卒業生インタビューvol.16 北村 隆之介さん 古屋 楽さん(2024年度取材) | 卒業生インタビュー 卒業生インタビュー「K会と私」 | 会員の活躍・卒業生の声 | K会
卒業生インタビュー「K会と私」~卒業生に、K会についてお話しいただきました~
北村 隆之介さん(東京都立武蔵高校出身)/東京大学理科一類進学
古屋 楽さん(筑波大学附属駒場高校出身)/東京大学理科一類進学
国際数学オリンピック日本大会での金メダル受賞おめでとうございました。私も開会式、閉会式を見させていただいたのですが、規模といい、盛り上がりといい、凄い大会だと思ったのですが…。
古屋:そうでしたね。会場は大きいし、思ったより人がいっぱいでした(笑)
緊張はしなかった?
北村:期間中ずっとお祭りムードで、それが楽しくて、緊張はあまりしませんでした。
試験の本当に直前になってやっと(緊張が)来たという感じでしたね。
いろいろな国の人と出会える楽しみもあるしね。
古屋:そうですね。試験のほうはそっちのけというか(笑)
もちろん試験本番の前後は一応試験のことを考えるんですが、それ以外の時間は外国人選手とくだらないことをして遊んだり、ディズニーランドに行って騒いだりとか。
何かエピソード的なことはありましたか?
古屋:数学には関係ないんですけど、国際交流ということでは「たけのこニョッキ」ですね。外国人選手と何かして遊ぼうということになったのですが、その時はトランプ等、誰も持っていなかったので「たけのこニョッキ」のルールを説明したら、最初はポカ〜ンとしていた彼らもだんだん盛り上がってきて、気がついたら1時間位ずっとやっていたんです。ちょこちょこ雑談を挟みつつ。楽しくコミュニケーションができました。
特に仲良くなった国の人はいますか?
北村:私は(試験が)終わった後の遠足の時にルワンダの選手と仲良くなりました。インスタのアカウントを交換して、今でも時々連絡を取ったりしています。昨日ちょうど連絡があったのですが、彼は私の日本の知り合いの人となんと同じ年にマサチューセッツ工科大学に入学して、そこで共通の知り合いの私のことを話題にして意気投合したらしいです。
数学オリンピックで得られたものはありましたか?金メダルはもちろんのことでしょうけど。
北村:1週間は長いようで短かったんですけど、その間コミュニケーションが主に英語なので、1週間で英語のスピーキング力がかなり伸びたなと思いました。それは思ってはいなかった恩恵かな。
お二人はいつ頃から数学が好き、あるいは、得意だと感じましたか?
古屋:公文には行っていました。公文は自分で進めていくスタイルですが、「人より少し進んでいるかな。」という感じはありました。また算数オリンピックを受けて「自分は得意なのかな。」と若干心の中で思ったりしていました。ただ、その時は算数でしたし、中学に入ってからしばらくは数学が得意という意識はありませんでしたね。でも、数学オリンピックの合宿に初めて選ばれたことで、「自分は選ばれたんだ!」と図に乗って(笑)選ばれたんだからきっと実力があるんだろうと、そのあたりから前に進んでいったという感じでした。
北村:最初に算数オリンピックの大会に参加したのが小3の時で、その時は得意かどうかは分かりませんでしたが、「好きだな。」とは思っていて、その後も好きな算数を続けていきました。中学に入ってから数学は「まあ得意なほうかな?」くらいには思いましたが、数学オリンピックの日本代表なんかは手が届かないものだと漠然と思っていました。なので、初めて選ばれたときは「あれっ、なれちゃったの。」みたいな。嬉しいけれど自分でも意外に感じました。
古屋:小学生の頃、数学オリンピックがテレビや新聞に取り上げられた時、算数小僧だった私に母が「出てみたら?」と言われ「何言ってるの?無理に決まってるでしょう。」と軽く反抗した記憶があります。「さすがにそこまでは。」と思っていました。
ところで、K会はどのようにして知りましたか?
古屋:友達から知りました。中3の昼休みでしたが、彼はいつも問題を解いていました。環?イデアル? 何やってんだろうな?「その問題どこでもらってるの?」と彼に聞くと「K会だよ」と教えてくれたんです。大変興味深いものだったし、とにかく早く始めてみたかったので新年度を待たず1月から飛び込ませていただきました。途中から学ぶにはかなり難しい内容であることを承知の上で。
北村:中学の頃は他の塾で楽しみながら数学を勉強しており、高校でもそんな感じで勉強を続けたいとは思っていました。そんなとき、たまたま母が調べてきてくれたK会の夏期講習に参加してみたのです。「整数論」でした。これが物凄く楽しかった。その時は現代数学のことはよく知りませんでしたが、「この先にこういう世界が広がっているんだ。この先も受けてみたいな。」と思いました。そして、その冬「整数論2」も受けたんです。(笑)
授業の印象はいかがでしたか?
