今春の都立高校入試を振り返る 受験生情報局 | 河合塾Wings 関東
2023年度の都立高校入試を振り返る
全日制都立高校の一般入試の受検状況
今春の都内公立中学校卒業者数は77,600人余りで、昨春より1,500人増加しました。これは2年連続の増加となり、併せて全日制都立高校の募集人数も約6,00人増の41,000人となりました。それに対して受験者数は約7,00人の増加となり受験倍率は昨春同様の1.28倍でした(表A参照)。
私立高校授業料無償化や新型コロナの感染状況なども重なり私立高校志向が高まっていましたが、コロナの状況が落ち着いてきたことや物価高の影響もあり、都立志向率低下に今春は若干の歯止めがかかりました(表B参照)。
進学指導重点校(日比谷・西・国立・戸山・青山・立川・八王子東)と進学重視型の単位制高校(新宿・国分寺)などの都立トップ校は大学受験の実績に裏づけられた人気を保ち、受検生にとっては厳しい入試が続いています。進学指導重点校と進学指導特別推進校(新宿・国分寺・駒場・町田・小山台・国際・小松川)の入学手続き後の辞退者は合わせて34人(内:日比谷13人)で、昨春の43人より減少傾向にあります。納得のいく私立高校の合格が取れれば都立高校は1ランク上や人気校にチャレンジするという動きが強くなり、人気校に受検者が集中する二極化が加速しています。
入試制度の変更点と令和6年度入試の展望
(1)男女枠緩和措置の拡大
男女枠緩和とは男女別に設けられている定員の一部を男女合同で選抜する制度のことで、昨春より全校で導入され、今春はその制度枠が20%に拡張されました。
その結果、進学指導重点校では日比谷と八王子東で男子の合格者が、青山で女子の合格者が緩和された分若干増えていますが、全体として大きな影響はありません(表C参照)。これは上位校においては内申点の男女差は小さいためと考えられます。その一方、共通問題上位校においては男女の倍率に差がある学校は大きな影響が出ています。特に女子の受検者が多い三田、広尾、竹早、などは実際には20%以上の男女差があると思われます。
まだ実施年度は発表されていませんが、次の段階としては普通科の学校すべての学校が男女合同選抜への移行となります。以前より男女合同選抜である普通科単位制の状況を見ると、推薦で高内申の生徒が合格しているため、ボーダー上では男女の内申差は狭まっています。早ければ来春の入学者選抜から男女合同選抜が実施されますので、男子は内申対策を、女子は学力をしっかりつけておくことを意識しましょう。
(2)ESAT-Jの影響
都立スピーキングテスト(ESAT-J)が今春より実施されました。A~Fの6段階の評価を20点満点の点数として取り扱い、総合得点1,000点満点に加算する形で合否判定を行います。
今春の結果はA~C評価割合が全体の74.2%となり、4人に3人はC評価以上でした。これは以前のプレテストと比較すると点数差が縮まっており、特に進学指導重点校を中心に合否判定に大きな影響はなかったと思われます。
ただしA評価でないと大きなマイナスとなる訳ではありません。当日点で十分挽回できますので、ESAT-Jに向けてまずはスピーキング力と併せてリスニング力を強化しつつ、5教科の学力検査に向けてしっかりと準備をしておく必要があります。
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