模試の予定をする 知っ得!医学部合格の処方箋 実践していますか?~実践編~ | 知っ得!医学部合格の処方箋 | 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>
気分の重い模試、実は「自分の分身」になる
模試の役割などをまとめました。適切な目標を設定し、自分のモチベーションアップのために活用しよう!
模試で自分の学力をはかる
受験生、高校生が自分の学力をはかるためには、「模試」を受験することがもっとも手っ取り早い方法です。高校でも実力テストを行うことはあるでしょうが、あくまでその順位や位置づけは高校の同学年の人の中でどうかということに限定されます。しかし、全国模試なら、全国母集団の中でどれくらいの位置にいるかがわかります。何しろ、医学科入試を考えれば、どうしても全国の中での自分の位置づけが重要になるからです。
河合塾の模試は40万人規模のものもあり、まさに全国規模のものであることは間違いありません。模試は目的によっていくつかの種類を準備していますので、医学科志望者なら必ず河合塾の模試を受験してほしいものです。
マーク模試の役割
まずは「全統マーク模試」について考えてみます。形式としてはセンター試験の配点と構成でできています。ただし、私立大でもセンター利用のことを考えると受験しても良いでしょう。
重要なポイントは、センター形式の標準的な問題を「時間内に解く」ということです。高3・卒生のセンター試験型の「全統マーク模試」や「センター試験プレテスト」では、単に「できる」だけではなく、時間内に問題を冷静に高速で処理する処理力が重要です。難問が解けるかどうかの「レベル感」ではなく、「スピード感」が重要なのです。もし処理力の訓練ができていなければ、全体として「85%以上の得点」を出すことが難しくなるに違いありません。
この「85%以上の得点」は、国公立大の医学科をめざす人にとって、全国の医学科入試のボーダーの「最低ライン以上の得点」と同義ですから、是が非でも獲得しなければならない得点なのです。
模試はその当日ではなく、その前段階の学習から準備が始まっているともいえます。ただし、模試の1週間前に「集中学習する」というようなことではなく、日常学習で必要なことを心がけておくという意味です。例えば、マーク模試で国語の大問を解く順番はどうしていますか。現代文2題、古文1題、漢文1題の順に掲載されている問題を、皆さんはどの順で解いているでしょうか。現役生はそのままで解いている人が多いようですが、高卒生はむしろ逆で、漢文や古文から解いて現代文を最後にすることが多いように思います。どの順に解くかで解答に要する「時刻表」が変わりますので、それを模試の段階でうまくいくか試してみることも必要です。
マーク型の模試は高1生では実施がなく、高2生でも3学期になってからですから、あまり早い学年から意識しなくても構いません。しかし、高3生になれば、1年を通じて意識しておく必要があります。
もしもセンター試験の本番でうまくいかず「85%以上の得点」を出せなかったら、「国公立大の出願をやめる」ことになりますから、試験のプレッシャーは小さくありません。ですから、緊張する模試の会場で時間のコントロールができるかどうかを試すとともに、プレッシャーの中で自分のメンタルコントロールができるかどうかも試してみることで、本番に備えましょう。
二次試験を想定した模試の役割
二次試験型の模試はどうでしょうか。医学科受験生はどうしても「難しい」問題にご執心のようで、そういう模試を求める人が結構多いようです。しかし、医学科入試そのものをよく見ていけば、必ずしも難問の大学ばかりではなく、標準的な問題を時間内に高得点で片づける力が必要な大学もかなりあります。
ですから、例えば河合塾の「全統記述模試」のように標準的な内容の問題で高得点(高偏差値)を出せる方が、医学科入試全体には向いているともいえます。それに、あまり難度が高くなってしまうと、答案の記述状態が「全か無か」のようになってしまい、自分の基本レベルの弱点が見えにくくなってしまいます。
また、そういった難問を解こうとする人は、日常でも基本的な課題を見いだしにくい学習傾向のことが多いので、注意しましょう。基本レベルの完璧さをいかに保持するかは、どんな大学を受験する時でも重要です。そこをないがしろにすれば、多くの医学科入試へ対応する適正が欠けるともいえるからです。
一方、京都大・大阪大・京都府立医大のようにやや難度の高い問題を出題する大学もあります。そういった大学向けには難度を上げた模試も受験が必要です。もちろん「全統記述模試」で得点できることが前提ですが、京大即応オープン、阪大即応オープン、医進模試などを受験して、自分の学力が通用するかを平行して見てみましょう。
「基本」もできて「難問」も「一定程度」を「時間内に」解くことができる状態・・・。これがそういった難関大への合格のポイントです。
模試を前向きにとらえる
河合塾のみならず、模試はどの学年でも10月から11月を中心に実施されています。現役生は高校で指定の模試があるはずですから、それを受験しなくてはなりません。ただし、模試の役割のことを考えると、高校で提供されている模試以外のものも受験する方が良いこともあります。
自分のめざす大学のこともありますので、必ず担任の先生にも確認をとり、そのうえで模試を選定していきましょう。9月くらいに受験する模試の予定を決定すれば、これからの学習スケジュールにもメリハリが出ます。乗り越えるためのハードルを適正に設定し、自分のモチベーションアップのためにこれを利用することをおすすめします。
模試の結果は「自分の分身」です。できなければできないところから、できればできたところから何をめざすべきかを考えましょう。ポイントは常に、「どうしたら」「できるように」「なるか」と前向きにとらえることです。自分の「良いところ」は認め、「直すべきところ」を直すこと・・・模試は自分を生かすために、常にプラス思考で活用することが本来の目的なのです。