都立共通問題分析 受験生情報局 | 河合塾Wings 関東
2024年度 都立共通問題分析
共通問題の英語
難易度の表記
A:解くことが必須
B:80点を取るために解くことが必要
C:他の受験生と差をつけるために解くと+α
D:解けなくても仕方ない(時間内に解かないという判断をしてもよい)
【概状】
大問数…大問4題、小問23問
【1】リスニング(5問 各4点)
A(3問)選択式3問
B(2問)選択式1問 記述式1問
例年同様、問題Aで2人の短い会話を聞いて答える問題が3問、問題Bではアナウンスを聞いて答える問題が2問出題された。昨年度よりも選択肢が短く、聞き取るべきポイントが分かりやすくなっている。問題BのQuestion2に対し、to不定詞を使って書き始めることには注意が必要である。
【2】小問(4問 選択問題4点×3問、英作文12点)
問1と問2共に資料を見ながら20行程度の対話文を読み解く問題だった。問1では、解答の根拠となるポイントが早い段階で出ており、必要な情報を頭に入れて読み進めているかが求められた。問2では、地図問題が出題されたが、本文に出てきた情報を順に追うことで解答できるため、正解したい。問3も例年同様、短いEメールの文章を読み、その内容について答える問題と、そのEメールに対しての返事を条件に従って3文で書く問題だった。今年度は「最近心を動かしたもの」がテーマであった。内容の自由度が高いため、難易度が高く感じられるが、比較的点数につながりやすいテーマであるとも考えられる。
【3】対話文読解(7問 各4点)
問題形式は、対話文の読解問題で、傍線部の内容を問う問題が5問、本文の内容に合うように適語を選択する問題が2問出題された。すべて選択問題で、傍線部の直前直後にヒントや答えの根拠が書いてあるため、得点源としたい問題。昨年度新傾向だった問6の問題形式は無くなり、従来の傾向に戻った。問6は、解答の根拠となる言葉が見つけにくいが、選択肢の消去法でも解答できるため、正解したい。
【4】長文読解(7問 各4点)
750語程度の長文読解で、出題形式に大きな変更はなかった。傍線部の内容を問う問題が1問、指定された英文を本文の内容に合う順序に並びかえる問題が1問、適文補充が3問、内容一致が2問出題された。本文内容を問う問題については、問3と問4を出題された順番に解答すればよいという点で、昨年よりも解きやすいものであったと考えられる。
【昨年度との比較】
昨年度と比較すると、難度は下がったと思われる。語数も減り、新傾向の設問もなかった。内容自体は易しいが、やはり選択肢の訳(だれが何に対して、何をしたのかなど)を丁寧に細かく掴めているのかがカギである。文章の速読練習に加えて、選択肢の訳も速く正確に行えるように備えることを意識してほしい。
共通問題の数学
難易度の表記
A:解くことが必須
B:80点を取るために解くことが必要
C:他の受験生と差をつけるために解くと+α
D:解けなくても仕方ない(時間内に解かないという判断をしてもよい)
【概況】
大問数…5題 小問数…19問
例年と問題数・配点に変更はなく、中学学習単元から満遍なく出題された。
全体的に計算はやや優しくなっており、計算に至るまでのプロセス(考え方)を重視するような内容であった。
学習内容がしっかり定着していれば高得点を目指せた一方で、勉強が不足し手が出ないという問題には全く立ち向かえなかったのではないかと思われる。
【設問内容】
【1】小問集合(9問 問1~8…5点、問9…6点)
出題内容は、正負の数の四則計算、文字式の計算、根号を含む計算、1次方程式、連立方程式、2次方程式、箱ひげ図(データの活用)、円周角の定理、作図であった。都立入試で箱ひげ図の問題が出題されたのは、学指導要領の改訂があった2019年以降で初めてとなる。昨年までは問7は確率とデータの活用が交互に出題されていた。他の問題の傾向は変わらず、箱ひげ図も選択問題で比較的解きやすいことから【1】の全体的な難易度は、例年通りと言える。
【2】文字式の利用(2問 問1…5点、問2…7点)
問1は、2つの等高図形の面積を比較する「等積変形」の問題であった。本問は比較する図形を正確に読み取ることができれば、正答は平易な問題と言える。問2は2つの図形の面積が等しいことを示す問題であった。使用する文字が多いため、立式して整理することに苦労するが、丁寧に図に条件を書き込んでいけば完答可能である。また、示し方によっては問1よりも考えやすい方法をとることも可能であった。
【3】2次関数(3問 各5点)
