2022年度 国立高校問題分析 受験生情報局 | 河合塾Wings 関東
2022年度 国立高校の入試問題分析
国立の英語
2022年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
リスニングと長文2題の大問3題構成となっており、昨年度からの変更はない。小問についての変更点は、英作文が1問から2問となり、英作文の合計配点が8点から16点と倍増している。また、本文中にある単語の発音問題が出題されており、新傾向と言える。大問別の特徴とその対策については以下の通りである。
【2】は、昨年度と同様に対話文形式であり、理系の内容を扱っている。本年度は頻繁に取り上げられる地球温暖化についての英文であり、「全世界で何をすべきかではなく、個人レベルで何をすべきかが温暖化を止めるカギとなる」という内容である。本校は抜き出し問題が多く、【2】の配点のうち30%(12点)を占め、難度も高い。合格点を取るためには、抜き出し問題の対策が不可欠である。内容一致の客観問題については標準的な問題が多い。
【3】も昨年度と同様に物語文が出題されている。主人公のLisaが学校から帰る途中で出会った迷い猫が、家までついて来てしまう。そして、その猫との共同生活を通じて、ペットには特別な力があるということを学んだという話である。表現も内容も平易で読みやすく、内容一致の客観問題については標準的な問題が多い。しかしながら、英作文については、何を?英語で表現するのは非常に大変であり、苦労した受験生が多かったのではないかと考えられる。使用語数も標準的である。極端な速読は要求されていないが、英作文と抜き出し問題の難度を考慮に入れると、必要な情報を見つけ出し、考えるための時間を確保しなければならない。日頃から時間を強く意識した速読練習を行い、本校に最適化した対策が必要である。
国立の数学
2022年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
昨年は【1】が6問構成だったが、今年は例年通り5問構成に戻った。他は昨年同様、【2】が関数、【3】が平面図形、【4】が空間図形からの出題と例年通りの構成であった。
【1】は問5の作図が、知識や発想力を要する問題であり、初見で解法が浮かぶ生徒は少なかったと思われる。すぐ解法が浮かばない場合は、ひとまず後回しにして次の問題に取り組むのが鉄則である。
【2】は、問2(1)が三角形の面積が等しくなる時の座標を求める問題であった。等積変形を利用する問題であるが、昨年も同様の出題がされているので、過去問に真摯に取り組んでいれば解ける問題である。
【3】は平行四辺形を含む(円は含まない)平面図形の問題であった。問2では、平行線と相似比を利用して、線分比を求める問題であるが、「チェバの定理」を使いこなせる生徒であれば取り組みやすい問題であった。「公式などを知らなくても解けるが、公式を使えばより明解に解ける問題」は難関自校作成校では頻出である。過去問の答え合わせをする際は、別解がないか探す・質問する習慣をつけておこう。
【4】は立方体が関係する空間図形の問題であった。問1(2)は、PQ+QCの長さが最も短くなるときの三角形の面積の和を求める問題であった。展開図の一部を考えることで解決する問題であるが、PQが立方体の内部にある線分なので、そこで手が止まってしまった生徒もいると思われる。
国立の国語
2022年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
【1】漢字の読み 10点 【2】漢字の書き取り 10点
【3】小説文 24点 【4】論説文 36点 【5】融合文 20点
出題形式は例年とほぼ同様である。論説文の記号問題では紛らわしい選択肢があり考えさせる一方、抜き出し記述問題が比較的平易なレベルであるのも踏襲されている。強いて例年と異なる点を挙げるなら、【3】小説の問6。内容に対する考察を生徒が話し合う会話文を用いた問題は、本年度は青山高校や、立川高校も採用しており、他府県公立入試では例年よく出題される。本校のような難関校を受験するなら、あらゆる入試問題を解き慣れて経験値を高めておきたい。出題傾向に変化があっても動揺せず制限時間内に問題を解き終えるスキルは必須である。
【1】、【2】(漢字の読み書き)
昨年に引き続き読み書きともに四字熟語が出題された。また、読みの「頑是ない(がんぜない=幼い。無邪気)」、書きの「リヒキョクチョク(理非曲直=不正なことと正しいこと)」など、高い語彙力が求められている。
【3】(小説文「君と漕ぐ4」/武田綾乃著より 約4,000字)前年比がない
受験生と同世代の登場人物による部活動というシチュエーションは入試小説の定番。心理状態も読み取りやすく、記号問題と抜き出し問題は高い正解率のはず。ただ、例年にない20~25字の記述が書けたかどうか。武田綾乃氏の作品は「響け! ユーフォニアム」など、同じく部活動を題材とした小説文が他高校入試で過去に出題されている。
【4】(論説文「倫理学入門」/品川哲彦著より 約3,200字)前年比がない
「倫理学とは、他人の立場に身を置いて共感しようとするのはなぜかを問うもの」という主旨の文章。ただ、哲学者ヒュームや進化人類学者マイケル・トマセロの意見の引用部分が多く、筆者自身の意見が掴みにくい印象の文章であった。記号選択に悩む問題もあり、200字作文は「相手の立場に立つ利他的な共感」という具体的な事例が浮かぶかどうか、かなり難度の高い問題である。
【5】(融合文「〈ひらがな〉の誕生」/山口謡司著より 約2,000字)前年比がない
徒然草(第八十二段)を引用した融合文。ひらがなは、漢字のくずし字である草書体から生まれた、いわば「不完全な字」、だからこそ美しいのだ、という主旨の文章。兼好法師が徒然草(第百三十七段)で「花は盛りに月はくまなきをのみ見るものかは」と、不完全に対する美意識を述べているのを知っている人は理解しやすい文章であろう。現代語訳の部分も多く、全体として短い文章だったこともあり、比較的取り組みやすい問題であった。
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