河合塾グループ河合塾
学年と地域を選択
設定

学年と地域を選択すると、必要な情報がすぐに見つかる

塾生ですか?

はい
いいえ
  1. 河合塾
  2. 受験情報
  3. 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>
  4. 知っ得!医学部合格の処方箋
  5. 知っ得!医学部合格の処方箋 実践していますか?~実践編~
  6. ティーチングとコーチングの違い

ティーチングとコーチングの違い 知っ得!医学部合格の処方箋 実践していますか?~実践編~ | 知っ得!医学部合格の処方箋 | 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>

2017.3.17公開

「解答を見れば気づいた」という状況は、コーチングの欠如

学力のアウトプットは、ティーチングとコーチングを実践することによって前進させられます。

答案とは学力をうまく「アウトプット」したものである

医学科は入学してから修得すべき内容が高度な学科ですから、それに見合うレベルの学力を身につけてから入学することが必要です。ですから、何らかの形でそれに見合う力があるかどうかは入学前に見極める必要があり、高度な到達度を要求した学力試験が行われる訳です。
学力試験(=いわゆる入試)はペーパーに「アウトプット」されたものを評価する方法が主流ですから、それに見合う訓練が必要です。予備校はその力をつけさせるように訓練することが大きな仕事だといえるでしょう。
さて、もともと多くの人がはじめからいい「アウトプット」ができるわけではありません。むしろ、「できていない」人の方が多いといってもいいでしょう。それを「訓練」することでいい「アウトプット」できるようにする訳ですが、そのための第一歩としては、どのように「できていない」か自己分析することが大切です。
多くの人が自分の「できていない」状況を指して、単純に「できなかった」とか「問題が難しかった」という言い方で終わってしまいます。しかし、よく考えるとこの言い方は混沌としています。では、自分がうまく「アウトプットできない」人は、それをどのよう考えるべきでしょうか。

「アウトプットできない」ことの二つの側面

ここで、「アウトプットできない」ことに二つの側面があることを理解しておくといいでしょう。実は「アウトプットできない」状況には、内容的な違いがあるといえるからです。

一つめは「知識として知らない」ために「できない」状況です。「解法」を知らなければ解くことができないことは、多くの人が納得することでしょう。しかし、「知識が曖昧」な状況も、同じように「知識として知らない」状況とたいして変わりないといってもいいでしょう。単に「知っている」状態と「明確に知識として把握している」状況は同一ではありません。
言われてはじめて「そんなことがあったかな」程度で思いつく…この程度の状況では、知っているとはいえません。人によっては、「この問題は前にやったことあるよね」と言っても、「そうでしたっけ?」と答える人さえあります。問題の構造を見抜けていないために、小さな変化があるだけで、知っている問題と同じだと気づかないケースがあります。この場合、「やったことがある」というだけの状態ですから「知識として知らない」状態と変わりないでしょう。

「アウトプット」できないことの二つめの側面は、「知識の資源はあるがうまく引き出せない」状況です。これは「この問題では○○を使うといいだろう…」という、場面と知識資源の対応が上手くとれない状況だといえます。例えば「聞いたらできた」とか、「言われたら確かに知識に結びついた」などの状況です。これは、自分の中にある「知識の資源」がアドバイスさえあれば反応できている状況です。

自分が上手く「アウトプットできない」場合、この二つのパターンのどちらになっているのかを、各教科・科目・問題・範囲に対して、自己分析してみることが大切です。例え友人といつも一緒にいる場合でも、あくまで「他人は他人、自分は自分」だと割り切ることが大切です。これだけは個人差があります。自分を落ち着いて分析することで、対処の方法が見えるといえるでしょう。

「ティーチング」と「コーチング」

「ティーチング」とは、知識を修得するために、知らないことを教えることを指します。受験生の場合なら、自分が教えてもらう側ということです。まず「知らなかった」知識を修得することに力を注ぐ必要があります。「やったことがあることを思いつかなかった」とか、「やったことはあったがはっきりと思い出して使えなかった」というような曖昧な知識を明確にする学習もここに含んで考えます。
他方「コーチング」とは、知識の資源を上手く出す方法を学ぶことです。「言われたら思いついた」「解答を見たら気づいた」というようなことを増やしていくことを指します。当然、行き着く先は「言われなくてもできる」状態の完成です。
受験生本人として戒めておかなければならないのは、この切り分けを甘くしないことでしょう。失敗する人にありがちなことは、周りの友人がわかっているから「自分も知っているような気分になる」とか、「聞けば理解できたレベルだと思いたくなる」という、妙なプライドを持ってしまうことです。
この種のことは特に浪人生に多いように思います。知らないことは「知らない」、思いつかなかったことは「思いつかない」とはっきり自分に言い聞かせて前進しましょう。そうすれば、次は必ず上の段階に進めるはずです。できれば、アドバイスをしっかりくれるコーチをつけることが最適です。

心構えを持って前進しましょう。

高い完成度が求められる医学科受験でも、自分の冷静な分析から学習をスタートすることで伸びるべきものが伸び、改善できるようになることは学習の基本です。同じ学習時間を過ごすにしても、こういったほんの小さな気づきだけで結果が違ってくるものです。学力の「アウトプット」は、「ティーチング」と「コーチング」を実践することによってのみ前進させることができるでしょう。何となくわかっているつもりでも、なかなかそうだという確信は持てないことが多いのが学習スタンスです。今日からひとつ、実践の心構えを変えてみませんか。

さて、このお話は皆さんにとって「ティーチング」でしたか、それとも「コーチング」でしたか。