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地理歴史 高等学校学習指導要領分析

2018(平成30)年3月に告示された高等学校学習指導要領の分析報告

*2018年7月に公開された「高等学校学習指導要領解説」の分析を踏まえ、分析結果を修正・追記しました。(2018年10月)

1.地理歴史科の目標

地理歴史科で育成を目指す目標のうち柱書として「社会的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通して、広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」としている。
まず、前段の「社会的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通して」という部分では、地理歴史科を含む社会科、地理歴史科、公民科の特質に応じた学び方を示しており、地理歴史科における「社会的な見方・考え方」は、各科目の特質に応じて整理されている。地理領域科目では「社会的事象の地理的な見方・考え方」として、「社会的事象を、位置や空間的な広がりに着目して捉え、地域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域という枠組みの中で、人間の営みと関連付け」、歴史領域科目では「社会的事象の歴史的な見方・考え方」として、「社会的事象を時期、推移などに着目して捉え、類似や差異などを明確にしたり事象同士を因果関係などで関連付けたりし」て働かせるものとされ、小・中・高等学校の学校種を超えて社会科、地理歴史科、公民科を貫く「社会的な見方・考え方」の構成要素として整理している。
後段の「広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」という部分では小学校から中学校における社会科学習を踏まえた、高等学校における地理歴史科、公民科の共通のねらいであり、そこでの指導を通して、その実現を目指す究極的なねらいを示している。
その上で、次の3つの具体的目標が掲げられている。

(1)については、地理歴史科で扱う学習対象を示し、それらに関して理解するとは、単に知識を身に付けることではなく、基礎的・基本的な知識を確実に習得しながら、既得の知識と関連付けたり組み合わせたりしていくことにより、学習内容の深い理解と、個別の知識の定着を図るとともに、社会における様々な場面で活用できる、概念などに関する知識として獲得していくことも示している。また、社会的な見方・考え方を働かせて、調査活動や諸資料から、課題の解決という目的に合わせて必要な情報を適切かつ効果的に収集し、読み取り、まとめる技能を身に付けることを意味している。
(2)については、社会的事象個々の仕組みや働きを把握することにとどまらず、その果たしている役割や事象相互の結び付きなども視野に、様々な側面、角度から捉えることのできる力を示しており、現実社会において生徒を取り巻く多種多様な課題に対して、「それをどのように捉えるのか」、「それとどのように関わるのか」、「それにどのように働きかけるのか」といったことを問う中で、それらの課題の解決に向けて自分の意見や考えをまとめ、課題解決の在り方を問うことのできる力を意味している。また、考察、構想したことを、資料等を適切に用いて論理的に示したり、その示されたことを根拠に自分の意見や考え方を伝え合い、自分や他者の意見や考え方を発展させたり、合意形成に向かおうとしたりする力であると捉えられる。
(3)については、地理や歴史に関わる諸事象に関連して、学習上の課題を主体的、意欲的に解決しようとする態度や、よりよい社会の実現に向けて、多面的・多角的に考察、構想したことを社会生活に生かそうとする態度などを意味している。また、現代世界の地域的特色と日本及び世界の歴史の展開についての多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養されるものであり、既述の資質・能力を含む三つの柱に沿った資質・能力の全てが相互に結び付き、養われることが期待される。

2.地理歴史科構成の変遷

地理歴史科の新学習指導要領では、科目構成が大幅に見直された。共通必履修科目として「歴史総合」と「地理総合」が設置され、選択履修科目として「日本史探究」、「世界史探究」及び「地理探究」が設置された。
標準単位数は、「歴史総合」と「地理総合」が2単位、それ以外の科目は3単位となっている。

【表】科目構成の変遷

【表】科目構成の変遷

各科目の分析内容については、科目ページで報告する。

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