第1回 VUCA & Global 時代を生きる人財に求められる意識と行動とは? 横山匡の留学コラム・オンライン個別相談 | 海外大進学相談センター
「VUCA & Global時代を生きる人材に求められる意識と行動を考えて見る」「高校生活における最優先のテーマ」
みなさんこんにちは。2022年4月より河合塾グループ・海外大進学シニア・アドバイザーとして海外留学を検討、希望する中高生の指導、支援をさせていただいています横山です。これから隔月でグローバル時代、グローバル社会に求められる人材像や海外大学の入学審査官の視点などを通じて、中高生のこれからの高校生活で意識しておいて欲しいポイントをお伝えできればと思います。
まず今回は初回ですので自己紹介も兼ねて私のキャリアテーマなどからお話しできればと思います。
オートバイデザイナーだった父親の仕事の関係でちょうど50年前の1972年から中学時代をイタリア、高校・大学時代をアメリカで過ごしました。イタリアに出発する際には同級生30人以上が羽田空港まで「今生の別れ」のように見送りに来る時代でした。その後カリフォルニアの高校からUCLA(カリフォルニア大学・ロサンゼルス校)の言語学部に進学をし、UCLA在学中には、日本人としてはじめてNCAAバスケットボールチームのヘッドマネージャーに就任する機会に恵まれ、その当時の体験はNewsPicsでも3回のインタビューシリーズとして紹介されています。
卒業後に帰国しその後は、ICS国際文化教育センター(現留学ジャーナル)やザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパン(現職の前身)を経て、アゴス・ジャパンを設立し、語学指導や留学指導を中心に、世界を舞台に自己実現を目指す若い世代の人材に個々の目標実現の可能性を高めるきっかけを提供する事業の運営をテーマにしています。
私の仕事は
1) 自分の選択肢や可能性に気づかせる「気づかせ屋」
2) 「正解」を作ってく上で最も納得度の高い意思決定を導く「納得づくりのパートナー」
3) そして、定めた目標を諦めずに近づいていくために手と声が届く距離で伴走する「プロフェッショナルおせっかい」
の3本柱で成り立っています。これからの1年で普段様々な方々に伝えているメッセージのエッセンスを皆様に届けていければと思います。
では、1回目のテーマに入りましょう。
第1回 VUCA & Global時代を生きる人財に求められる意識と行動とは?
VUCAとは?求められる人財像と教育とは?
ではまず初めに「VUCAとは? その時代に求められる人財像と教育とは?」について整理してお伝えしようと思います。
VUCAは
Volatility:変動性
Uncertainty:不確実性
Complexity:複雑性
Ambiguity:曖昧性の頭文字を並べたものです。
細かなことはここでは省きますが、これまでの常識が通用しないVUCA時代においてはこれまでの常識や価値観、慣例にとらわれず「本当にそうかな?」を考え、様々な多様性を認め合える柔軟な思考を持つ人材が求められていきます。そして社会やビジネスにおける環境の変化を敏感に感じ、自分で考え行動できる人材の育成も急がれます。
正解がない時代における「個々の最適の納得作り」
シンプルに例えるなら“The Answer”の「正解がある」時代から“My Answer”「自分の判断、決断への納得」が求められる時代になっていきます。私が長年多くの若い世代の指導をする中で日本の教育を受けてきた高校生に対して感じることは「極めて高い基礎学力」とともに“My Answer”を導く練習、そしてその前段にある“My Questions”の立て方の練習不足を感じます。例えば、以下のような言葉を皆さんはどう捉えているでしょうか?
●「Global人材」とはどういう人?
