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2022年度 都立共通問題分析 受験生情報局 | 河合塾Wings 関東

2022年度 都立共通問題分析

共通問題の英語

概況

大問数…大問4題、小問23問
1がリスニング問題で20点、2が小問集合で24点(12点分が英作文)
3と4が長文読解でそれぞれ28点

設問内容

【1】リスニング(5問 各4点)
A(3問) 選択式3問
B(2問) 選択式1問 記述式1問
例年同様、問題Aでは2人の短い会話を聞いて答える問題が3問、問題Bではスピーチを聞いて答える問題が2問出題されました。今春も問題Bの記述問題では、解答するときに代名詞に直すことがポイントでした。

【2】小問(4問 選択問題4点×3問、英作文12点)
1と2共に資料とともに20行程度の短い対話文を読み解く問題でした。今春の問題は解答の根拠となる英文が複数箇所に点在し、更に読み取った情報を資料に当てはめて解答しなければならず、時間がかかる問題でした。3も例年同様、短いEメールの文章を読み、その内容について答える問題と、そのEメールに対しての返事を条件に従って3文で書く問題でした。今年度は「町中に公園があることの良い点」がテーマであり、比較的書きやすかったと考えられます。

【3】対話文読解(7問 各4点)
600語程度の対話文読解問題で、昨年度に比べて語数が増えています。傍線部の内容把握を問う問題が1問、本文の内容に合うように空所に適語・適文を補う問題が5問、本文の流れに沿って並び替える問題が1問出題されました。すべて選択問題で難易度は例年並みでしたが、問6の出題形式は大問3では初めて出題され、考え方や姿勢の変化に注意して読み解く力が求められる問題でした。

【4】長文読解(7問 各4点)
700語程度の長文読解で、こちらは昨年度と大きく変わらない語数でした。出題形式も例年通り、傍線の内容を問う問題が1問、指定された英文を本文通りの順序に並べる問題が1問、本文の内容に関する問題が5問出題されました。難易度は例年通りでしたが、難しい単語にも注釈が付いていないなど語彙のレベルは上がっています。

昨年度との比較

出題形式などについては昨年度と同様で、難易度も大きな変化はありません。
しかし語彙レベルが難化していることに加えて、解答の根拠として複数箇所を確認しなければならない問題が増加傾向にあります。英文を速く読むことと併せて、本文の情報を正しく理解し処理する力が求められており、この点を意識して演習を繰り返していく必要があります。

共通問題の数学

概況

問題数:大問5題、小問19問
例年と変更なく、大問5題構成で、中学学習単元から万遍なく出題されました。従来、【1】で出題されている確率の問題が今年度出題されず、代わりに資料の整理の問題が出題されました。

設問内容

【1】小問集合(9問 問1~8…5点、問9…6点)
出題内容は、正負の数の四則計算、文字式の計算、根号を含む計算、1次方程式、連立方程式、2次方程式、資料の整理(中央値)、円周角の定理、作図でした。上記の通り、今年度は確率の問題が出題されませんでした。また、作図は「三角形の面積を二等分する直線を作図する問題」で、垂直二等分線を利用する作図でした。難度は、例年通りでした。

【2】式の利用(2問 問1…5点、問2…7点)
問1は、与えられた数式を利用し、具体的に数値を求める問題でした。問2は、3種類の文字を使用して、式が11の倍数であることを説明する問題でした。式の説明に関する手順や難度は例年と変更はありませんでしたので、過去問題などで繰り返し演習を重ねた人であれば正解できたでしょう。

【3】関数(3問 各5点)
昨年度は1次関数(直線のみ)の出題でしたが、今年度は2次関数(放物線)の問題でした。問1は、例年【1】でも出題されているような変域の問題で、平易な問題でした。問2は直線の式を求める問題であり、こちらも例年と難度は変わりませんでした。問3は線分比から座標を求める問題が出題されました。文字を用いて求める座標を表して解き進める問題で、問1や問2と比較するとやや難度の高い問題でした。

