカデミックな学びに興味がある。
少しでもK会に興味をもって頂けましたら、ぜひ気軽にお越しください!
3月15日以降で入会を検討している方は個別相談や春期講習、1学期初回授業の見学をご利用下さい。
新中学2年生以上で入会を検討している方も同様です。
個別相談はお電話で希望の日時や受講科目をお伺いしたうえでお日にちを調整いたします。
お時間は一組につき30分から45分程度です。相談方式は対面またはZoomからお選びいただけます。
入会についてだけでなく、春期講習の受講相談なども承っておりますので、ぜひ気軽にご利用ください!
★お申込・お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
新中学1年生対象の説明会&体験授業は今週末が最後です!
日程 | 対象 | 説明会 | 数学体験授業 | 情報科学体験授業 |
---|---|---|---|---|
3月15日(土) | 保護者 | 13:00~14:30 | ||
3月15日(土) | 生徒 | 15:00~16:30 | 13:00~14:30 |
説明会終了後、会場は控え室としてご利用いただけます。生徒様の授業が終わるまでの待機場所として、また、お昼をはさむ場合は食事室としてご利用下さい。
<体験授業の内容>
◆数学:合同式(mod)という割り算の余りに注目した等式を用いて、算数では扱いきれなかった大きな数の世界を見ていきます。
◆情報科学:プログラミングの基本を学び、簡単なアニメーションに挑戦します。コードを書く本格的なプログラミングがK会の特徴です。
予習は不要です。授業内でテストなどを課すこともありません。
数学が好き、プログラミングが好き、受験勉強とは違うアカデミックな学びに興味がある。
少しでもK会に興味をもって頂けましたら、ぜひ気軽にお越しください!
3月15日以降で入会を検討している方は個別相談や春期講習、1学期初回授業の見学をご利用下さい。
新中学2年生以上で入会を検討している方も同様です。
個別相談はお電話で希望の日時や受講科目をお伺いしたうえでお日にちを調整いたします。
お時間は一組につき30分から45分程度です。相談方式は対面またはZoomからお選びいただけます。
入会についてだけでなく、春期講習の受講相談なども承っておりますので、ぜひ気軽にご利用ください!
★お申込・お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
━【「音楽から見る数学12」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━
2025年3月11日 更新
"
━【「音楽から見る数学12」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━★このコラムでは、数学と音楽の両方に魅せられてきた筆者が、数学と音楽の共通点を考える中で見えてくる数学の魅力について、筆者なりの言葉でお伝えしていきます★
― うねるリズム ―
こんにちは。元K会数学科講師の布施音人です。
今回は、あまり数学とは関係ない話題ですが、リズムについての話をしてみたいと思います。
みなさんは、「スウィング」というリズムについて聞いたことはあるでしょうか。いわゆるジャズでよく聴かれるリズムですね。
そして、和音や音階を作ることは、この12個からいくつかを選択することと言えます。例えば、ハ長調の長音階(英語では C major scale)は、C, D, E, F, G, A, B の7個を選んだものです。
よく言われる説明は、一拍(四分音符1個分)の中にある八分音符2個を、2:1の長さ、すなわち、三連符の2個分と1個分の長さとして演奏するというものです。ですが、この説明通りに演奏してみても、いまいちスウィングのリズムは出せないと思います。
まず、実際のスウィングは常に2:1の長さというわけではありません。一番分かりやすいのはとても速いテンポの場合で、スロー再生で聴いてみるとほとんど均等な長さ(1:1)に聞こえるものが多いと思います。スウィングの音価(音の長さ)の比は、その時のテンポや演奏者の感じ方によって大きく変化し、ほとんど均等なものから、4:3、3:2くらいの曖昧なもの、3:1に近いものまで、かなりの幅があります。
また、仮に音価がちょうど2:1であったとしても、それだけではスウィングのリズムにはなりません。2個の音をどのような表情で演奏するか、いわゆるアーティキュレーションも含めて、スウィングというリズムが形成されていると言えます。言葉での説明を少し試みると、2個目の音に少しアクセントを置き、2個目の音から次の1個目の音へ行くエネルギーを感じて、「ドゥーダドゥーダドゥーダドゥーダ」のように感じてみるとそれっぽくなってきます。
さらに、「レイドバック」という概念もあります。ここまでは、あくまで、1個目の八分音符は常に拍(四分音符を鳴らすタイミング)の上にあり、2個目の八分音符を拍と拍の間のどこに置くか(=音価の比をどうするか)、という観点で見てきましたが、実際には1個目の八分音符も拍より少し後ろに来たりするのです。こうなってくると、数値的に定義づけるのはかなり困難になってきます。
さて、スウィングについて言葉で説明しようとしてきましたが、泥沼に入り込んでしまいました。私が伝えたいことの一つ目は、このように言語化すること、数値化することの難しいリズムを、自然なものとして感じ、共有し、「ノる」ことができる人間の奥深さです。演奏している本人は、3:2にしようとかレイドバックしようとか余計なことは考えず、ただグルーヴに乗って八分音符を弾いているだけでスウィングのリズムが生まれるのだから、面白いことです。
ただ、もう一つ伝えたいことは、こういったリズムは、そのリズム感を共有しているコミュニティに属していない限り、体得は非常に難しいということ、そして、その体得を目指すに当たっては、一種の方便として、数値的な分析も役に立つだろうということです。実際私も、スウィングのリズムを勉強するため、スロー再生して音価の比を読み取り、自分で真似をするなどの作業をしていました。
世界にはジャズのスウィング以外にも様々なリズム、グルーヴが存在します。たとえば、サンバなどのブラジルの音楽では、16分音符4個が均等ではないようなリズムが聴けます。(シェイカーという楽器の鳴らす「シャカシャカ」というリズムに着目してみてください。「シャカシャカッシャカシャカッ」のように16分音符4個目の後ろに少し多めに空白が空いた感じになっていると思います。)また、クラシック音楽の領域にもこういった「訛った」リズムは多くあり、ポーランドの3拍子の民族舞踊の形式「マズルカ」なども、2拍目または3拍目にアクセントがありそこが少し間延びした感じの独特のリズム感を持っています。
ぜひ、みなさんもいろんな音楽の中に、均等ではないリズムを見つけてみてください。そこに、音楽を人間がやることの意味の一端が隠されていると思います。そして、かっこいいなと思うリズムがあれば、細かく分析して、真似して、体得を目指してみてください。
"
★春期講習のお知らせ★
2025年3月2日 更新
みなさんこんにちは。K会事務局です!