今年度は「2次関数」からの出題であった。ここ数年「2次関数」と「1次関数のみ」の問題が隔年で出題される傾向があり、これが継続する形となった。問1は変域の問題で、2次関数では頻出の問題であった。問2は2点を通る直線の式を求める問題で、問題の条件を読み落とさずに立式できれば比較的平易な類いとなる。やや遠回しに座標の位置を示しているため、落ち着いて取り組む必要があった。問3は動点の座標を使用して、2つの三角形の面積について文字を使用して立式する問題であった。愚直にまとめていこうとすると煩雑になってしまい、整理が追い付かず匙を投げることになりかねない問題である。最終的な計算は易しいが、立式までの過程を鑑みると「差がつく」一問に数えられる。
【4】平面図形(3問 問1…5点、問2①…7点、問2②…5点)
長方形と平行線に関する問題が出題された。問1は例年通り、指定の角度を文字で表す問題であった。文字の取り扱いを誤らないことと、平行線の錯角・同位角が身についていれば平易な問題であった。問2の①は相似の証明で、これも平行線の錯角・同位角を利用して書ききることが可能な問題であった。証明自体は平易だが、論理立てて書くことに関して練習量が問われる問題であった。問2の②は、複数の相似を利用して連比を用いて解く問題である。問題としては頻出の形だったが、この出題形式の問題に対する演習量が不足していると正答できない問題と言える。
【5】空間図形(三角柱)(2問 各5点)
三角柱を用いた問題であった。問1は切断面に対する角度を求める問題であった。点Pの位置が定まっていないことで正答を導けない受験生もいたと考えられる。問2は四角錐の体積を求める問題で、平面に対する高さをとらえられたか否かが勝負を分ける問題であった。空間図形や平面図形に関する、これまでの学習の定着及びその利用を測る問題であり、図形問題に対する理解力が正誤を分けた大問であった。
【昨年度との比較】
問題として大きく変わったのは大問1のデータの活用の問題のみであった。各大問の特徴として例年以上に「思考力を問う問題」に重点を置いている様子がみられた。これらは必要とされる知識とその利用のレベルから立式までのハードルはやや高い部類であるため、入試当日に正答するためには日頃より公式や解答の棒暗記をせずに「自ら考え立式して解く学習」を行って力を伸ばしていく必要があった。加えて、今年度は一部を除き全体的に煩雑な計算を要求する問題はかなり少なかったため「計算力」よりも「活用する力」が求められる入試問題であった。
共通問題の国語
難易度の表記
A:解くことが必須
B:80点を取るために解くことが必要
C:他の受験生と差をつけるために解くと+α
D:解けなくても仕方ない(時間内に解かないという判断をしてもよい)
【概況】
問題数…大問5題 小問25題
【設問内容】
【1】漢字の読み
中学1・2年生で学習する漢字の全範囲から出題された。今年度も特別難しい漢字の出題はないため全問正解が望ましい。
【2】漢字の書き
小学校で学習する漢字の中から出題された。漢字の読みと同様に全問正解が望ましい。
【3】小説文(辻村深月「この夏の星をみる」約2,730字、前年比+約100字)
表現の特徴(1問)、心情把握(3問)、理由説明(1問)に関する選択肢問題が5問出題された。登場人物の人間関係や動作、会話から心情を読み取っていく必要がある。問いは全て記号問題であり、記述に関する出題は9年連続で出題されなかった。
【4】論説文(長谷川眞理子「進化的人間考」 約4,080字、前年比+680字)
選択問題は、傍線部の内容を問うものが1問、筆者の意見の根拠を問うものが2問、文章構成における段落の役割に関する問いが1問出題された。記述問題は「互いの思いを一致させること」というテーマで、自分の話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて200字以内でまとめるという内容だった。記述問題が最も配点が高く(10点)、持ち時間をどれだけ充てられるかが鍵となっている。
【5】融合文(高橋和彦「無名抄全解」約3,840字、前年比+1,340字)
和歌に関する対談と、対談中に出てくる「鴨長明が書いた『無名抄』と藤原定家が書いた『明月記』」を比較する文章からの出題だった。古文には現代語訳がついており、それぞれを対応させれば内容把握はそれほど難解ではない。問は全て選択問題で構成されている。また、問5では文法の「が」に関する問いが出題され、問4では現代語訳の問いが出題だった。
