2022年度 日比谷高校問題分析 受験生情報局 | 河合塾Wings 関東
2022年度 日比谷高校の入試問題分析
日比谷の英語
2022年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
【2】は海外からの留学生を含む、4人の学生による対話文形式の出題。「グループにおけるリーダーの存在」というテーマで、ハト・ゾウ・シャチ・チンパンジーなどの様々な動物の群れのリーダーの特徴を理解するという読解力が求められた。問5では会話の流れに合うように、15語以上の英語で発言を書く英作文も出題された。選択肢の問題は比較的難度は高くないことから、読み取った内容をまとめた上で英文を書くという練習は、普段から必要だと考えられる。
【3】はケガにより部活の練習に参加できなくなった少年の心の葛藤と成長を描いた物語文。設問の難度に関して、適所選択・空所補充等の選択問題は比較的易しめで、多くの受験生ならば正解したであろうというレベルだった。ただ、問3の並べ替え問題は、前後関係からのみ解かなければならないので、難度は高かったと感じられた。「何の英文法なのか?」を早く気づけるのかどうかが合格のカギと言っても過言ではない。また、問5の30語以上の記述問題。少年自身が大会に出られなくても、価値のある勝利だったと後述した理由を、少年の経験・成長を踏まえた上で、制限時間内に正しく書くのは、多くの受験生が困惑したのではないか。普段から簡潔な表現で自分の考えとその経緯・理由を英語で書いたり、他の人が書いた表現を参考にしたりと、自身の表現のレパートリーを増やしておくことも記述対策の勉強法になるだろう。
【4】は公共施設の建設にあたり、2つの資料の「良い点」と「問題点」の両方を1つずつとりあげ、それぞれの理由も含め50語以上の英語で記述する問題。資料1ではある市の人口別グラフ、資料2ではその計画。それぞれの資料を読み取る能力・分析力を踏まえた上で、自分の英語力に合わせて表現するということから、難度はかなり高いと考えられる。しかし、この英作文の得点が他の受験生との差につながるとも考えられるので、普段から自分の英語力にあった分析能力・表現力を意識することが大切だと言える。最後に、ライティング対策はもとより、いかに速く読み取り、記述の時間を確保できるかも合格へのカギとなるはず。普段からスピーディな処理能力を高めることに重きを置いていこう。
日比谷の数学
2022年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
【1】は例年通り、小問5問の出題であった。問3では、1次関数の切片から答えを絞る必要があり、しっかりと答えを吟味できるかが問われた。問5の作図では複数の解法が考えられる。「2定点を見込む角の作図」をはじめとする角度の作図には慣れておきたい。
【2】も例年通り、座標平面における関数のグラフの問題であった。いずれの問題も難度自体は低かったが、正解を得るには細かな注意を必要とした。問1では、座標を文字で置いた場合の符号の扱いが問われた。難度の低さの割に正答率は高くないと予想される。問3はうまく「等積変形」などを用いれば途中の計算が複雑にならずに済んだはずだが、「ゴリ押し」で解いた受験生は式の複雑さに苦戦したかもしれない。
【3】も例年通り、円をテーマとした平面図形の問題であった。3問とも例年のものと比べるとかなりシンプルな問題であったため、取りこぼしは許されないであろう。問3のような「直角三角形の相似」を探す問題は頻出であるから、十分慣れておきたい。
【4】も例年通り、立体図形の問題であった。大問3と同様、3問とも非常に取り組みやすい問題であった。いずれの問題も作問者の意図に気づければ計算の量も少なく済んだが、回りくどい解法を選んだ受験生も多かったかもしれない。問2のような「高さの比と体積比」、「線分比と面積比」を利用する問題にも慣れておこう。
最後に、ここ2年本校の数学は、受験生の得点に差をつけるため、難度を今までより意図的に下げてきた節がある。これには高校側の「数学力のある生徒がほしい」という狙いが感じられる。これからの合格の「カギ」は数学なのかもしれない。
日比谷の国語
2022年度入試問題
難易度の表記
A:易問(全問正解したい)
B:標準問(受検者平均を取るために正解したい)
C:難問(差をつけるために得点したい)
D:最難問
問題分析
【1】漢字の読み 10点 【2】漢字の書き取り 10点
【3】小説文 24点 【4】論説文 36点 【5】融合文 20点
【3】の記述問題、【5】の抜き出し問題が無くなって、80字の記述問題と250字作文以外は選択問題となった。250字作文に時間を割くためにも、一読で重要箇所を見抜ける練習を積む必要がある。
【1】、【2】(漢字の読み書き)
読みの「陶冶」、書きの「グシン」「ショサン」など、中学生が日常で接する機会が無い熟語が出題されるのは例年通り。語彙力の強化が合否を分ける。
【3】小説文(「スター」/朝井リョウ著より 約5,200字、前年比+約2,000字)
主人公が著名な映画監督との対話を通じて映画制作に大切なことを学んでいく過程を描いた作品。年長者との対話を通じて年少の主人公が気づきを得るという展開は、2018年度以降、継続して出題されている。2022年度は記述問題がなく、全て記号選択だった。比喩の内容を的確に把握する練習が必須となる。
【4】論説文(「文明の死/文化の再生」/村上陽一郎著より 約3,600字、前年比-約500字)
ヒトを人間たらしめる伝統と、他の伝統に対する「寛容」の必要性を説いた文章。「文化相対主義」という内容で受験勉強の過程で触れたことのある話題を連想できた受験生は読みやすく感じたのではないか。250字作文の問6の導入として問5を書き上げることが必要である。【3】・【5】での時間短縮ができるかどうかが鍵となる。
【5】融合文(「月は東に―蕪村の夢 漱石の幻―」/森本哲郎著より 約3,700字、前年比-約1,100字)
与謝蕪村が句中で用いた「三径」という言葉を紹介し、「文人」のあり方を説明する文章。3首の漢詩、国木田独歩の「武蔵野」、複数の俳句や狂歌が引用されているが、口語訳が付されているのは王維の漢詩「鹿柴」のみ。周辺の説明を丁寧に読み取ることが要求される。
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