2月4日から春期講習の申込が始まりました!
現時点で締切となっている講座はございませんが、多くても最大20名までとしております。
興味のある講座がある方はなるべく早めにお席を確保しましょう!今回からWebでお申し込みいただけるようになり、24時間いつでもお申し込みを承っております。
講座のラインナップはこちらから
春期講習は様々な学問の入門講座を開講しています。
まず、ご紹介したいのはこの春に初開講となる天文学の講座です!
天文学を概観する~天文学オリンピックを通じて~
3月28日(金)~3月31日(月)10:00~13:10
講師は国際天文学・天体物理学オリンピック第16回ポーランド大会日本代表の早川さんです。
天文学オリンピックの問題を参照しながら、天文学とはどのような学問なのかを学んでいきます。
入門講座なので天文学についての知識や、オリンピックの出場経験の有無は問いません!
指数・対数の計算がでてくるので、まだ習っていない方は学校の教科書や参考書などで一度触れておくと学習がスムーズです。
第4回日本天文学オリンピック予選問題はこちら
以前から天文学に興味のある方はもちろん、予選問題を見て面白そうだなと思ってくださった方まで、幅広くご受講いただける講座です。
K会の講習を受講するのが、初めてという方も大歓迎です。K会で学問することを一緒に楽しみましょう!
講習のお申し込みはこちらから
★お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
2月4日から春期講習の申込が始まりました!
現時点で締切となっている講座はございませんが、多くても最大20名までとしております。
興味のある講座がある方はなるべく早めにお席を確保しましょう!今回からWebでお申し込みいただけるようになり、24時間いつでもお申し込みを承っております。
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春期講習は様々な学問の入門講座を開講しています。
まず、ご紹介したいのはこの春に初開講となる天文学の講座です!
天文学を概観する~天文学オリンピックを通じて~
3月28日(金)~3月31日(月)10:00~13:10
講師は国際天文学・天体物理学オリンピック第16回ポーランド大会日本代表の早川さんです。
天文学オリンピックの問題を参照しながら、天文学とはどのような学問なのかを学んでいきます。
入門講座なので天文学についての知識や、オリンピックの出場経験の有無は問いません!
指数・対数の計算がでてくるので、まだ習っていない方は学校の教科書や参考書などで一度触れておくと学習がスムーズです。
第4回日本天文学オリンピック予選問題はこちら
以前から天文学に興味のある方はもちろん、予選問題を見て面白そうだなと思ってくださった方まで、幅広くご受講いただける講座です。
K会の講習を受講するのが、初めてという方も大歓迎です。K会で学問することを一緒に楽しみましょう!
講習のお申し込みはこちらから
★お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
★新中学1年生対象説明会・体験授業のお知らせ★
2025年2月11日 更新
みなさんこんにちは。K会事務局です!
4月からのご入塾に向けてK会では説明会・体験授業・個別相談などを実施しております。
今回は新中学1年生とその保護者様を対象とした、無料の入会説明会および体験授業のご案内です。
新中学2年生以上の方はこちらへ
★新中学1年生対象説明会・体験授業★
保護者様のみまたは生徒様のみのご参加も歓迎いたします。体験授業は1科目から選択が可能です。
説明会終了後、会場は控え室としてご利用いただけます。生徒様の授業が終わるまでの待機場所として、また、お昼をはさむ場合は食事室としてご利用下さい。
<体験授業の内容>
◆数学:合同式(mod)という割り算の余りに注目した等式を用いて、算数では扱いきれなかった大きな数の世界を見ていきます。
◆情報科学:プログラミングの基本を学び、簡単なアニメーションに挑戦します。コードを書く本格的なプログラミングがK会の特徴です。
予習は不要です。授業内でテストなどを課すこともありません。
数学が好き、プログラミングが好き、受験勉強とは違うアカデミックな学びに興味がある。
少しでもK会に興味をもって頂けましたら、ぜひ気軽にお越しください!
