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第3回「グローバル人材に求められる5つの柱」とは? 横山匡の留学コラム・オンライン個別相談 | 海外大進学相談センター

進学でも、留学でも、就職でも、求められる「選ばれる資質」を若いうちに意識しておきましょう!

みなさんこんにちは。河合塾グループ・海外大進学シニアアドバイザーとして海外留学を検討、希望する受講生の指導、支援をさせていただいています横山です。隔月でグローバル時代、グローバル社会に求められる人材像や海外大学の入学審査官の視点などを通じて、受講生のこれからの高校生活で意識しておいて欲しいポイントをお伝えできればと思います。第1回では 「VUCA & Global 時代を生きる人材に求められる意識と行動。高校生活における最優先テーマ」 に関して,第2回では 「Global 人材の定義とは?」 と題して、とかく一人歩きする「グローバル人材」 という言葉のエッセンスについてお伝えさせていただきました。

そして今回、第3回では前回の最後にお伝えした以下のポイントを掘り下げていこうと思います。

グローバル仕様の人材に求められるギアチェンジ

前回お伝えした「どこでも、誰とでも、自分らしく振る舞える人材」に近付くために、国内外の多様性豊かな人々との人的交流の中で起きる(起こす)化学反応から新たな価値を生んでいく人材へと進化していくには日本で生活している今の自分からいくつかの「ギアチェンジ」をしていく必要があります。そのために磨くべき資質、ギアチェンジに求められる意識と行動がいくつかありますが、今回はその中でも基礎になる5つのポイントについて整理していこうと思います。

グローバル人材に求められる5つの柱

以下に紹介するポイントはこれから国内で進学を考えている人、留学を考えている人、そして将来就職をする際にも、どの国、どの業界においても様々な選考過程で「選ばれる資質」として求められるものですので若いうちに意識しておいて欲しいと思います。

1)深いレベルでの自己理解
2)好奇心
3)コミュニケーション力
4)多様性への対応力
5)リーダーシップ

それでは一つずつ掘り下げていきましょう。

<自己理解力> Self-Awareness

このポイントは前回も紹介していますのでそこからのまとめと、さらに今回は「自己理解の3段階」についてお伝えしようと思います。前回からのまとめを先にお伝えすると、「グローバル人材を目指せ」と言われても具体的に何を、どのように目指せばよいか、イメージが沸かないという人が多いと思います。それは「グローバル」よりも「人材」のほうが曖昧になっているからです。「グローバル」はあなたという人材が行動を起こせる「範囲」です。世界を舞台に、自分はどんな人(材)になりたいのかを考えてみることがはじめの一歩になるのです。
私が個別に相談を受けるときの組み立てを自己理解の初めの一歩の例として紹介します。
1)「今の段階で自分が一番ワクワクできる(納得感の高い、充実感を感じられそうな)将来像を教えてください」
2)「なぜその将来像が明日(近未来)にはすぐに実現できないのか」
3)「足りないものはなんなのか?」(理想の未来に近づくために必要なもの ー 既に持っているもの = 足りないもの)
4)「いつまでにどうやってそれらを揃えて行こうか?」
こうして、自己理解を高め,自分に今できることを知り、これからやりたいことを思い描き、そこに近づくために足りていない武器を揃えていく。これらを一言で表しているのが 「キャリア・プランニング」 という言葉だと捉えてみてください。

自己理解力の3段階

自分を理解していく際にはまず、「なぜそれが有効なのか?」を考えてみてください。あくまで「自分」という個人の視点で感じることなのでそこにはバイアスがかかりますし、そもそも自己理解の追求を専門とするエキスパートになる必要もありません。
しかし「ある程度自分の現状を理解できたら自分の持ち物を知り、足りないものを知り、それを揃えて行くための行動を考える」ためにあると考えてください。「行動」しか明日を変えていかないので「ここまでは理解できたならこれから何をしよう?」を決めて行動を起こすためにするのが自己理解の目的ですね。その「自己理解」の整理には3段階があります。