第2回のコラムで紹介しますので、どんな人を指すのかを考えてみてください。
国際社会で語られることが増えているこれらのテーマを頭の片隅に置きながら、私があらゆる方々の指導やメンタリングをする際に投げかける極めてシンプルながらもとても大切な第1歩で、時に難しくもある2つの質問をまずは紹介させていただきます。
①今日現在あなたが考えられる、または想像できる「最も納得感の高い(ワクワクする)未来」
を私に語ってください。
②では、なぜその未来はすぐに実現しないのかを考えてみてください。
何が必要で、何はある程度持っているのかを把握し、故にまだ何が足りないのかを理解する。
それをこれから何年かかけて順番に揃えていくのが「キャリア・プランニング」ですね。
この単純な問いかけは、正解がない時代における「個々の最適な納得作り」の初めの一歩です。そしてその未来像は来年「進化」していて構いません。それは進化と捉え、変化を「ブレた」というマイナス思考にする必要はありません。考えて変化していくことは成長ですから「その時の最適」を考えていける思考と行動が起きれば大丈夫です。常に「今考えられるベスト」をアップデートしながら精度を上げていければ良いのです。VUCAの時代に「今決めたことがずっと最適であり続ける可能性」の方がむしろ低く感じられます。
ですので、「何を学ぶ」も大切ですが、「誰と学び」「誰と考え」「誰と何を試せる場」として、そしてプロの準備をするプロキャリアデビュー前の4~5年間としての大学生生活を考えていければと思います。
教育とEducationそれぞれの価値
日本には社会の基盤を支えるための非常に高いレベルの基礎教育があります。いわば「とてもよく考えられてバランス良く準備された定食」であり「教育=教え育てる」と言う指導者から何かを伝授される視点で展開される学習方法です。ですので、多くの国民が「与えられた課題にはある一定のレベルで結果を出せる」人材として社会デビューをします。その基礎教育のレベルの高さは海外からも高く評価される部分でもあります。
その反面、「教育」を英語に訳した際に出てくるeducationのルートになる“educe”と言う言葉の語源には「教える「育てる」と言う意味はなく、「(中から)引き出す」と言う意味が込められています。「定食」に対して「バイキング」に近いでしょうか?「自分で立って取りに行かないと誰かが運んでくれるものでもない」「多種類を少しずつ食べるも、今日の気分で何かを集中して食べるのも自由。栄養バランスもメタボ対策も自己責任」と言う感じですね。「中から引き出す」と言うのは、教師が投げ掛ける様々な科目で「興味を引き出す」、成績や成果などを導き「自信を引きだす」、仲間との交流の場から「考え方や行動に対する意欲、勇気、行動力そのものを引きだす」、なぜその人はそう考えるのだろう、そのテーマは私にどういう関係があるんだろう、などの「知的、人的好奇心を引き出す」などが考えられますね。みなさんが目指す大学という場はそういうことを仕掛けられる「場が提供される」、「学んで、考えて、行動に起こして色々試す」プロになる前の4~5年間を生きる場です。
個々の価値の出し方が求められる時代→働き方改革?/働く人改革
そして、少し先の、大学生活の後に待っているキャリア設計にも大きな変化が生まれていることへの意識も持って行ってください。コロナ渦で「海外」という言葉の意味は「海の外」ではなく、パソコンの「スクリーンの向こう側」となり、世界中の働き方が変わりました。働き方が変われば当然学び方も変わっていく必要があります。そして、世界と繋がれない人材の未来の可能性は狭いものになっていく時代になっていきます。
では、今回の締めとして、いずれ第3回目あたりで詳しくお話しする予定の「海外大学の入学審査官や人事採用担当者が求める人材像」からひとつだけ一番当たり前であり大切な人物評価の基準を予告編として少し話して今回は終わろうと思います。
留学を意識するなら今から知っておきたい評価される基本的な人材像
「高校生活における最大の評価基準とは?」
それは、、、、なんと新たな発見でもなんでもない「成績」です。
留学指導をしていると「学校のレベルの違いが反映されないのは不公平」という話もよく出てきます。しかし学校の難易度は入った時の結果であり、「学力の違い」は「統一テストで世界共通の評価軸で判断される」ことでカバーされてきます。
では、なぜ高校の「成績」が欧米の大学進学のみならず、その大学における成績においては就活にまで影響を及ぼすのかを考えてみましょう。
先に結論をお伝えすると、それは「自分が望み、機会をもらった場で結果を出すコミットメント(計画性、責任感と行動力)」が成績の持つ意味だからです。
与えられた機会をどう活かすか?これは大学生でも社会人でもアスリートでも芸能人でも皆同じです。若い人材は「場をもらうために 様々なチャレンジに取り組んでいます。場がもらえれば機能する人材は多数いるのではないかと思いもしますが多くの場合そのチャンスはなかなか貰えないことが多いというのが現実です。高校という場を得たい、大学という場で過ごしたいと思い受験に臨むのですし、キャリアスタートというステージを求めて就職活動をします。私の友人の、例えば芸能人であれば「役をもらえる」ことが最大の能力ですし、アスリートであれば「日本代表に選ばれる」を通過しないとメダリストにはなれないのです。少し乱暴な言い方ですが、試験で出した正解は翌日には誰にでも導ける答えです。受験やテストで求められているのは「求められる成果を期限までに導ける能力」であり、それは「間に合わせる計画と間に合わせる準備(行動)」の成果です。
ですから、受験やテストは「その日に成果を出す」ということが求められています。オリンピックも同じです。それは社会に出ても求められる資質ですね。
それに対して、成績はというと、
1)自分が望んで選んだ場において
2)合格をし、そこの場を得た
の2点を前提に、「求め、得た得られた場で成果を出す行動が伴ったか?」という資質を判断しています。これは専攻が変わろうと、キャリアの場であろうと、どの場においても「与えられた、または勝ち取った場を活かせる能力」として評価されます。自分が選んで、求めて、受かったのであれば「成績はある程度は出せるはず」を前提に考えられます。もちろん勉学以外に注力をしていたものがあっても不思議ではないですが、学生にとってまずは成績が一番当たり前の最初の評価基準であることは今回早めに意識しておいていただきたいと思い第1回目に追加でお伝えさせていただきました。
では第2回ではまたいくつか意識していただきたいポイントをお伝えできればと思います。それまで皆さま「今日できるベスト」を積み上げて「一番納得度の高い未来への距離」を少しずつ縮めて行ってください!