★お申込・お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
4月からのご入塾に向けてK会では説明会・体験授業・個別相談などを実施しております。
今回は新中学1年生とその保護者様を対象とした、無料の入会説明会および体験授業のご案内です。
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★新中学1年生対象説明会・体験授業★
日程 | 対象 | 説明会 | 数学体験授業 | 情報科学体験授業 |
---|---|---|---|---|
2月16日(日) | 保護者 | 13:00~14:30 | ||
2月16日(日) | 生徒 | 13:00~14:30 | 15:00~16:30 | |
2月23日(日) | 保護者 | 10:00~11:30 | ||
2月23日(日) | 生徒 | 13:00~14:30 | 10:00~11:30 | |
3月2日(日) | 保護者 | 10:00~11:30 | ||
3月2日(日) | 生徒 | 10:00~11:30 | 13:00~14:30 | |
3月8日(土) | 保護者 | 13:00~14:30 | ||
3月8日(土) | 生徒 | 13:00~14:30 | 15:00~16:30 | |
3月9日(日) | 保護者 | 10:00~11:30 | ||
3月9日(日) | 生徒 | 13:00~14:30 | 10:00~11:30 | |
3月15日(土) | 保護者 | 13:00~14:30 | ||
3月15日(土) | 生徒 | 15:00~16:30 | 13:00~14:30 |
説明会終了後、会場は控え室としてご利用いただけます。生徒様の授業が終わるまでの待機場所として、また、お昼をはさむ場合は食事室としてご利用下さい。
<体験授業の内容>
◆数学:合同式(mod)という割り算の余りに注目した等式を用いて、算数では扱いきれなかった大きな数の世界を見ていきます。
◆情報科学:プログラミングの基本を学び、簡単なアニメーションに挑戦します。コードを書く本格的なプログラミングがK会の特徴です。
予習は不要です。授業内でテストなどを課すこともありません。
数学が好き、プログラミングが好き、受験勉強とは違うアカデミックな学びに興味がある。
少しでもK会に興味をもって頂けましたら、ぜひ気軽にお越しください!
★お申込・お問合せ★
K会事務局:03-3813-4581
日・月を除く13:00~19:00の間でお電話を受け付けております。
━【「現代数学の視座と眺望5」(元K会数学科講師:立原礼也) 】━
2025年2月5日 更新
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━【現代数学の視座と眺望№5 (K会元数学科講師:立原礼也) 】━★「現代数学」、つまり大雑把には「大学の数学科レベルの数学」は、中高で習う数学と地続きに繋がっていながらも、様々な面で、全く新しい考え方に基づくものでもあります。筆者が数学を専攻することに決めたのも、この新しくも自然な考え方の数々に魅了されてのことでした。このコラムでは、現代数学におけるものの見方=「視座」、そしてそれによるものの見え方=「眺望」の解説を通じ、現代数学の魅力の一端をお伝えしていきます★
ある整数問題と複素数、そして代数的整数論
読者の皆さん、こんにちは。
K会数学科元講師の立原礼也と申します。
前回の第4回が最終回となる予定でしたが、有難いことに、今年もこのコラムの連載を継続する運びとなりました。引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。
昨年、このコラムの初回は、複素数に関する話題から始まりました。その内容を要約すると、「複素数の体系は、「存在しない数」という感じがする虚数をも含む、いわば「空想的対象」であるにもかかわらず、実際使ってみると、驚くほど役に立つ。ほかにもそのような「大変役に立つ空想的対象」が現代数学にはたくさん登場する。」といったものでした。(なお、この話題から自然に生じる、「そのような空想的対象を、厳密性を担保しながら扱うために、数学者はどのような方法を採っているのか?」という問への解答が、このコラムの第2回の内容となったのでした。)一方、しかしながら、字数の関係もあり、そこでは「複素数が驚くほど役に立つ」という点について、きちんとした形で紹介することはできませんでした。そして、このことは、筆者にとってはちょっとした心残りとなっていました。
せっかく連載を継続することになったわけですから、まずはこの心残りを解消したいと筆者は考えました。「複素数が驚くほど役に立つ」ことにきちんと納得していただくには多数の具体例が必要であるように思われ、やはり現実的ではなさそうですが、代わりに、「複素数が驚くべき形で役に立つ」例を1つご紹介して、読者の想像力を刺激することくらいならできるかもしれません。幸いなことに、筆者の専門分野(?)である整数論にもそうした例が見られますので、第5回となる今回は,その話題を扱おうと思います。
複素数に関する詳細な解説は、このコラムの初回および第2回、あるいは高校数学の教科書などをご参照いただきたいのですが、ここでは次のことを思い出しておきましょう(よくご存知の方はこの段落を読み飛ばしてください)。複素数は、iと書かれる「2乗して-1になる数」を導入して、数の概念を実数よりも拡張したものです。個々の複素数は、実数a、bを用いてa+biと書かれます。b=0の場合を考えれば実数も複素数の一員となります。つまり7=7+0i、ルート2=(ルート2)+0iといった具合です。実数ではない複素数の例としては、i自身(つまり、0+1i)のほか、3+2i、3-2i、-5+9i、(ルート2)+1000i、(ルート7)-(円周率)i、などが挙げられます。