1.自分の持ち物(資質)を知る。

これまでみなさんが行ってきたすべての行動にその「資質」は埋まっています。学生であれば学位、勉学で得た知識、出身校、部活動、ボランティア活動など。社会人であれば経験を積んだ業界、会社名、業務実績、昇進、給与、役職、専門スキル、などなど「持ち物」は様々です。大切なのはその「何をした」(What)以上に、それを「どうやって得た」(How)と「なぜそれを目指した?そしてなぜできた?」(Why)を理解することです。What は既に終わっていますので思い出にはなりますが、これから再度未来に向けて再利用できる資質はそこで発揮した How と Why に埋まっています。
例えば、英語の成績が良い生徒の場合
「英語の成績が良い」という成績表からどんな資質が掘り起こせるでしょう?
なぜ成績が良かったのか?
・英語に対する興味が強かった(好奇心)
・興味が強く持てた理由がある(原因・原体験)
・勉強に対する姿勢が強く持てた(意志の強さ)
・勉強に対する計画が立てられていた(計画性)
・立てた計画を実行できた(行動力とコミットメント)
・そしてその工程を改善、修正して精度を上げていける(結果から学ぶ成長力)
など、ちょっと考えただけでも資質の宝庫ですね。そしてこれらの持ち物はこれから英語以外の取り組みにも発揮できる武器となることを理解しておいてもらいたいと思います。「結果」は「成績が良い」ですがもっと大切なのは「なぜそうなったか」の自分の持ち物・武器を知ることです。それらはまた使えますから。

もう一つだけ例を出します。将来大学でとある部活の合宿の幹事になったとしましょう。
30人のスポーツ部の合宿だとしましょう。私が投げかける質問はこんな流れになります。
1)どうしてあなたが幹事になったの?
 ・自分から手を上げたのであれば積極性や率先性
 ・選ばれたのでれば信用・信頼性
2)何人の実行委員を中心に動いたの?
 ・周りを巻き込みチームを形成するリーダーシップ
3)時期、場所、予算、などはどう決めたの?
 ・参加者の合意を導く調整力
4)その他合宿に伴う様々な要素の準備
 ・計画立案 (いつまでに誰が何をやる?役割分担と実行計画づくり)
 ・予算作成 (交通手段の手配や割引交渉など)
 ・施設手配 (競技場の確保、研修を実施する場所の確保など)
 ・安全への配慮(行動、健康への注意事項の洗い出しや保険加入の手配など)
もうお分かりだと思いますが、「部活の合宿の幹事をやりました」の What にはざっと考えただけでもこれだけの
Why と How が埋まっています。みなさんがしてきた事を振り返りながら「今日までに揃えてきている持ち物・武器」に気づいて行く意識を持っていってもらいたいと思います。
自己理解の第1段階は「自分の持ち物を知る」ですね。

2.自分と社会の関係性を知る

THE MOST IMPORTANT PROFESSION IN THE WORLD IS ”PARENTING” The most important profession in the world is parenting. John Wooden それを「次世代支援、指導」と捉え、キャリアのベースに。

「持ち物」が理解できてきたら、次は「自分の持ち物を社会のどんなテーマに使いたいか?」を考えてみましょう。これは決して「決める」ために考えるのではなく「気づく」ために考えてみる意識で考えてみてください。例えば、それは地域の為でも、特定の産業のためでも、または社会課題の解決のためでも良いので「将来、社会にこんな影響を生む人材になりたい」を多角的に考えてみることで「自分の可能性」に気づいていくことがポイントです。例えば私の場合は、UCLA在学中に全米一と言われたバスケットボールチームのヘッドマネージャーをする機会に恵まれました。そこで出会った伝説のコーチの一言がキャリアの方向性を決めたと言っても過言ではありません。
それが「世界で最も大切な仕事とは親業である」という一言です。
今の私のさまざまな活動のベースにはこの言葉があります。最初から留学指導を目指したわけでもなく、もしかしたら縁と運と巡り合わせ次第では全く違う職業についていたかもしれませんが、何を選んだとしても「若い世代に世界を舞台に一番納得感の高い未来に気づいて、目指して、近づいてく支援・応援」という社会に対してのテーマは同じだっただろうと捉えています。20代に抽象的に立てたキャリアのモットーが
「関わった人の成功を応援する」
「関わった人たちをより多く巻き込むキャリアと人生」
の2点でした。私の場合は「職種・産業」で決めたわけではなかったということですが、それで決めてもいいですし、「社会との関係の中で何を大切にキャリアとしていくのか」 を考えていくと意外と選択肢は広く気づけるのではないかと思います。

