西高校問題分析 受験生情報局 | 河合塾Wings 関東
2024年度 西高校の入試問題分析
西の英語
2024年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
リスニングを除くと大問3題で、その構成は対話文が1題と説明文が2題であった。物語文が出題されないのは5年連続である。一方で、今年も理系的な内容も含むテーマが出題されており、理系分野の出題が傾向として確立されたと言ってよいであろう。
自校作成問題校の中でも、特に文章量が多い学校の1つであるが、今年度も長文の総語数は3,000語ほどあり、非常に長いことが特徴である。精読すると興味深い内容であり、設問も解きやすいが、リスニングを除くと、40分で解かなければならないため、設問を解く順番を考えながら読み進めていくことが求められる。
【2】は日本の高校生とアメリカの大学生が、海洋生物にヒントを得た新素材(材料)について話し合う対話文でした。各設問は昨年度と全く同じ傾向であり、過去問演習による傾向対策をしっかり積んでいれば比較的得点をしやすい問題が多かった。西高校を目指すのであれば、【2】は80%くらいの正解率を目指したい。その中でも、問2の並べかえ英作文は、小手先では解くことができないようになっており、前後の文脈理解に加え、正確な文法知識が必要な問題だったので、多少差がつきやすい問題だった。また、問4の適語補充問題は、手がかり自体は本文中から探すことはできても、解答するときには語形変化が必要なものもあり、解答に際して正しい文法知識が必要であった。
【3】は折り紙の技術が宇宙科学にも活用されていることを述べた説明文だった。偶然だが戸山高校でも折り紙のことについて触れた英文が出題されていた。特徴的な設問は問2の語句整序の問題。「allow+人+to~」という表現を知っている受験生は多いと思うが、選択肢の中に動詞の原形が来ているものがなかったため、解答するのに時間がかかり、少し差がついた可能性がある。また、問7のような内容一致問題がすべての長文についており、かつ配点も高いので、捨てることはできない。日ごろから内容を照らし合わせながら長文を読んでいく意識を持つことが必要である。
【4】は自動販売機の歴史について述べた説明文。昨年度との違いは、文整序の問題が削除され、英文の適所選択が出題されたところである。文整序は英文そのものの分量が多いので処理に時間がかかるが、今年は少し負担が削減され、解きやすかったと思われる。問8の自由英作文は、日常生活や文化において日本の特徴的な製品もしくは食べ物について40語以上50語以内で記述するもの。インバウンドの影響で、模範解答にあるような「ラーメン」以外にも「寿司」「牛肉」「100円ショップで売られている日常生活品」などは外国人にいい意味でのカルチャーショックとなっているようで、テレビや動画などで知識を吸収し、英語で書いて添削してもらうことをおすすめする。
本校合格の鍵は「速読力」及び「設問の解答順」である。他の自校作成問題校の過去問や問題集等で時間を測って解く練習を多く積むことで、次第に速読力は身についていく。また、本校の設問の出題傾向として、「内容一致」問題の配点が高いことが挙げられる。リスニングを除いた読解問題で、「内容一致」問題は1問4点(本年度も6問出題され、合計24点)であることに対し、他の設問は1問2点である。他の受験生と差をつけるためには、設問の解答順を考えながら解き、「内容一致」問題を得点できるようになることが望ましい。日頃の読解練習においても、限られた時間の中で、内容を正しく理解し、設問の解答順を考えながら解く、ということを常に意識してほしい。
西の数学
2024年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
【1】は例年通り、5題構成の小問集合であった。問2の2次方程式がπを含む見慣れない形であること、問4の箱ひげ図の読み取りが正しいものを2つ選ぶ形式であることで、少し戸惑った受験生もいたかもしれないが、難度は高くなく問1から問4までは完答を狙いたい。問5の作図はおうぎ形に接する円の作図だが、おうぎ形の外に接線と線分の延長線のなす角を作る必要があり、昨年ほどではないが難度は高めであった。
【2】は2次関数で、問1は直線の式、問2は三角形の面積を求める基本問題であった。問2は座標が分数を含むため、丁寧に処理して計算ミスには注意したい。問3は四角形の二等分がテーマだが、関数というより平面図形として扱うことができれば短時間で解答を導き出せただろう。