では、本題に入りましょう。つまり、整数論において複素数が活躍する場面の一例をご紹介しましょう。唐突ですが、次のような問題(A)を考えてみましょう。
(A):「pを素数とする。何らかの整数aとbを用いてp=(aの2乗)+(bの2乗)と表せるのは、どんなときだろうか?」
素数についてはのちほど解説しますが、例えば2、3、5、7、11、13、17などが素数です。2=1+1=(1の2乗)+(1の2乗)ですので2は問題の条件を満たしており、5=1+4=(1の2乗)+(2の2乗)ですので5も満たしています。13=4+9=(2の2乗)+(3の2乗)なので、13も満たしています。もう少し大きいところですと、97は素数であり、これは97=16+81=(4の2乗)+(9の2乗)と書けますので、条件を満たしています。これに対して、3、7、11や、大きいところですと87などは、素数ですが、決して(aの2乗)+(bの2乗)の形に書くことはできません(確かめてみてください)。この2、5、13、97のような例と3、7、11、87のような例の違いを端的に記述できるか?というのが(A)の問題の意味です。
ここで言いたいことは、この問題(A)は複素数を使った考え方で解くことができるということです。実際には複素数を使わずに解答を与えることもできるのですが、それはいわば天才的な、パズルのような発想に基づいているように見えるものです。それも面白いかもしれませんが、複素数を使う考え方のメリットは、自然で、見通しよく整理されていて、汎用性も高いことです。また、そこに現れる考え方は、「代数的整数論」という分野の扉を開くものと捉えられます。ここでは、問題(A)の複素数を使った解き方を完全に説明しきることは到底できませんが、その代わり、アイデアの本質的な部分をご紹介したいと思います。
さて、問題(A)について議論するためには、あらかじめ、素数について復習しておく必要があります(よくご存知の方はこの段落から次の次の段落までを読み飛ばしてください)。一例として、24という整数を考えてみましょう。24をもっと小さい整数で割り算してみて、割り切れるかどうか考えてみると、例えば4で割り切れて商は6となり、つまり
24=4×6
となることがわかります。この式は、「24という数を、2つの数の掛け算に分解している」とみることができるでしょう。この「分解」は更に続けることができます。4は2で割り切れて4=2×2となりますので
24=2×2×6、
更に6も2×3と分解できますので
24=2×2×2×3
という具合です。ここまでいくと、2や3といった数は、もっと小さい正の整数で割り切ることはできませんので、これ以上は分解は続けられない、この式が最も細かく分解した式である、ということがわかります。(正確に言うと、1では割り切れてしまいますので、例えば
24=1×2×2×2×3
などと書くことはできるかもしれません。しかし、1を掛け算するのは何もしないのと同じことで意味がありませんので、こういった「1×...を使って無理やり分解する」というのは「分解」には含めません。)
この、最も細かく分解した式に出てくるような、「それ以上、掛け算に分解できない正の整数」が「素数」です。例えば2や3は素数だということです。24は既に述べたように24=4×6などともっと分解できてしまうので素数ではありません。84も、例えば84=2×42などと分解できてしまうので、素数ではありません。84を最後まで分解すると、
84=2×2×3×7
となります。この「最後まで分解した式」を、「素因数分解」と言います。例えば24の素因数分解が2×2×2×3、84の素因数分解が2×2×3×7だということです(掛け算の順番は変えても構いませんが、小さい素数から書くのが見やすいことが多いでしょう)。ちなみに、偶数の素因数分解には2が現れてしまいますので、偶数の素数は2しかありません。
しつこいようですが、上のように、数を掛け算に分解していくときの、それ以上分解できない最小要素が素数なのです。素数が果たすこの「最小要素」としての役割は、中学や高校で受けた化学の授業において、「原子」が果たしていた役割を連想させます。「素数は、掛け算の観点から整数を考えるときに、「原子」の役割を果たすものだ」ということができると思います。複雑なものをより基本的な要素に還元していくことは人間の根本的な思考ですが、整数を考える上で最も基本的な「要素還元」の手法が素因数分解なのです。これが整数論における素数の重要性の説明になっていると思います。
さて、素数は「掛け算の観点から整数を考えるときの、「最小要素」=「原子」」だと上に説明しました。特に、素数はその出自からして明らかに掛け算に深く関連する概念であり、一方、足し算とは直接の関係のない概念ですので、素数と足し算との関係は全くもって明確ではありません。この事情から、「素数と足し算との関係を問う問題は非常に難しくなりうる」という傾向が生じます。(しかし、難しいことは、それだけ興味深い、ということでもあると思います。)例えば「素数であって、2を足しても素数であるようなものは、無限に存在するか?」という問題は「双子素数予想」と呼ばれる、大変有名で興味深い未解決問題です。
