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スタッフからのお知らせK会本郷教室

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━【「言語学をのぞいてみよう その36」(K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━

2024年1月11日 更新

━【「言語学をのぞいてみよう その36」(K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━
★このコラムでは、東京大学大学院にて言語学を研究している筆者(K会の英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★


慣習はどのように生まれるか?

 東京のエスカレーターでは、立つ人は左側に立ち、歩く人は右側を歩きます。これは法律や条例によって決められたことではありません。むしろ公的には、エスカレーターは誰しも歩かずに立ち止まって利用することが推奨されています。「立つ人は左側、歩く人は右側」というのは、人々の間の暗黙の合意であり、いつの間にか生まれた慣習であると言えるでしょう。しかし、誰かが決めたわけでもないだろうに、このような慣習が生まれるのはなぜなのでしょうか。また、地域によっては「立つ人は右側、歩く人は左側」という、東京とは逆の慣習が成立している場合もあります。東京もこうなっても良かったはずですが、どうしてこうはならなかったのでしょうか。
 これらの疑問に答えるにあたって、少し遠回りをして、次のような例を考えてみましょう。あなたが友人に電話を掛けて話をしている途中で、突然、通話が切れてしまいました。再び電話を繋げて会話を続けたい場合、どうするのが良いでしょうか。あなたには選択肢が二つあります。自分から掛け直すか、相手(友人)が掛け直してくれるのを待つかです。通話を再開できるならどちらでも構いません。一方、友人の方にも同様に二つの選択肢があります。自分から掛け直すか、相手(私)が掛け直してくれるのを待つか。つまり、合計で四つの場合が考えられます。

(A) あなた:掛け直す 友人:掛け直す
(B) あなた:待つ 友人:待つ
(C) あなた:掛け直す 友人:待つ
(D) あなた:待つ 友人:掛け直す

 (A)のように二人が同時に掛け直してしまうと電話が繋がりませんから、避けなければなりません。また、二人が同時に相手の電話を待つ(B)も避けたいところです。双方が相手の電話を待っていては、いつまでたっても通話は再開できません。通話が再開できるのは、あなたが掛け直して友人が待つ場合と、あなたが待って友人が掛け直す場合、つまり(C)か(D)の二通りです。望み通り通話を再開するためには、それぞれ相手と異なる選択をすることが合理的になります。

 エスカレーターのどちら側に立つかという問題は、この問題とよく似ています。ただし、エスカレーターにおいては、他の人と同じ選択をすることが合理的になります。誰しも、立って利用するのであれ歩いて利用するのであれ、他人を邪魔したり他人に邪魔されることなく、快適にエスカレーターを利用したいと考えていることでしょう。このために避けるべきは、左側に立つ人と右側に立つ人が混在している状況です。この状況では、歩く人はうまく歩くことができませんし、立つ人にとっても、後ろに歩きたい人がつかえていたら落ち着いて立っていられません。それゆえ目指すべきは、「立つ人はみな左側、歩く人はみな右側」という状況か、あるいは「立つ人はみな右側、歩く人はみな左側」という状況のいずれかです。皆がそれぞれ、他の人と同じ選択をすることが合理的になるわけです。

 ただし、ここで注意してもらいたいのは、合理性というものはあくまで目的に依存するものであるという点です。目的が異なれば、そのためにどのような行為をすることが合理的になるかも変わります。例えば、「エスカレーターに負荷をかけないようにする」という目的や、「エスカレーターを安全に利用する」という目的のためには、皆が立ち止まってエスカレーターを利用することが合理的になるでしょう。しかしここで問題にしているのは、「現に立つ人と歩く人がいる状況において各々ができるだけ快適にエスカレーターを利用する」という目的にとって何が合理的になるかということです。この目的のためには、「皆が一様に左側に立つ」か、あるいは「皆が一様に右側に立つ」ことが合理的になるということです。