3.自分の価値の産み方を知る

自己理解の3段目は(1)で揃えたあなたの持ちものを(2)で気づいたあなたのキャリアテーマに対して「どこで誰とどう使ってその目的を達成するのか」という実際の行動の仕方の理解ですね。日本で教育を受けると基礎力は高いものが得られます。中学2年の夏までしか日本で教育を受けていない私でも(そこでも極めて平均的な成績でしたが)その後イタリアでの中学校、カリフォルニアでの高校で学力的には大きなハンデを感じたことはなく、むしろ成績は良かったですから「吸収する学びの形」ではそこそこ高いレベルの学びを得ていたのだと振り返っています。ですから第1段階でお伝えした「持ち物」はみなさんの中で増えてきていて、揃い始めてきているという自信は持ってもらえればと考えます。

しかし、「持ち物」は武器ではありますがまだ価値を生んでいません。あなたという人材の価値は「あなたの持ち物」を「その時代に社会で価値を生む場所で使った時」に生まれます。

例えば、ウサイン・ボルトという有名な陸上選手がいました。100メートル 9.58 という世界記録保持者です。彼の持ち物は「走力」ですね。しかし、サッカー選手としての成功には至らず、決して足の速さは「万能な能力」ではありません。世界中のスポーツに興味がない人までもが見るオリンピックという場の100メートルという花形種目で、その「走力」という「武器」を世界新記録で金メダルを得るという結果に繋げたことで彼のインパクトが生まれるのですね。地元の運動会で勝ったのでは大きな価値は生まれず、足の速さは決して全てのスポーツで一流の価値を生むとは限りません。「持ち物」で価値を生むのではなく「使い方、使い道」で価値を生むのだということですね。もうひとつの例としては、日本のプロ野球では1軍登録選手の平均年棒は4300万円だそうです。アメリカのメジャーリーグでは5.5億円です。約13倍ですね。投げる球の速さが13倍になったわけでもなく、足の速さ、打った球の飛ぶ距離が13倍になるわけでもないですね。
「持ち物を、どこで誰と何のために使うか」で価値が変わる。これが「持ち物の能力化」で大切になります。
日本社会ではとかく「持ち物」が評価されがちな傾向をよく目にしますが、グローバル社会での実態は「成果に繋がった持ち物」が結果的に能力と認知されるということだと意識しておいてほしいと思います。
今回はこのシンプルな組み立てを覚えておいてほしいと思います。

XのY乗=impact!

Xは持ち物
=学力、知識、スキル、体力、人脈、財力、権限など
YはXをアウトプットに転換する方法や場所
=どこで誰と何のために持ち物からの化学反応を起こせるか?
そして、XのY乗が生むIMPACTが成果、評価につながり、信頼や給与に反映されていくという意味です。

このインパクトの産み方を理解してゆく、というのが自己理解の3段目です。私の場合は、留学指導や進路指導、アスリートのメンタリングや若い世代に対してのキャリアコーチンングなどの役割でその価値を生み出そうと日々活動しているということですね。みなさんもこれからの日々の行動の中で「発揮している、増えてきている持ち物」と「社会にどんな影響を与えたいか」、そして「どこで誰とどうやってその持ち物をそのテーマに対して発揮したいか」を考えていってもらえると気づきが広がり、深まるのではないかと感じます。

長くなりましたので「グローバル人材に求められる5本柱」の他の4つの資質にも触れておきたいと思います。

<好奇心> Curiosity

●知的好奇心 特にグローバルアジェンダ(国際的課題や話題)に対しての興味と当事者意識
●人的好奇心 出会った人に対する興味と関心
ここでは私が印象に残っているエピソードを紹介させて頂くのがわかりやすいと思います。
アメリカの東海岸の名門校を出張で訪問した際の入学審査部長とのランチでこんなやりとりがありました。
審査官が言ったのは 「好奇心(Curiosity)は全てに対してのファーストステップだと思う」という言葉でした。
それは様々なもの・人に対しての興味と当事者意識を広げ、深め、「自分ごとを増やす」ための原点だと思うと。
「知的好奇心も人的好奇心も、どれだけ自分ごととしてとらえられるか、を育てる資質ね」と言いました。

それに対して私が返した追加のコメントは、「好奇心は社会で飛び交っているチャンスという電波にどれだけ敏感に気づき、反応できるか、というアンテナを立てることだと思う。知らないものは選ばないし興味のないものには行動は起きない、ということですね。」と答え、お互いにメモし合いながらこのやりとりをその後お互いに紹介しています。
そして、1番目の自己理解力につなげるならば、みなさんに持ってほしい最大の好奇心は「自分に対する好奇心」です。
昨日までの、今日の、そしてこれからの自分に強い興味を持つ。それがすなわち自己理解力につながるのだと意識しておいてもらえればと思います。