問題(A)、つまり「pを素数とする。何らかの整数aとbを用いてp=(aの2乗)+(bの2乗)と表せるのは、どんなときだろうか?」という問題に話題を戻しましょう。これも、素数に関する話題ですが、足し算も出てくるので、一見すると難しい問題のように思えます。このようなときの対処法の1つは、うまく式変形をすることにより、足し算が出てくる式を、掛け算の形に変えてしまうことです。(中学校で習う「因数分解」をうまく使うといったことです。)しかし、この(aの2乗)+(bの2乗)という式は、因数分解がこれ以上できない形に見えるため、この方法は難しいように見えます。
そこで複素数が役に立つのです。(aの2乗)+(bの2乗)という式は、虚数単位iを使えば、(a+bi)×(a-bi)という形に式変形することができます!(中学数学をよく覚えていらっしゃる読者は、「和と差の積は2乗の差」に注意して、iの2乗が-1であることを使って式変形をしてみてください。)したがって、問題(A)は次のように書き換えることができるのです。
(A'):「pを素数とする。何らかの整数aとbを用いてp=(a+bi)×(a-bi)と表せるのは、どんなときだろうか?」
このように、虚数まで含めて考えることで初めて式変形ができるようになり、問題をより「掛け算的」な形にすることができるのです。先ほど13=(2の2乗)+(3の2乗)や97=(4の2乗)+(9の2乗)という式が出てきましたが、今の文脈ではそれにあたる式は、13=(2+3i)×(2-3i)や97=(4+9i)×(4-9i)となります。
さて、問題が「掛け算的」になった代わりに支払った大きな代償として、登場人物であるa+biやa-biは整数の世界から飛び出してしまい、問題(A')に対しては、中高で習うような初等的な整数論を直接的に適用することは困難になってしまいました。これはこれで手詰まりに見えるかもしれません。しかし、ここで発想を飛躍させましょう。a+biやa-biのような(整数)+(整数)iの形をした複素数を「ガウス整数」と呼びます(ガウスは昔の偉大な数学者の名前です)。そして、通常の初等的な整数論、つまり素因数分解の理論などを、ガウス整数にまで拡張してしまうのです!(もちろん、証明を1からやり直さないといけないので、それはそれで手間のかかる作業です。でも、基本的には方針がはっきりしているので、特別な天才的な発想が必要な部分はほぼありません。)そうすると、p=(a+bi)×(a-bi)という式は、「普通の整数の世界では「それ以上分解できない」はずだったpが、ガウス整数の世界ではもっと分解できてしまっている」という方向性の状況だと理解することができます。そして実際、(少し入り組むのでここでは説明できませんが)あまり難しくないちょっとした議論によって、(A')は更に次のように言い換えられることが証明できます。
(A''):「pを(普通の整数の世界における)素数とする。pがガウス整数の範囲ではもはや「素数」ではなくなってしまうのは、どんなときだろうか?」
(ガウス整数の範囲における「素数」の意味の説明は省略しますが、基本的には整数の場合と同じように考えられます。)ここまでくると、問題(A)とは全く対照的に、問題(A'')は非常に「掛け算的」な内容で、いかにも「素数」という設定と相性が良さそうになってきます。そして実際、あとは「ガウス整数に対する整数論」の適用によって(この部分は環論の初歩的な知識が必要になるので説明を省略しますが)問題はすぐに、「平方剰余の第一補充則」と呼ばれる、あまり難しくない古典的な定理に帰着されます。その結果、問題(A)の解答は「pが2または、pを4で割った余りが1のとき」となります。
結構大掛かりな説明になったうえに、最後の(A'')を解決する部分がほぼ説明できませんでしたので、解説としては期待外れ感もあるかもしれません。しかしここで強調したいことは、この方法は非常に自然なものである、ということです。もちろん、この方法を築き上げたり、また現代的な形に整理してきた過去の数学者たちは間違いなく偉大であり、その仕事は天才と呼ぶにふさわしいものかもしれません。私がその時代に生まれていたら、一生かかっても、問題(A)を解くことも、この方法に辿り着くこともできなかっただろうと思います。しかし、ひとたび整理された現代の立場から見てしまうと、上の解答には省略した部分も含め、突飛な(天才的な)発想はほとんど出てこないのです。一番突飛な部分は「ガウス整数に対しても、「整数論」が展開できる」という気付きでしょう。本当にあっさり解けてしまいますから、正直に白状すると、今回のコラムを書き始めたときは、問題(A)の解説の残りの部分も、全部とはいかないまでももう少しは書く余裕があるかなと誤認していました。実際には字数が膨れてしまってそこまでの余裕はできませんでした。ただ、逆説的になってしまいますが、このことからも、「問題(A)はそのくらい、現代的な観点からは自然にあっさり解けてしまう問題なんだ」、ということが伝わりましたら幸いです。そして、その最初の立脚点は数の世界の拡張(複素数も使って考えること)に基づいているのだ、その拡張によってこそ自然な考察の枠組が得られているのだ、ということも、改めて指摘しておきたいと思います。
最後になりますが、せっかくなので、一応ちょっと宣伝を入れてみたいと思います。(少なくとも2024年度時点では、そして、おそらくは2025年度以降も)K会の夏期講習の講座「整数論」や冬期講習の講座「代数的整数論への招待」においては、今回省略した部分も含め、問題(A)の詳細な取り扱いが含まれています。ですので、詳しく知りたい中高生の方は、(開講されれば)そちらのご受講もご検討いただければと存じます。