 それゆえ、左側に立っている人がいるのを見れば、自分も左側に立つことでしょう。そして、その人が左側に立つところを見て、他の人がそれにならい、さらにそれを見た別の人がそれにならい……ということが繰り返されれば、左側に立つ人が次第に増えていきます。そして、左側に立つ人が増えれば増えるほど、それにならって左側に立つことを選択する人はさらに増えていき、最終的には皆が左側に立つことを選択するようになります。比喩的に、このように言うこともできるでしょう。山道を歩くあなたの前に「左側に立つ」という獣道と「右側に立つ」という獣道の分岐があります。どちらの獣道も通りやすさに差はありません。あなたは、たまたま「左側に立つ」という獣道を選びます。するとあなたが通ったことによって、その獣道が踏み固められ、少し歩きやすくなる。そのため次にここを通る人は、「右側に立つ」という道よりも、「左側に立つ」という道を選びたくなります。「左側に立つ」という道を選択する人が増えるほど、この道はよく踏み固められた大きな道になっていく。しまいには、誰しも「左側に立つ」という道を選ぶようになり、「右側に立つ」という道は廃れてしまうことでしょう。こうして、「左側に立つ」という慣習が成立します。

 以上から、東京のエスカレーターで「右側に立つ」という慣習ではなく「左側に立つ」という慣習が成立したことには、大いに偶然が関わっていることがわかります。東京でエスカレーターが普及し始めた頃、もしたまたま右側に立つ人が多ければ、東京でも「右側に立つ」という慣習が成立していたことでしょう。なぜなら、その場合には他の人にならって右側に立つことが(上で述べた目的にとって)合理的になるからです。

 考えてみると、私たちが日頃行っていることの多くは、慣習によるものだと考えることができます。例えば、相手に同意していることを示すときに、私達は頭を縦に振るように動かす(つまり、うなずく)ことをしますが、同意を伝える手段は別にこれでなくても構わないはずです。例えば、首を横に振るような動作でも良かったはずです。しかし、他の人が首を縦に振ることで同意を表しているなら、自分も同じようにしなければ誤解が生じてしまいます。コミュニーケーションを成立させるという目的のためには、各々が他の人と同じことをすることが合理的になるということです。皆が首を横に振ることで同意を表しているなら、コミュニーケーションを成立させるために自分も同じように首を横に振って同意を表すことになるわけです。現に、そのように同意を表現する文化は存在します。

 私たちが用いる言葉も同様です。日本語の話者たちは、neko という音を用いてあの哺乳動物を表しますが、この意味を表す音が neko でなければならなかったわけではありません。ご存知のように、例えば英語話者の間では kæt という音を用いてあの動物を表します。あの動物を表す音は neko である必要も kæt である必要もありませんが、周りの人と同じ音を使わなければコミュニーケーションが成立しませんから、他の人が neko と言っているなら自分も neko と言うことが合理的になるし、他の人がkætと言っているなら自分も kæt と言うことが合理的になるのです。

 慣習はある意味で偶然的なものです。しかし、単なる偶然ではありません。そこには、人間の合理的な選択が関わっているからです。東京で誰かがはじめにエスカレーターの左側に立ったのは、偶然であったことでしょう。しかし、この振る舞いが定着したのは「現に立つ人と歩く人がいる状況においてできるだけ快適にエスカレーターを利用する」という目的のために人々が合理的な行為を選択した結果です。誰かがはじめに neko という音を用いてあの動物を表したのは、偶然であったことでしょう。しかし、この振る舞いが定着したのは「コミュニーケーションを成立させる」という目的のために人々が合理的な行為を選択した結果です。偶然に生まれた振る舞いが、人々の合理的な選択によって定着し共有されていくこと。これが、慣習が生まれるということだと言えるでしょう。

━【「音楽から見る数学7」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━

2023年12月10日 更新

━【「音楽から見る数学7」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━
★このコラムでは、数学と音楽の両方に魅せられてきた筆者が、数学と音楽の共通点を考える中で見えてくる数学の魅力について、筆者なりの言葉でお伝えしていきます★

