河合塾グループ 河合塾
学年と地域を選択
設定

学年と地域を選択すると、必要な情報がすぐに見つかる

塾生ですか?

はい
いいえ

河合塾>校舎・教室一覧>K会本郷教室>スタッフからのお知らせ

スタッフからのお知らせK会本郷教室

21件の新着情報があります。 21-21件を表示

|1|2|3|次の10件

━【「音楽から見る数学6」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━

2023年9月7日 更新

"

━【「音楽から見る数学6」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━
★このコラムでは、数学と音楽の両方に魅せられてきた筆者が、数学と音楽の共通点を考える中で見えてくる数学の魅力について、筆者なりの言葉でお伝えしていきます★

― 41平均律? ―

こんにちは。元K会数学科講師の布施音人です。
今日は12平均律以外の平均律について、連分数展開と関係した面白い事例を紹介します。

以前のコラムで、音程と指数・対数の関係について述べました。要約すると、人の耳は、2音の周波数の「比」が同じときにその音どうしの音程(音の高さの「差」)が同じだと感じる、ということです。たとえば、1オクターブという音程は、周波数が1:2の関係にある2音の間の音程です。また、その1オクターブという音程をちょうど2等分しようと思うと、1:x=x:2となるようなxは√2ですから、低い方の音の√2倍の周波数を持った音が1オクターブを2等分する音だということになります。同様に、1オクターブをn等分するような音程は1対(2のn乗根)の周波数比を持った音程です。

一方で、人の耳は周波数比が小さい整数どうしの比で表される音程を心地良く感じる、ということも述べました。これは音波を物理現象として見た場合の「うなり」からも説明がつきます。ここで、2のn乗根(nは2以上)は分数では表せませんから、1オクターブを等分することで人工的に作った音程(平均律)と、人の耳に心地良いとされる周波数比が整数比の音程たち(純正律)とは、ぴったり一致することはなく、ある程度の近似をするしかありません。

そこで、たとえば周波数比が2:3の音程をよく近似できるように1オクターブを等分するにはどうすればよいか、ということを考えてみましょう。純粋な数の問題に言い換えると、log_2(3/2)をよく近似する有理数を求めるということです。実数の有理数による近似には色々な方法がありますが、ここでは連分数展開を用いてみます。
ここで連分数展開とは、実数xを、整数a0と正の整数a1,a2,a3,...を用いて、x=a0+1/(a1+1/(a2+1/(a3+1/(...))))のように分母が無限に続く分数の形で近似することとします。
これを求めるには次のようにしていきます:

まずxを超えない最大の整数をa0とする。x-a0が0ならばそこで打ち切るし、そうでないならばx-a0は0より大きく1より小さい実数なので、その逆数に対しそれを超えない最大の整数をa1として、あとは同様にa2,a3,...を求めていく。
連分数展開がどこかで終わるならばそれは有理数ということですが、log_2(3/2)は無理数ですから、連分数展開は永遠に続きます。それを途中で打ち切ることで、有理数による近似を得ることにします。
さて、もう結果を書いてしまいますが、log_2(3/2)の連分数展開は、0+1/(1+1/(1+1/(2+1/(2+1/(3+1/(...))))))と続いていきます。これを途中で打ち切るとどうなるか、いくつか計算してみましょう。
1/(1+1/1)=1/2、これは音でいえばオクターブを2等分した音程に対応します。
次は1/(1+1/(1+1/2))=3/5です。インドネシアの民族楽器ガムランの調律は一種の5平均律であり、関係があるかもしれません。
その次は1/(1+1/(1+1/(2+1/2)))=7/12です。12平均律が現れました。周波数比2:3の音程は完全五度という音程ですが、それは12平均律で近似する場合には半音7個分ですので、合致します。
ではその次はというと、1/(1+1/(1+1/(2+1/(2+1/3))))=24/41です。41というあまり見かけない数字が現れるのは面白いところですね。実際に41平均律のピアノを用いた音楽家などもいるようです。

さらに次を考えたり、log_2(5/4)など別の音程から出発したりなど、いろいろと発展性もある話題かと思います。興味のある方はいろいろと計算したり様々な平均律について調べてみると面白いでしょう。

"

|1|2|3|次の10件

MENU
K会本郷教室トップ
施設案内
地図・アクセス
設置コース
スタッフからのお知らせ