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(補足)問題(A)と代数的整数論の関係、そして現代数学における抽象理論の立ち位置
今回は(aの2乗)+(bの2乗)という形の式が出てきたので、その因数分解の観点から、ガウス整数に対する整数論を使うに至りました。しかし、ガウス整数以外にも、様々な「数の世界」があります。そして、(aの2乗)+(bの2乗)以外の形の式でも、その式の形に応じて、適した(普通の整数より拡張された)「数の世界」を見つけられることがあります。つまり、その「数の世界」に対する「整数論」を適用して、普通の整数の範囲にとどまっていては攻略困難だった問題が解けることがあるということです。このような文脈で出てくる様々な「数の世界」は、「代数体の整数環」と総称されます。(ガウス整数の環は、代数体の整数環の一例だということです。)そして、「代数体の整数環」について詳しく調べることは、まさに代数的整数論の主な目的となります。ですので今回の問題(A)は、代数的整数論の入門編/出発点と位置づけることができるのです。Neukirch(ノイキルヒ)という数学者による大変有名な代数的整数論の教科書(邦訳『代数的整数論』が丸善出版から出ています)でも、この問題(A)が導入部の題材とされています。また、上述の通り、K会の夏期および冬期の講習でも、この問題(A)が扱われています。
なお、今回紹介した問題(A)の解法は、「式変形で、代数的整数論が適用できる形にする」「実際に代数的整数論を適用する」という2つの部分に分けられると思います(切れ目を厳密に判断するのは少し難しいのですが)。これと同じように、このコラムの第2回で紹介したような「現代数学の創造能力」によって様々な新しい数学的対象を考え(今回で言うと「ガウス整数(の環)」や、その一般化である「代数体の整数環」)、それに対する抽象理論を展開し(今回で言うと「代数的整数論」)、具体的な問題はそういった抽象理論の射程に収めることを目指して言い換えなどを考える(今回で言うと最初の式変形(aの2乗)+(bの2乗)=(a+bi)×(a-bi))、というのは、現代数学の中心的な考え方になります。「この問題を解くためには、大体、こういう感じの抽象理論が必要なはずだ」といった具合に、逆に、具体的な問題に動機づけられて抽象理論が創始されることも珍しくありません。今回の記事における素数の解説の部分で、「複雑なものをより基本的な要素に還元していくことは人間の根本的な思考」と述べました。この観点で言えば、現代数学の営みの大きな一部分である抽象理論の構築とは、つまり、この「より基本的な要素」の手数を増やしていくことだ、といえるのかもしれません。
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(意欲ある読者に向けた、答えのない演習問題)
1. 既に述べたように、問題(A):「pを素数とする。何らかの整数aとbを用いてp=(aの2乗)+(bの2乗)と表せるのは、どんなときだろうか?」に対する解答は、「pが2または、pを4で割った余りが1のとき」です。実は、その証明の難しい部分は「pを4で割った余りが1のときには、必ずpは何らかの整数aとbを用いてp=(aの2乗)+(bの2乗)と表せる」という部分です(なおp=2の場合はp=(1の2乗)+(1の2乗)で済んでいるので簡単です)。それに比べれば、その逆の「pが何らかの整数aとbを用いてp=(aの2乗)+(bの2乗)と表せるときには、必ず、p=2または、pを4で割った余りが1」という部分は難しくなく、上位大学入試レベル(?)くらいの難易度の証明問題だといえると思います。ですので、その証明を考えてみてください。
2. 今回の記事では、一応、整数論における「複素数の、驚くべき活躍」のご説明はできたと思いますが、一方、実際に活躍していたのは複素数すべてというよりは、それより範囲を狭めた、ガウス整数たちです。ガウス整数の概念を導入せずに、複素数すべてで考えようとすると、この記事の数学的議論のうちどの箇所に困難が生じそうでしょうか。議論を厳密に紹介したわけではないので完全に特定するのは難しいかもしれませんが、検討してみてください。
3. 問題2.に関連して、整数論において、ガウス整数等というよりも複素数全部がフルに活躍する場面としては、複素解析の利用が挙げられると思います。これについて調べてみてください。(キーワードの例:ゼータ関数、ディリクレの算術級数定理、素数定理。)
4. 今回の問題(A)では(aの2乗)+(bの2乗)という形の式を扱ったので、ガウス整数の範囲で考えました。では、他の形の式だと、どのような代数体の整数環を考えるとよさそうでしょうか。例えば、(aの3乗)+(bの3乗)や、(aの5乗)+(bの5乗)だと、どうでしょうか。(キーワードの例:円分体、正則素数のフェルマーの最終定理。)
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日本数学オリンピック予選解説講義のお知らせ
2025年1月18日 更新
日本数学オリンピック(JMO)予選、日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)予選の解説講義のお知らせです。
1月25日(土)14:00~17:10 (場所:河合塾本郷校)
JMO,JJMOそれぞれ解説講義を行います!