― 対称性と音楽 ―

こんにちは。元K会数学科講師の布施音人です。
今日は、クラシック音楽における対称性の現れについて述べてみたいと思います。

音楽、特に楽譜を細かく指定する西洋クラシック音楽においては、楽曲の中にある種の構造がパズルのように入れ込まれた例が数多くあります。
たとえば、偉大な作曲家、J.S.バッハの作品で「蟹のカノン」と呼ばれる楽曲があります。この楽曲は、楽譜の先頭からと末尾からとで同時に演奏すると美しく調和するというものです。これは楽譜の「横方向」の一種の対称性といえるでしょう(左右を逆転させて完全に一致するわけではないので、「左右対称」ではありませんが、音楽が調和するという意味での緩い「対称性」です)。
また、モーツァルト作とされている「回文的逆行可能なカノン」は、横方向だけでなく、楽譜の上下を逆にしたものも音楽的に成立しており、これも元の譜面と同時に演奏すると調和します。この場合、「横方向」「縦方向」両方の対称性を持っているといえます。

ここで、複数の旋律が同時に演奏されることで出来上がっている音楽について考えましょう。(無伴奏の)合唱曲などを思い浮かべてください。そういった形の音楽は、元々は中世ヨーロッパの教会音楽に起源があり、現代に至るまで様々な発展を遂げてきました。その中に「カノン」「フーガ」と呼ばれる楽曲の形式があります。時代ごとに定義は少しずつ異なりますが、「カノン」は、同じ旋律を異なるタイミングから歌い始めて合奏するもの、「フーガ」は、一つの「主題」と呼ばれる旋律をもとに、ほかのパートはその旋律を「模倣」して楽曲が進行していくものです。ここで「模倣」には、旋律の移調(音の高さを上下に平行移動することです)や、音の高さの上下を逆にすること(「反行フーガ」などと呼びます)、旋律のテンポを2倍や1/2倍などにすること(「拡大フーガ」「縮小フーガ」などと呼びます)なども含まれます。また、主題を発展させる際に、旋律の左右を入れ替えること(「逆行」と呼びます)もしばしば行われます。
楽曲の中で、似た旋律を様々な形で用いたり、特定の旋律を印象的な場面で用いたりといったことは、楽曲に統一感やストーリー性を持たせる、旋律にキャラクター性を持たせるなどの効果がありますが、フーガにおける主題の展開はそれ以上に、パズル的な面白さ、神業のような楽曲構造の美しさを感じさせます。(興味のある方はJ.S.バッハの「フーガの技法」という作品を是非聴いてみてください。)この構造はある種の数学的な対称性といえると私は感じています。

数学における対称性として、線対称や点対称を習ったと思います。線対称は、ある直線に関して裏返す操作を行っても不変という性質です。また点対称は、ある点を中心に180度回転させる操作を行っても不変という性質です。そのほかの「対称性」も、「何らかの操作(複数でもよい)を行っても不変である」という性質としてみることができます。
この観点からフーガの一部を局所的に見ると、移調により関係しあう旋律どうしは音の高さを変えるという操作について不変、逆行で作られた旋律どうしは音の高さを反転させるという操作について不変、拡大フーガや縮小フーガは旋律を時間軸方向に拡大・縮小する操作について不変、というように(大雑把ですが)いうことができます。
もちろん、このような構造だけから、旋律自体がもつ魅力や、旋律が重なって産まれるハーモニーなどを説明することは困難ですが、過去の作曲家たちがフーガなどの楽曲に対称性をこれでもかと詰め込み、そしておそらくそれを楽しんでもいたであろうことに思いを馳せるのもよいかもしれません。

★小学生対象イベント「無限の不思議」のご案内★

2023年11月8日 更新

算数が大好きな小学生のみなさんにイベントのご案内です。
毎年実施しているのですが、今回のテーマは……

無限の不思議

小学校で習う算数の知識を使って、数学の世界での「無限の個数」の調べ方を学んでいきます。

講師は開成高校出身・国際数学オリンピック第60回イギリス大会および第61会ロシア大会の銀メダリスト
宿田 彩斗 さん

同じく開成高校出身・国際哲学オリンピック第27回ローマ大会奨励賞、および2020日本言語学オリンピック金賞
熊谷 勇輝 さん


開催日:12月10日(日)10:00~12:00
会 場:河合塾本郷校
参加費:1,000円(一家族3名様まで)
対 象:小学校の算数を一通り学ばれた小学生の方

★イベントの詳細はこちらから!!