【4】平面図形 (3問 問1…5点、問2①…7点、問2②…5点)
正三角形2つを合わせたひし形に関する問題が出題されました。問1は例年通り、文字を用いて指定の角を表す問題でした。文字の取り扱いを誤らなければ、平易な問題でした。問2は合同の証明の問題でした。等しい辺や角を見つけることは容易でしたが、例年と比べると記述量が多くなる問題でした。また、問3は三角形の面積比を問う問題でした。複数の三角形の面積比を考えて解き進める問題で、難度は高い問題でした。

【5】空間図形(直方体) (2問 各5点)
直方体を用いた問題で、動点が絡む問題が出題されました。問1は切断面(等脚台形)の周の長さを求める問題でした。指定された切断面の図をきちんと抜き出して描くことができた人は解けた問題でしょう。問2は、四角錐の体積を求める問題でした。求め方は複数ありますが、頂点と底面の四角形の対角線を通る平面で四角錐を2つの三角錐に分けて求める方法で解くのがわかりやすかったのではないでしょうか、どの解法を用いたとしても、空間図形の中から適切な平面を抜き出して、辺の長さを求めていく必要があり、非常に難度の高い問題でした。

共通問題の国語

概況

問題数…大問5題 小問25問
【1】・【2】では、漢字の読み書きが各10点分。記述問題は、【4】の200字作文の10点のみです。他、選択問題が70点分出題されました。

設問内容

【1】漢字の読み(5問 各2点)
中学校1・2年生で学習する漢字の全範囲から出題されました。

【2】漢字の書き(5問 各2点)
小学校で学習する漢字の中から出題されました。

【3】小説文(5問 各5点)約2,750字(前年比-約300字)
心情把握(3問)、表現の特徴(2問)に関する選択肢問題が5問出題されました。うち問4はセリフの表現から登場人物の様子を問うものです。登場人物の人間関係や動作から心情を読み取っていく必要があります。問いは全て記号問題であり、記述に関する出題は7年連続で出題されませんでした。

【4】論説文(選択問題4問各5点・記述問題10点)約3,580字(前年比+1,130)
前年と比較して文字数が1000字以上増えました。選択問題は、傍線部の内容を問うものが2問、筆者の意見の根拠を問うものが1問、文章構成における段落の役割を問うものが1問出題されました。記述問題は、「コンピューター化できない人間の考え方」というテーマで、文章をふまえ自分の話す言葉を体験や見聞も含めて200字以内でまとめる、という内容でした。記述問題が最も配点が高い10点で、持ち時間をどれだけ充てられるかが重要です。

【5】融合文(5問 各5点)約3,170字(前年比+320)
西行の『三家集』の和歌と詞書、そして在原業平の詞書に関する対談と解説からの出題でした。古文には現代語訳がついており、それぞれを対応させながら読み進める必要があります。問題はすべて選択問題でした。

昨年度との比較

・昨年度と同様、記述問題は200字作文のみの出題でした。
・漢字の読みは中学1・2年生で学習する漢字より、漢字の書きは小学校で学習する範囲より出題されました。全体として平易だと言えます。
・【4】の論説文が少々難しかったため、昨年度より少々難化したかもしれません。特に問1が難しくなっていました。
・文章量は全体で+1,450字と増加。

共通問題の理科

概況

問題数:大問6題、小問25問(各4点)
4分野ごとの問題数:生物6、地学6、物理7、化学6
解答形式別問題数:記号選択23、作図1、化学反応式1
記号解答の内訳:四者択一21、三者択一1、六者択一1

設問内容

【1】4分野からの小問集合
4分野の出題内容は、有機物の燃焼・血液の循環・光の屈折・前線の天気・直並列回路だった。
・問5 直並列回路は、回路の基礎知識を発展させて解く必要があるため、やや難度の高い問題だった。