担当講師
JMO:平山楓馬(国際数学オリンピック第61回ロシア大会銅メダリスト)
JJMO:床呂光太(国際数学オリンピック第62会ロシア大会銀メダリスト)
予選参加の有無は問いません。
予選で解けなかった問題がある方や、これから数学オリンピックに向けて勉強をスタートさせる方、競技数学の問題を解くのが好きな方など、中高生の方であればどなたでも歓迎いたします。
なお、解説講義は今回の予選問題を解いたことがあることを前提として進めます。
予選に参加されていない方は、数学オリンピック財団のホームページで公開されている問題にできるだけ取り組んだうえでご参加下さい。
数学オリンピック財団のホームページはこちらから
解説講義の受講料は3,000円となります。
必ず前日までにお電話でご予約のうえ、会場となる河合塾本郷校までお越しください!
解説講義の詳細はこちらから
お申し込み・お問合せ
☎03-3813-4581(13:00-19:00 ※日曜・月曜は除く)
※講習会・イベント実施日は受付時間が上記と異なる場合がございます。
1月25日(土)14:00~17:10 (場所:河合塾本郷校)
JMO,JJMOそれぞれ解説講義を行います!
担当講師
JMO:平山楓馬(国際数学オリンピック第61回ロシア大会銅メダリスト)
JJMO:床呂光太(国際数学オリンピック第62会ロシア大会銀メダリスト)
予選参加の有無は問いません。
予選で解けなかった問題がある方や、これから数学オリンピックに向けて勉強をスタートさせる方、競技数学の問題を解くのが好きな方など、中高生の方であればどなたでも歓迎いたします。
なお、解説講義は今回の予選問題を解いたことがあることを前提として進めます。
予選に参加されていない方は、数学オリンピック財団のホームページで公開されている問題にできるだけ取り組んだうえでご参加下さい。
数学オリンピック財団のホームページはこちらから
解説講義の受講料は3,000円となります。
必ず前日までにお電話でご予約のうえ、会場となる河合塾本郷校までお越しください!
解説講義の詳細はこちらから
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☎03-3813-4581(13:00-19:00 ※日曜・月曜は除く)
※講習会・イベント実施日は受付時間が上記と異なる場合がございます。
━【「言語学をのぞいてみよう その39」(元K会英語科講師:野中大輔) 】━
2025年1月15日 更新
━【「言語学をのぞいてみよう その39」(元K会英語科講師:野中大輔) 】━
★このコラムでは、言語学を研究している筆者(元K会英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★
フレーズの重要性を意識する
2025年になりました。今年の目標を立てた方もいるでしょう。中には英語の勉強をがんばることを目標にした方もいるのではないかと思います。そこで、今回は英語学習をテーマにお話しします。
ある言語学の先生が高校向けに授業を行う機会があった際に、「英語にはどうして多義語が多いのですか?」という質問を受けたそうです。実際にそういう質問をしたことがなくても、同じような疑問を抱いたことがあるという人は、けっこういるかもしれません。さて、その先生の回答はというと、「日本語にも多義語はたくさんありますよ」だったそうです。そのエピソードを紹介しながら、その先生は「普段日本語を使っていて、気づいていないものなんですね」とおっしゃっていました。
おそらく、日本語にも多義語がたくさんあると言われても、ピンとこない方もいると思いますので、例を挙げて考えてみましょう。ここでは「振る」という動詞を取り上げます。「振る」の使い方として、たとえば「旗を振る」「さいころを振る」「肉に塩を振る」といった表現がありますが、これらの「振る」はちょっとずつ意味が違います。「旗を振る」は、手に持った旗を左右に何度か動かすような動作を表します。「さいころを振る」が表すのは、手に取ったさいころを投げて、床に転がすという動作です。「肉に塩を振る」の場合、肉に塩をぱらぱらとかける動作です。こうやって考えてみると、同じ「振る」でもけっこう違う動作を表しているのがわかります。つまり、日本語の「振る」は多義動詞なのです。
英語に直してみると、「振る」の意味の違いがわかりやすくなるでしょう。「旗を振る」はwave a flag、「さいころを振る」はthrow the dice、「肉に塩を振る」はsprinkle salt over the meatなどと訳せます。ここでは、日本語の「振る」に3つの異なる動詞(wave, throw, sprinkle)が当てられていますね。このような例を見ると、日本語を外国語として勉強している人はこう思うかもしれません。「日本語の「振る」にはたくさんの意味があって覚えるのが大変ですね」と。
しかし、おそらく日常的に日本語を使っている人の多くは、「振る」が多義であることを特に意識しておらず、「振る」が多義であることで大変な思いをしたこともないはずです。なぜなのでしょうか。それは、「旗を振る」「さいころを振る」「(肉に)塩を振る」といった表現はその形でよく使われるフレーズになっているため、普段はわざわざそれを分解して捉えることがなく、「振る」単独の意味なんて考えることがないからでしょう。もちろん、私たちは「振る」以外の表現でも、たくさんのフレーズを身につけています。たとえば「電話に出る」「犠牲を払う」「おみくじを引く」などもそうですね。「出る」「払う」「引く」なども多義動詞ですが(たとえば「外に出る」における「出る」と「電話に出る」における「出る」の意味は同じだとは言い難いはずです)、私たちが日本語を使うときに頼りにしているのは、単語単体というよりもフレーズのほうだと言えます。