【昨年度との比較】
・昨年同様、記述問題は200字作文のみの出題。
・文章量は全体で+2,120字と増加。
・文章量の増加はあったものの、設問も難解なものは少なく、平易な難易度であった。
共通問題の理科
難易度の表記
全体の7割 A:解くことが必須
全体の2割 B:80点を取るために解くことが必要
全体の1割 C:他の受験生と差をつけるために解くと+α
D:解けなくても仕方ない(時間内に解かないという判断をしてもよい)
【概要】
問題数:大問6、小問25(各4点)
4分野ごとの問題数:生物6、地学6、物理6、化学7 ※昨年度と問題構成は変わらず
解答形式別問題数:記号選択23(うち計算が必要な問題は5つ、完答1)、記述2 ※記述が1増加
【設問内容】
【1】4分野からの小問集合
4分野の出題内容は、水素の燃焼・電力量・動物の分類・原子の構造・気象観測・ヘモグロビンの性質であった。見慣れない内容は出題されず、基礎知識を身につけていれば取り組みやすい問題である。
【2】4分野それぞれのレポートを読んで解く問題
4分野の出題内容は、化石の種類・酸化銅の還元・光の屈折・生態系ピラミッド。
問2 都立入試ではあまり見られない形式だが、問題の条件を正確に読み取り割合の公式に当てはめる力が必要だった。
問3 光の屈折に関する問題。ガラスの厚みが変化したことによる光の進み方を考える必要があるため、正確に作図できる力が求められた。
【3】(地学)地球と太陽
問4 6月の太陽の動きと夜の長さに関する問題。1年間のうち南中高度や昼・夜の長さが変化する理由について、正確に理解しておく必要があった。
問1~問3は典型的な問題であったため、全問正解したいところ。
【4】(生物)植物のはたらき
問2 光合成と呼吸に関する問題。基礎知識を求める問題であったが、6か所の穴埋め問題であったため問題を正確に読み取る力が必要だった。
3問ともに典型的な問題であるため、正解したいところ。
【5】(化学)物質の溶解
問2 質量パーセント濃度の問題。公式を理解し、問題を正確に読み取る力が必要である。
問4 問2同様、質量パーセント濃度の問題。蒸発させる溶媒の質量を求めるため、公式に当てはめるだけでなく一工夫必要な問題であり、そのため、正確な計算力が求められた。
【6】(物理)力学的エネルギー
問1 仕事の大きさ、作用反作用の関係に関する問題。「つりあいの関係」と「作用反作用の関係」は間違えやすいため、正確な知識が求められる。
問4 位置エネルギーや運動エネルギーに関する問題。問題文から実験の様子を正確に読み取る力が求められている。
【昨年度との比較】
「質量パーセント濃度」の知識や計算を必要とする問題が2つ出題された。その他にも、割合や平均の速さを求める問題が出題されており、計算を必要とする問題の割合が昨年と比べ増加した。
記号選択問題では、完答とする問題が昨年の4つから1つへと減少した。
今年度は昨年同様、基本知識を問う問題が多く出題されたため解きやすかったと考えられるが、高得点をとるためには基本知識だけでなく、実験観察とその結果を正確に読み取る読解力が求められる。
共通問題の社会
難易度の表記
A:解くことが必須
B:80点を取るために解くことが必要
C:他の受験生と差をつけるために解くと+α
D:解けなくても仕方ない(時間内に解かないという判断をしてもよい)
【概状】
・問題数:大問6、小問20(各5点)
・分野別問題数:地理7、歴史6、公民5、地歴1、地歴公1
・解答形式別問題数:記号選択17、論述3
・記号解答の内訳:四者択一6、二者完答4、四者完答7
【1】
問1 資料の読み取りに時間がかかる。
問2 冷静に問題文を読めば「戦国時代」とあるので分国法を選べるが、武家諸法度の「婚姻禁止、築城禁止」の知識を持っていることによって、武家諸法度と勘違いしやすい。
【2】
問1 国の特定については、「コーヒー豆の生産量で世界第5位」からエチオピアを選ぶことが難しい。
雨温図については、冷静に問題文を読めば「標高約2,350m」とあるので高山気候の雨温図を選べる。また、地図中の国にタイがあり、熱帯の雨温図はタイである。しかし、問題文にある「コーヒー豆」が熱帯作物であるという知識を持っていることによって、誤って熱帯の雨温図を選びやすい。
【6】
問2 リーマンショックの内容とその時期を知らないと正解を選びにくい。
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