知らないこと、難しいことを一緒に楽しく学びましょう!
親子で、お友達同士で、お誘いあわせのうえぜひご参加下さい★

★冬期講習の申し込みが始まりました★

2023年10月25日 更新

みなさんこんにちは。K会事務局です!

10/17(火)13:00から冬期講習の受付がはじまっています。
設置講座は数学・英語・情報・物理・化学・生物・地理・地学・言語学の全21講座!
詳しくは下記URLよりご確認ください。
https://www.kawai-juku.ac.jp/winter/kkai/

K会の冬期講習は、会員の方以外もお申込みいただけます。
毎年、受講いただいている生徒さんの半数以上がK会生以外の生徒さんです。
初めてK会の講座を受講するという生徒さんもたくさんいますので

「面白そう」 「学んでみたい」 「挑戦したい」

という気持ちがあれば、ぜひご受講ください!

科学オリンピック講座をはじめ、気象学や、数理生物学、方程式論など、
学校では学ぶことのできない魅力的な講座をたくさんご用意してみなさんのお申し込みをお待ちしております!!


【お問い合わせ】K会事事務局
03-3813-4581 日・月除く 13:00~19:00

━【「言語学をのぞいてみよう その35」(K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━

2023年10月6日 更新

━【「言語学をのぞいてみよう その35 」(K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━
★このコラムでは、東京大学大学院にて言語学を研究している筆者(K会の英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★


日本語は珍しい言語か

 日本語は珍しい言語だと思いますか?日本語の母語話者にこのように尋ねると、結構な割合で「はい」という返事が返ってきます。英語のような言語は世界にたくさんあるだろうが、日本語のような英語からかけ離れた言語はきっと珍しかろう、ということのようです。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。日本語は珍しい言語と言えるのか。言えるとしたら、どのような点で珍しいのか。

 まずは音に注目してみましょう。言語はそれぞれ、使われる音の数が(おおむね)決まっています。日本語はいくつくらいの音を使う言語だと思いますか?この数は方言によっても違うし、数え方の違いでばらつきも出るので確かな数字は言えませんが、大雑把に言ってだいたい25前後となります。一方で、英語の音の数はおおよそ40余り。結構な違いがありますね。さて、世界の言語を見渡したときの平均の数はどれほどか。これは、25程度だとされています。日本語の音の数は、まさに世界の平均にあたるということです。また、日本語の母音はa, i, u, e, oの5つですが、母音の数は5つである言語が最も多いことも分かっています。

 次に、文法の点ではどうでしょうか。日本語は、主語や目的語といった文の中での役割を示すために、名詞に「が」や「を」などの要素をくっつけるという特徴を持っています。これに対して、例えば英語は、述語の動詞の前に置かれるのが主語で、後ろに置かれるのが目的語であるといった具合に、文の中での位置を利用する言語です。日本語のように「が」や「を」のような要素をくっつける仕組みを持った言語が珍しいかと言えば、そんなことは決してありません。お隣の韓国語も日本語と非常によく似た仕組みを持っていますし、モンゴル語やトルコ語など、このタイプの文法を持った言語は世界中に数多く見つかります。