よく用いられるフレーズが多数存在するというのは、日本語に限ったことではなく、どんな言語でもそうです。英語にももちろん当てはまります。そう考えれば、英語を学習するときにも、単語単体を覚えようとするのではなく、なるべくその語が用いられるフレーズを覚えるようにしたほうがよいと言えますね。学習の初期段階では「wave=振る」のような覚え方をするのはしょうがないとしても、それで終わらせずに、wave a flagのようなフレーズをたくさん身につけていくことが重要になります。単語単体だと多義に苦労するように見えても、どのようなフレーズで使うかわかれば、多義の問題は解消されているはずです。今年、英語をがんばりたいという方は、このようなフレーズを意識した学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。辞書にはそういったフレーズが掲載されていますよ。そして、フレーズに対する意識を高めるためにも、普段使っている日本語にどのようなフレーズがあるか、ときどき考える時間を設けてみてください。今回は動詞の例を中心に取り上げましたが、それ以外の表現でもフレーズはたくさんありますので、探してみるとおもしろいかと思います。
★このコラムでは、言語学を研究している筆者(元K会英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★
フレーズの重要性を意識する
2025年になりました。今年の目標を立てた方もいるでしょう。中には英語の勉強をがんばることを目標にした方もいるのではないかと思います。そこで、今回は英語学習をテーマにお話しします。
ある言語学の先生が高校向けに授業を行う機会があった際に、「英語にはどうして多義語が多いのですか?」という質問を受けたそうです。実際にそういう質問をしたことがなくても、同じような疑問を抱いたことがあるという人は、けっこういるかもしれません。さて、その先生の回答はというと、「日本語にも多義語はたくさんありますよ」だったそうです。そのエピソードを紹介しながら、その先生は「普段日本語を使っていて、気づいていないものなんですね」とおっしゃっていました。
おそらく、日本語にも多義語がたくさんあると言われても、ピンとこない方もいると思いますので、例を挙げて考えてみましょう。ここでは「振る」という動詞を取り上げます。「振る」の使い方として、たとえば「旗を振る」「さいころを振る」「肉に塩を振る」といった表現がありますが、これらの「振る」はちょっとずつ意味が違います。「旗を振る」は、手に持った旗を左右に何度か動かすような動作を表します。「さいころを振る」が表すのは、手に取ったさいころを投げて、床に転がすという動作です。「肉に塩を振る」の場合、肉に塩をぱらぱらとかける動作です。こうやって考えてみると、同じ「振る」でもけっこう違う動作を表しているのがわかります。つまり、日本語の「振る」は多義動詞なのです。
英語に直してみると、「振る」の意味の違いがわかりやすくなるでしょう。「旗を振る」はwave a flag、「さいころを振る」はthrow the dice、「肉に塩を振る」はsprinkle salt over the meatなどと訳せます。ここでは、日本語の「振る」に3つの異なる動詞(wave, throw, sprinkle)が当てられていますね。このような例を見ると、日本語を外国語として勉強している人はこう思うかもしれません。「日本語の「振る」にはたくさんの意味があって覚えるのが大変ですね」と。
しかし、おそらく日常的に日本語を使っている人の多くは、「振る」が多義であることを特に意識しておらず、「振る」が多義であることで大変な思いをしたこともないはずです。なぜなのでしょうか。それは、「旗を振る」「さいころを振る」「(肉に)塩を振る」といった表現はその形でよく使われるフレーズになっているため、普段はわざわざそれを分解して捉えることがなく、「振る」単独の意味なんて考えることがないからでしょう。もちろん、私たちは「振る」以外の表現でも、たくさんのフレーズを身につけています。たとえば「電話に出る」「犠牲を払う」「おみくじを引く」などもそうですね。「出る」「払う」「引く」なども多義動詞ですが(たとえば「外に出る」における「出る」と「電話に出る」における「出る」の意味は同じだとは言い難いはずです)、私たちが日本語を使うときに頼りにしているのは、単語単体というよりもフレーズのほうだと言えます。
よく用いられるフレーズが多数存在するというのは、日本語に限ったことではなく、どんな言語でもそうです。英語にももちろん当てはまります。そう考えれば、英語を学習するときにも、単語単体を覚えようとするのではなく、なるべくその語が用いられるフレーズを覚えるようにしたほうがよいと言えますね。学習の初期段階では「wave=振る」のような覚え方をするのはしょうがないとしても、それで終わらせずに、wave a flagのようなフレーズをたくさん身につけていくことが重要になります。単語単体だと多義に苦労するように見えても、どのようなフレーズで使うかわかれば、多義の問題は解消されているはずです。今年、英語をがんばりたいという方は、このようなフレーズを意識した学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。辞書にはそういったフレーズが掲載されていますよ。そして、フレーズに対する意識を高めるためにも、普段使っている日本語にどのようなフレーズがあるか、ときどき考える時間を設けてみてください。今回は動詞の例を中心に取り上げましたが、それ以外の表現でもフレーズはたくさんありますので、探してみるとおもしろいかと思います。