<コミュニケーション能力>

正しい意思伝達と意思受信:伝えたいメッセージをもち、伝える意欲を持ち、それを伝えられること。
これは海外の総合型(AO)入試のメインテーマです。「自己理解」「好奇心」を整理したらこれを相手に届く形で発信できるスキル。コミュニケーションスキルは社会で求められる「対人能力」における際たる資質と言っても過言ではない重要なものです。そこには以下のようなポイントがあります。

最適な意思伝達とは最適な発信と最適な受信の組み合わせ。

a)伝える能力と理解する能力
伝える能力はここではシンプルに「語学力」としておきましょう。日本語でも英語でも、語学力で語る、または書くことでメッセージを伝えようとしますから、ある程度の語学力は必要になります。世界の舞台においてこの武器が「英語」だというのが今の時代の現実だろうと思います。

b)伝える意欲と理解する意欲
しかし、日本語を話せる人皆を「コミュニケーション能力が高い」とは評価しませんね?伝える側の「伝えたい意欲」と「興味を持って応援する気持ちで受けとる意識」の両方が大切だということはわかってもらえると思います。どんなに専門性が高い人が話していても伝える熱意や意欲を感じなかったり、聴く側にそこに対する興味がなかったりではコミュニケーションは成り立ちませんから、「伝える意欲と受け取る意欲」を大切にしていってほしいと思います。

c)伝えたいメッセージを持つ
そしてコミュニケーションスキルの3本柱の3本目は「伝えたい中身 (メッセージ)」です。
自分が伝えたいメッセージがなければ語学力があってもなにも発信しないでしょうし受信もされないですね。海外の総合型(AO)入試とはこのコミュニケーション能力の集大成というフォーマットであることを理解してもらいたいと思います。「自己理解力」が問われ、「好奇心」を問われ、そして、それを「伝える語学力、伝えたい意欲、伝えたい中身(自分の将来像)で相手(入学審査官)に届かせるコミュニケーションのテスト」という意識を持っていってもらえればわかりやすいと思います。ですからCommunicationとは「発信すること」ではなく「届かせること」ですね。意図したメッセージが届き、意図した行動が起きること。「届かなければ独り言」。これは大学のバスケットボールチームで常に私が当時言われ続けた言葉です。

<多様性への対応力>

「多様性」と言う言葉を頻繁に聞く時代になりました。私が12年来創設時から深く関わってきた HLAB という高校生向けのリベラルアーツ・サマースクールがありますが、その創設前の最初の企画書にこんな一文がありました。当時19歳の大学生のこの言葉が多様性の本質を捉えているのではないかと思い、紹介させていただきます。「多様性」というと何か特別なことに聞こえますがシンプルに言えば「違い」ですね。それは何百年前からも既にあった事です。国、性別、世代、産業、宗教、文化、などなど、「違い」はいまさら起きてきたことではないですね。「多様性の価値」は「違い」にはあらず、その違いが「枠を超えて(Beyond borders とそこでは表現されていました) 化学反応を起こすことで生まれる新たな発想や行動」こそが多様性の価値だ、とありました。まさにその通りだと実感しています。交通手段の進化、通信手段の変化で人的交流が急激に進み、多様性が「まじ合う」時代になりました。多様性への対応力がより高く求められる時代になりますが、「全てに賛同、寛容」というのも実社会では難しいので、3段階ぐらいに分けて若い世代の皆さんには多様性への対応力への意識として紹介しておこうと思います。

自分とは価値観の異なる相手との人的化学反応を起こせる意識と行動 = 多様性への対応力の3段階

a)耐久力(忍耐)
例えば自分の価値観やペースと異なる行動を起こす人に接した際の我慢。「まだ適応能力が追いついていないんだな」というような我慢ですね。これを持たないと対人関係では友達を失い、国家間では戦争にまでなりますね。ただし、自分が「しょうがないな〜」と思っているときには、相手からも似たような感情でみられている「自己理解力」も必要ですね。

b)理解
「私はそう思わないけどそれもありだよね」という自分の価値観や意見と異なる思想がそこにあるという理解。
相手を理解するということは必ずしも相手に同意し、譲るということではありません。アメリカ西海岸の有名大学の教室に貼ってあった“Feedback is Gift”という言葉が印象的ですが、異論、議論、反論などは「贈り物」である、と。違いを理解したら議論や対話でお互いの考えを深掘りし、相互理解を深めていく、という順番ですね。

c)感謝
違いに対して毎回こんなハッピーエンドばかりではないですが、「私にはない発想だった」「どういう視点でそういう発想が生まれるのだろう」という多様な場における交流から生まれる新たな気づきへの感謝、ですね。そして、それは「今日の新たな気づきや発見」がみなさんの「明日からの当たり前」に加わっていくプロセスにもなります。当たり前のレベルが上がる、自分ごとの範囲が広がる、そんな成長への燃料が多様性の中での交流にはあるという意識を持ってみてください。