 語順についても検討してみましょう。主語(S)、目的語(O)、述語動詞(V)という3つの要素をどのように並べるのが基本か、という観点で世界の言語を分類する伝統的な方法があります。論理的には、SOV、SVO、VSO、VOS、OVS、OSVの6パターンが考えられますね。例えば英語は、”John bought a book.” のように、SVO(主語・述語動詞・目的語)というのが基本的な語順です。一方、日本語の基本的な語順は「ヨシヒコが本を買った」のように、SOV(主語・目的語・述語動詞)です。さて、この6パターンの語順で、最も多いのはどれか。話の流れから予想がつくかもしれませんが、これはSOVです。日本語の語順ですね。日本語の語順は、最も一般的なタイプであるということです。SOV語順は、韓国語、トルコ語、モンゴル語、トルコ語、アイヌ語、バスク語、ベンガル語、ペルシア語、ラテン語など、世界の多くの言語に見られ、全体のおよそ45%を占めます。次の多いのがSVO語順で、こちらが42%ほど。中国語、タイ語、ベトナム語、英語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、チェコ語などがこの語順です。ちなみにV(述語動詞)が先頭に来るVSO語順とVOS語順はぐっと少なく、それぞれ9%と3%ほど。VSO言語の例としてはアラビア語、VOS言語の例としてはフィジー語などが挙げられます。残りはO(目的語)が先頭に来るOVSとOSVですが、これは実に珍しいです。(言語学者の間で)有名な例としては、ブラジルのヒシュカリヤナ語という言語がOVSの語順を持っています。この言語は、少なくとも語順の点で非常に珍しい言語と言って問題なさそうです。

 さて、音の点でも、文法の点でも、日本語が珍しいと言えそうなところは今のところ挙がっていません。他の特徴はどうでしょうか。日本語の顕著な特徴と言えば、敬語が思い浮かぶかもしれません。確かに日本語の敬語の仕組みは非常に複雑で入り組んでいて、特殊に思われます。しかし、敬意を表すための仕組みは、程度の差こそあれ、他の多くの言語にも備わっています。例えば韓国語には日本語の丁寧語や尊敬語に非常によく似た仕組みがありますし、中国語の「你」と「您」、ドイツ語の「du」と「Sie」、フランス語の「tu」と「vous」など、二人称代名詞を敬意や親疎に応じて使い分ける仕組みは様々な言語に見られます。

 では、日本語には珍しいところはないのか。そんなことはありません。例えば、三種類の文字(ひらがな、カタカナ、漢字)を持ち、かつそれらを同時に一つの文の中で使用するのが普通であるという言語は他に思い当たりません。また、「私」「僕」「俺」「うち」「あたい」「拙者」「朕」などなど、これほどまで一人称代名詞が豊富な言語も他には存在しないと言われることがあります。

 日本語は(意外と?)様々な面で普通の言語だが、一つ二つ、珍しい点もある、というのが実際のところなのではないでしょうか。そして、この点ではどの言語も同じと言って問題なさそうです。つまり、様々な点で他の多くの言語と共通しているが、少しは珍しい点もある、というのが普通の言語なのです。その意味でも、日本語が珍しい言語だとは言えそうにありません。

━【特別セミナー申込受付開始!!】━

2023年10月4日 更新

特別セミナーの申込受付が始まりました!
今回は……

シミレーションをしてみよう~確率・統計の予習と答え合わせ~

と題しまして、プログラミングについての講演です。

講師は灘高校出身・国際情報オリンピック第26回台湾大会銀メダリスト
小倉 拳 さん

小倉さんは現在ソフトエンジニアとして働く傍ら、自身の競技プログラミングの経験を活かし日本情報オリンピック女子の春合宿で講師を務めるなど、中高生にプログラミングのノウハウを分かりやすくレクチャーしています。
今回のセミナーではデモンストレーションとして、複雑な計算をプログラミングで一瞬にして計算する様子を見てもらいます。
プログラミングの便利さや凄さを体感していただき、情報科学に親しむきっかけになれば嬉しいです!

開催日:11月3日(金・祝)10:30~12:30
会 場:河合塾本郷校
参加費:1,000円
対 象:中学生・高校生・保護者

★セミナー詳細はこちらから!!