【2】4分野それぞれのレポートを読んで解く問題
4分野の出題内容は、太陽と月と地球・水溶液の蒸留・光合成・質量と重さだった。
・問4 質量と重さの関係は、「上皿てんびん」と「はかり」の違いを理解している必要があった。実験・観察で使用する器具の名称だけでなく、使い方についても確認しておく必要がある。

【3】(地学)岩石の性質と地層の成り立ち
・問2 化石の年代と進化の歴史、2つの知識を繋げる必要があったため難度の高い問題だった。
・問4 「標高」と「地表からの深さ」の2つの情報から凝灰岩の層の位置を正確に見分ける問題だった。よく出題される形式であるため、正解したいところ。

【4】(生物)植物のつくりと遺伝の規則性
実験の内容は典型的なものだったが、問題文が長く状況把握に苦戦させられる問題だった。
・問4 文字情報だけでは内容把握が難しいため、情報整理のために図を活用するなどの工夫が必要で、難度の高い問題だった。

【5】(化学)電池の仕組みと中和
新学習指導要領に新しく加えられた「ダニエル電池」の実験が出題された。しかし、基礎的な内容であったため解きやすい問題だった。
・問4 イオンの個数を問う問題は、中和実験での典型的な問題のため正解したいところ。

【6】(物理)小球の力学的エネルギー
・問2 小球が運動する向きに働く力や小球の速さに関する問題だった。傾きが一定である斜面での速さの変化や働く力について、正確に理解しておく必要がある。
・問3 作図問題ではあるが、斜面上の小球に働く重力の分力の作図は、単元学習の際によく出題される形式のため、正確に書けるようにしておきたいところ。

昨年度との比較

完全解答とする問題が昨年度9問あったのに対し、今年度は選択肢が6つの問題があったものの、完全解答の問題は出題されませんでした。例年とは違い中学3年生範囲の内容が多く、化学分野では2021年度より実施の新学習指導要領の「ダニエル電池」が取り上げられました。
今年度は記述や複雑な計算問題がなく、基礎知識の理解度を問う問題が多く出題されていたため、昨年度と比較すると解きやすかったと考えられます。しかし、細かい知識や実験の条件が複雑な問題もあったため、90点以上を目標とするには深い理解が求められます。

共通問題の社会

概況

・問題数:大問6題、小問20問(各5点) 
・分野別問題数:地理9、歴史7、公民3、地理公民融合1
・解答形式別問題数:記号選択18、論述2
・記号解答の内訳:四者択一9、二者完答4、四者完答5

設問内容

【2】
・問2 選択肢の文中のキーワードから港湾がある地域を判別するのだが、釜山の判別はほぼ不可能。
・問3 選択肢全てが熱帯で、太平洋に面している国であることから判別が難しい。決定打は植民地支配下での使用言語。

【3】
・問2 選択肢に道県を判別する決定的なキーワードが乏しく、与えられた情報から類推しなければいけないので難しい。
・問3 問題文中には金額が示されているが、グラフには総額と割合しか書かれていないため、計算が必要。問題文中の2つの金額の比較から計算をしないで正解に至ることもできるが、そこに気づくことが難しい。

【6】
・問1 選択肢の文中のドイツ帝国やビスマルクは授業でほとんど触れられないため、他のキーワード(上下水道の整備、路面電車開通)が他の選択肢に比べて古いか新しいかを考えなければいけないので難しい。
・問2 使用言語からカナダは特定できてもその首都の位置の判別はほぼ不可能。
・問3 グラフの読み取りは難しくないが、インドネシアの宗教と旧宗主国を知らなければ国の判別ができない。

昨年度との比較

地理では「砂丘→鳥取」「降雪→日本海側」のように、選択肢の文中の1つのキーワードで正解に至る問題が少なく、難度が上がったといえる。
植民地時代の旧宗主国とそれに伴う使用言語が正解への根拠となる問題が3問あった(【2】問3、【6】問2、問3)。今後このテーマの学習が必要となる。
公民分野は極端に問題数が少なかった。コロナ禍で中3での学習分野の授業時間が十分に確保できていないことへの配慮かもしれない。

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