古屋:現代数学コース※から始めるのは厳しいなあ〜。 毎週これ自分にできるのかな〜?不安でした。「Galois理論」は本当に難しくて、どこから分からなくなったのかも分からなくなってしまいました。(笑)
テキストや講師についてはどう思いましたか?
北村:私が一番印象に残っているのは星野先生です。授業の内容がめちゃめちゃ分かりやすいのはもちろんでしたが、何を聞いても応えてくれる、しかも、テキストの内容をなぞるだけではなく、「こういう問題があるよ、こういう話もあるよ。」とおもしろい話を授業のたびに持って来てくださり、私の数学の勉強のモチベーションになりました。
古屋:みなさん、何も見ずに板書していて凄いな〜。(笑)自分がこんなに難しいと思っていることを、この先生は本当にスラスラと書いていく。自分一人で勉強していたら無理と思っていたかもしれませんが、目の前に完全に理解してスラスラと書いている人を見ると、「あ〜、人間ここまで行けるんだ。」と思えるところがあって、そういうのもK会に来て良かったところですね。でも、一度授業中に先生に質問をしたら、15分位、教壇で考え込んでいらっしゃったことがありました。
北村:あった、あった。
古屋:先生が考える時間はこっちも考えられるし、しかも先生よりも早く考え終えることは絶対にないので、我々にとっても良い時間だったんです(笑)
後になって分かったこと、役に立ったことはありましたか?
北村:一番直近の話ですと「多様体論」ですね。大学の春学期に他の「多様体論」の書物を使って自主ゼミを行ったんです。それを一通り終わった後にK会のテキストを見ると凄くイメージが湧きやすかった。
K会のテキストの特徴は厳密性を重視して、数学的に厳密なものをめざしている。一度吉としたものは吉とするような厳格さがある。後で読み返して「こんなことを言っていたんだ」とイメージがつかめた。かなり印象に残っています。
今でもK会のテキストは使っていますか?
古屋:「微分学」のテキストは毎回引用しています。今でも必要になる時があって引っ張り出しています。
北村:初学者には少しレベルが高いと思えるところもありますが、良いテキストです。
K会で得られたことは何でしょうか?
北村:どちらかと言うと体系的に積み上げられた知識というよりかは、いろんな数学の分野を概観できたということが一番大きかったと思います。いろいろな分野について、その概要を知っていると専門書や論文が読みやすくなったりします。それと並んで各分野の基礎的な知識がしっかり身についたというのがかなり大きかったですね。新しい分野を勉強する時にも活きてきますし。
古屋:私はもともと現代数学が好きで飛び込んだというよりは、「数学好きかな」くらいの気持ち。興味が揺れているという中で、高校生のうちに数学のおもしろさというか、「ちゃんと学問として積み上げられているよ。数学もおもしろいな。」という選択肢として心に繋ぎとめてくれたというところが嬉しく感じます。K会に入っていなかったらもしかして、数学じゃなくて、たとえば経済学のほうに進んでいたかもしれません。数学の広がりを早いうちから見せてもらえたというのが、私の中で得られたものなのかなと思います。
今通っている生徒さんにアドバイス等はありますか?
古屋:完全に理解しようとせずに、自分のいる立ち位置を俯瞰的に考えて、詰まっても嫌にならずに、逆に詰まっているところまで行ったということは、結構進んでいるというふうにポジティブにとらえて、楽しんでやっていくのが良いと思います。私は詰まったりするのが嫌でした。「なんで自分は理解できないんだろう?」でも、そんなこと考える必要はありません。先の世界を見ているところで確かに詰まるところはありますが、完全に理解しようとせずに、大学以降の視野を広げるための訓練としてとらえてもらえれば気が楽に受けられるかな。自分の反省も込めてですが…。
北村:2つあります。一つめは分からないところはどんどん先生に質問して欲しいということ。自分一人で解決しようとしたけど分からなかったことも、先生に質問したら凄く分かりやすく教えていただいた経験が、結構最後のほうになって多くあったので、それをもっと早くやっておけば良かったなという後悔も少しあります。もう一つは、授業で分からなくても、それで終わりだと思わずに、K会の本番って、授業が終わって何年か経って大学に入ってから、そこからもう一回振り返って、ちゃんと理解するという二段階あると思うので、仮に授業の時に分からなくても「分からない。もう数学やらない。」と一蹴するのではなくて、後でまた振り返るくらいの気持ちだと楽ですし、結局は深い学びに繋がるのかなと思っています。
どんな人に勧めたいですか?
北村:現代数学をまだ知らない人にこそ受けて欲しいと思います。私や古屋君のように競技数学をやっているような人に早い段階で現代数学を知ってもらって、現代数学ってめちゃめちゃ面白いんだよ、競技数学も面白いけど、学問としての数学も楽しいんだよということを早い段階で知ってもらえたらと思います。
古屋:数学オリンピックは入口としては凄く良いなと思いますね。私も数学オリンピックの対策講座だったら行こうみたいな感じだったので。その入口からどんどん世界が広がっていければ良いですよね。
カリキュラムと講師が揃っているK会はやっぱり凄いです。
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