特別な知識は必要ありません!
親子で、お友達同士で、お誘いあわせのうえぜひご参加下さい★

━【「音楽から見る数学6」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━

2023年9月7日 更新

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━【「音楽から見る数学6」(元K会生・元K会数学科講師:布施音人) 】━
★このコラムでは、数学と音楽の両方に魅せられてきた筆者が、数学と音楽の共通点を考える中で見えてくる数学の魅力について、筆者なりの言葉でお伝えしていきます★

― 41平均律? ―

こんにちは。元K会数学科講師の布施音人です。
今日は12平均律以外の平均律について、連分数展開と関係した面白い事例を紹介します。

以前のコラムで、音程と指数・対数の関係について述べました。要約すると、人の耳は、2音の周波数の「比」が同じときにその音どうしの音程(音の高さの「差」)が同じだと感じる、ということです。たとえば、1オクターブという音程は、周波数が1:2の関係にある2音の間の音程です。また、その1オクターブという音程をちょうど2等分しようと思うと、1:x=x:2となるようなxは√2ですから、低い方の音の√2倍の周波数を持った音が1オクターブを2等分する音だということになります。同様に、1オクターブをn等分するような音程は1対(2のn乗根)の周波数比を持った音程です。

一方で、人の耳は周波数比が小さい整数どうしの比で表される音程を心地良く感じる、ということも述べました。これは音波を物理現象として見た場合の「うなり」からも説明がつきます。ここで、2のn乗根(nは2以上)は分数では表せませんから、1オクターブを等分することで人工的に作った音程(平均律)と、人の耳に心地良いとされる周波数比が整数比の音程たち(純正律)とは、ぴったり一致することはなく、ある程度の近似をするしかありません。

そこで、たとえば周波数比が2:3の音程をよく近似できるように1オクターブを等分するにはどうすればよいか、ということを考えてみましょう。純粋な数の問題に言い換えると、log_2(3/2)をよく近似する有理数を求めるということです。実数の有理数による近似には色々な方法がありますが、ここでは連分数展開を用いてみます。
ここで連分数展開とは、実数xを、整数a0と正の整数a1,a2,a3,...を用いて、x=a0+1/(a1+1/(a2+1/(a3+1/(...))))のように分母が無限に続く分数の形で近似することとします。
これを求めるには次のようにしていきます:

まずxを超えない最大の整数をa0とする。x-a0が0ならばそこで打ち切るし、そうでないならばx-a0は0より大きく1より小さい実数なので、その逆数に対しそれを超えない最大の整数をa1として、あとは同様にa2,a3,...を求めていく。
連分数展開がどこかで終わるならばそれは有理数ということですが、log_2(3/2)は無理数ですから、連分数展開は永遠に続きます。それを途中で打ち切ることで、有理数による近似を得ることにします。
さて、もう結果を書いてしまいますが、log_2(3/2)の連分数展開は、0+1/(1+1/(1+1/(2+1/(2+1/(3+1/(...))))))と続いていきます。これを途中で打ち切るとどうなるか、いくつか計算してみましょう。
1/(1+1/1)=1/2、これは音でいえばオクターブを2等分した音程に対応します。
次は1/(1+1/(1+1/2))=3/5です。インドネシアの民族楽器ガムランの調律は一種の5平均律であり、関係があるかもしれません。
その次は1/(1+1/(1+1/(2+1/2)))=7/12です。12平均律が現れました。周波数比2:3の音程は完全五度という音程ですが、それは12平均律で近似する場合には半音7個分ですので、合致します。
ではその次はというと、1/(1+1/(1+1/(2+1/(2+1/3))))=24/41です。41というあまり見かけない数字が現れるのは面白いところですね。実際に41平均律のピアノを用いた音楽家などもいるようです。

さらに次を考えたり、log_2(5/4)など別の音程から出発したりなど、いろいろと発展性もある話題かと思います。興味のある方はいろいろと計算したり様々な平均律について調べてみると面白いでしょう。

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