【3】は平行四辺形に関する問題だった。問1(1)は相似を利用して線分比を求める基本問題、(2)は三角形の合同の証明で、もう1組の三角形の合同を利用する必要があるとはいえ、自校作成問題校の証明としては対応しやすい難度だった。問2は動点の軌跡に関する問題で、不慣れな受験生もいただろう。難度は高くないので、類題経験の有無で差がついたと思われる。
【4】は様々な計算において、誤った計算方法でも答えが一致する数を考察する問題であった。問1は問題文をよく読み、平方根を含む方程式を解く必要があるが、以降の問題の難度を考えても正答したい。問2は2021年入試と似た偶奇に注目する文字式の説明の問題、問3は条件を満たす4桁の数を求める問題だったが、残り時間との兼ね合いで他の問題の見直しなどに時間をかけた受験生も多かっただろう。
各問の難度を見極めて、基本~標準問題をミスなく正解する力が必要であるのは勿論だが、他の自校作成問題校では頻出の立体図形が大問4で2016年以来出題がないことからも、整数・文章題なども含めた幅広い単元の準備が必要といえる。
西の国語
2024年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
【1】漢字の読み 8点 【2】漢字の書き 8点
【3】小説文 26点 【4】論説文 38点 【5】融合文 20点
漢字の読み書き8問、60字の心情記述問題と200字作文以外は選択問題という出題形式、また文章問題の文字総数約11,000字についてはほぼ例年と同様。選択問題もすべて四択問題であった。文章問題全体として、200字作文に時間を割くためにも、一読でおおまかな全体の流れを読み取れるように読解練習を積む必要がある。
【1】、【2】(漢字の読み書き)
一昨年度に出題された四字熟語は今年度も出題されなかった。出題されている漢字は総じて平易な漢字が出題されているが、読みの「吹弾」、書きの「マドオ(間遠)」・「テンガンキョウ(天眼鏡)」など普段の生活では耳慣れない言葉が出題されるので、語彙力を身に着ける学習が必須となる。
【3】小説文(上野歩「お菓子の船」約4,150字、前年比約+150字)
就職後5年たった登場人物が、自分の技術力を確認するために和菓子作りのコンテストに出場する中で、上司や先輩との関係やコミュニケーションが描かれている。設問としては問1~5は心情把握に関するものである。問3は心情を理解したうえで、その内容を60字以内で記述する設問となっているが、線部を含む該当段落内容を理解できれば、正答を得ることができる生徒も多いと思われる。また、問6は本文の表現全体を理解したうえで答える必要があるので、上述のように一読でおおまかな全体の流れを読み取れるように読解練習を積む必要がある。
【4】論説文(松村圭一郎「旋回する人類学」約3,520字、前年比約-480字)
「人類学」という、中学生では触れにくい内容となっているため、戸惑う受験生も多かったのではないかと思われる。ただし、例年と比較し文字数が少なくなっている(前年比約-480字、一昨年比約-1480字)ため、論理をしっかりと読み取りながら設問に対する根拠を見つけていくことで、設問自体が解けないということはない。そのためには、読解の基礎や解法のテクニックを過去問演習等などを通して充分身につけておく必要がある。200字作文については、本文の内容を踏まえつつ「他者理解」について記述するものなので、比較的実生活につなげやすく、書きやすい内容となっている。ただし、入試までに独自の意見やそれに対する根拠をしっかりと記述できる「最低限の力」は充分に養っておく必要がある。
【5】融合文(揖斐高「江戸漢詩の情景」約1,950字、前年比約-750字)
今年度の融合文は、3年連続漢詩を引用した融合文であった。ただし、過去2年とは異なり、近世の漢詩(または俳句・短歌)を題材としているため、過去問題の理解がそのまま得点につながるわけではない。とはいえ、そこまで難解な設問ではないため、合格点を得るためには【5】については満点を狙っていく必要がある。設問は内容把握についての問題のみであり、きちんと筆者の記述する論理を理解できれば正答を得られる。
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