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高等学校学習指導要領分析
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公民 高等学校学習指導要領分析

2018(平成30)年3月に告示された高等学校学習指導要領の分析報告

*2018年7月に公開された「高等学校学習指導要領解説」の分析を踏まえ、分析結果を修正・追記しました。(2018年10月)

1.公民科の目標

公民科で育成を目指す目標のうち柱書として「社会的な見方・考え方を働かせ、現代の諸課題を追究したり解決したりする活動を通して、広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す」としている。
まず、前段の「社会的な見方・考え方を働かせ、現代の諸課題を追究したり解決したりする活動を通して」という部分では、公民科の特質に応じた学び方を示している。公民科における「社会的な見方・考え方」は、各科目の特質に応じて整理されている。「公共」では「人間と社会の在り方についての見方・考え方」として、「社会的事象等を、倫理、政治、法、経済などに関わる多様な視点(概念や理論など)に着目して捉え、よりよい社会の構築や人間としての在り方生き方についての自覚を深めることに向けて、課題解決のための選択・判断に資する概念や理論などと関連付けて」、「倫理」では「人間としての在り方生き方についての見方・考え方」として、「社会的事象等を、倫理、哲学、宗教などに関わる多様な視点(概念や理論など)に着目して捉え、人間としての在り方生き方についての自覚を深めることに向けて、課題解決のための選択・判断に資する概念や理論などと関連付けて」、「政治・経済」では「社会の在り方についての見方・考え方」として、「社会的事象等を、政治、法、経済などに関わる多様な視点(概念や理論など)に着目して捉え、よりよい社会の構築に向けて、課題解決のための選択・判断に資する概念や理論などと関連付けて」働かせるものとされ、小・中・高等学校の学校種を超えて社会科、地理歴史科、公民科を貫く「社会的な見方・考え方」の構成要素として整理している。なお、「見方・考え方」を働かせる際に着目する視点は、「公共」における幸福、正義、公正など、「倫理」における真理、善、美、正義など、「政治・経済」における対立、協調、効率、公正など、多様にあることに留意することが必要であり、各科目の学習における追究の過程においても、これらの視点を必要に応じて組み合わせて用いるようにすることも大切である。
後段の「広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次の通り育成することを目指す」という部分は、小学校から中学校における社会科学習を踏まえた、高等学校における地理歴史科、公民科の共通のねらいであり、そこでの指導を通して、その実現を目指す究極的なねらいを示している。また、中央教育審議会答申において、「『公共』や『倫理』及び特別活動を、人間としての在り方生き方に関する中核的な指導場面として関連付けを図る方向で改善を行う」と示されている。小・中学校における道徳科の学習等を通じた道徳的諸価値の理解を基にしながら、様々な体験や思索の機会を通して自らの考えを深めることにより、自分自身に固有の選択基準・判断基準を形成していくことが必要であり、現代社会に生きる人間としての在り方生き方についての自覚を涵養することが求められている。
その上で、次の3つの具体的目標が掲げられている。

(1)については、公民科で扱う学習対象を示し、それらについて理解するとは、単に知識を身に付けることではなく、基礎的・基本的な知識を確実に習得しながら、既得の知識と関連付けたり組み合わせたりしていくことにより、学習内容の深い理解と、個別の知識の定着を図るとともに、社会における様々な場面で活用できる、現代の諸課題を捉え考察し、選択・判断するための手掛かりとなる概念や理論を獲得していくことを示している。また、社会的な見方・考え方を働かせて、諸資料から、課題の解決という目的に合わせて必要な情報を適切かつ効果的に収集し、読み取りまとめる技能を身に付けることを意味している。
(2)については、社会的事象等個々の仕組みや働きを把握することにとどまらず、その果たしている役割や事象相互の結び付きなども視野に、事実を基に概念などを活用して様々な側面、角度から捉えることのできる力を示している。また、考察、構想(選択・判断)したことを、資料等を適切に用いて論理的に示したり、その示されたことを根拠に自分の意見や考え方を伝え合い、自分や他者の意見や考え方を発展させたり、合意形成に向かおうとしたりする力であると捉えられる。
(3)については、現代の諸課題について主体的に追究して、学習上の課題を意欲的に解決しようとする態度や、よりよい社会の実現に向けて、多面的・多角的に考察、構想したことを社会生活に生かそうとする態度などを意味している。また、選択・判断の手掛かりとなる概念や理論、及び倫理、法、政治、経済などに関わる現代の諸課題についての多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養されるものであり、既述の資質・能力を含む三つの柱に沿った資質・能力の全てが相互に結び付き、養われることが期待される。

2.公民科構成の変遷

公民科の新学習指導要領では、科目構成がみなおされた。「公共」を原則として入学年次及びその次の年次の2か年のうちに全ての生徒に履修させることとし、その履修の後に選択科目である「倫理」及び「政治・経済」を履修できることとした。
標準単位数については、「公共」、「倫理」及び「政治・経済」は、いずれも2単位となっている。

【表】科目構成の変遷

各科目の分析内容については、科目ページで報告する。

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