<リーダーシップ>

5本柱の最後は「他人を巻き込み思いを動かす能動的行動力」です。「違いを生む」「インパクトを産む」行動力ですが、Lead-er-shipという言葉はそのまま訳せば「導く人の精神」ですね。“~ship”は「精神」ですから(sportsmanship,friendship,entrepreneurshipなど)リーダーと呼ばれるようなタイトルでもなければポジションについてくる権限でもありません。「興味のあること、自分に関係があると感じたことに対して、周りを巻き込み、行動を起こす意識と行動の癖づけ」とでも言っておきましょう。ですから、上に述べた4つの柱全てが発揮されますがそれに加えて求められるものとして「自分で考える力」があります。その代表的なものがLogical ThinkingとCritical Thinkingでしょう。私が高校生や大学生と対話するときには「私の言うことを丸呑みにするな」と伝えてから話します。私が高い専門性を持って語ることはある程度信じてもらっていいのですが、それ以外は高校生であれ大学生であれ、「自分の考えや意見をぶつけて、対話や学びを積み上げながら自分の考えの精度を上げていく」ということが大切です。
•「本当にそうかな?」
•「私はそう思うかな?」
•「今でもそうかな?」
•「その産業でもそうかな?」
•「その国でもそうかな?」
というような知識や批判的思考から生まれる新たな発想から課題を見つけ(課題定義能力)課題に取り組み、周りを巻き込み、課題解決をしていく、というような意識と行動がリーダーシップの一つの形ではないかと思います。そのスタイルは様々で、先頭に立って旗を振るスタイル、犬ぞりの操作のようにプレーヤー達に行動させ、目指す方向から脱線しないように後ろで手綱を引くような形、高いデータや理論形成から方向性を定めてしまうような、決して多くを語るわけでもないスタイル、などなど「結果を導くための参加メンバーそれぞれの最適な関わり方」を考えていけるような、「価値を生む行動(アウトプット)を導く意識と行動」の癖づけを大切にしていってほしいと思います。

最後に、
この言葉をもう一度、少し違った視点で解説して今回は終わろうと思います。

XY=impact!

今回のコラムの前半ではこの組み合わせを
X=学力、知識、スキル、体力、人脈、財力、権限などの持ち物
Y=どこで誰と何のために持ち物からの化学反応を起こせるかというXをアウトプットに転換する方法や場所
と位置付けましたが、このフォーミュラは色々な形でも応用できます。
例えば対人能力で言えば
X=自分
Y=他人
とも置き換えられます。私とあなた、私と周りの人々との対人能力(化学反応)からどんな価値を生めるのかに気付ける知識、好奇心、発想、行動力がインパクトを変えます。

例えば、留学の価値を考えてみると、X(持ち物)は確実に増えますね。知識、学位、学び方、将来の機会、などなどです。同時に、それを最も大きな価値にできる可能性は Y にあることも意識しておいてください。今回お伝えした5本柱をざっと分けると、自己理解や好奇心は資質(持ち物)である X を増やし、コミュニケーションや多様性への対応力、リーダーシップは Yを大幅に増やしていく化学反応を起こす燃料になります。留学生活では Y が飛躍的に伸びることは想像できますね。持ち物(X)の使い道が留学生活によって言語をまたぎ、国をまたぎ、人種、世代、産業、異なる常識や文化をまたぐごとで Y は3乗にも4乗にも5乗にもなります。同じ野球をやってもどこで誰とどこに対してやるかで価値が変わるということを例に出しましたが、みなさんの将来のインパクトの最大化にはこれからの生活(意識と行動)において、「持ち物とその使い方」の両方を意識していってもらえればと思います。

次回、第4回では今回お伝えしたこれらの資質を海外の大学ではどのような項目を通じて、何を期待して、何からどんな資質を読み取り、入学審査の選考をしているのかという視点で、出願時に提出する数字や書類一つ一つの役割と意図をお伝えできればと思います。

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