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2024.9.2公開

「大きな成果」を得るのに必要なことは、日常の生活習慣、つまり「生き方全体を見直すこと」です。

受験生の皆さんにはあえて「短期学習計画」をお勧めします。

いよいよ9月…1年の後半に差し掛かりました。ここからは心機一転、受験に向けてスパートをかけ始める受験生が多いことでしょう。そこで、今回から2回に分けて、過去記事から改めて9月スタートに必要な学習スタンスを振り返ってみます。皆さんの学習を改めてチェックしてみましょう。

学習の「はじまり」と「おわり」

一定程度の学習習慣が備わってきますと、次の問題に突き当たります。今度は逆に終われなくなってくるのです。ノリがいいのでこのままでやっていきたいと、ついつい夜更かしするようになります。しかし、学習は毎日やることですから、一日が長くても翌日の集中力が欠けるとあまりよくありません。
気をつけたいのは、惰性的な長時間学習がクセになってくると、本当はもっと短い時間でできるはずの学習を「ゆっくりやるクセ」がつき、慢性的な集中力欠如状態になることです。問題文をのんびり読み、計算速度の緩い日常学習は「生活習慣病」のようになり、最大スピードを発揮する集中力が自分に欠如していることを無自覚にさせます。
河合塾の学習時間帯調査では、成績下位の人ほど「深夜の時間」に学習することが多いという統計が出ています。これは、自分の好きなペースで学習すると学習時間が深夜に食い込むからなのではないかと思います。結果的にそれは学力アップに結びつきにくいということでしょう。
定期テストの成績程度ではそのことを自覚しにくいですが、試験時間が90分を超える模試や入試本番では明らかに結果に影響するようです。「あと5分あったらできたのに…」などという人をよく見かけますが、その5分が与えられなくても自分より成績を出せる人は、間違いなく存在するのです。
こういったのんびりした学習を避けるには、学習の「終わり時間」を自分で決め、この時間までに終わらせるという心構えで集中する必要があります。速読、最大計算力…こういった入試の基本は日常学習の心構えから出てくるものなのです。

学習計画の基本は1週間単位

受験生が「学習計画で失敗する原因」の大半は、長期すぎるスケジュールを立てることにあるようです。長期計画を立てたことがない人は「計画を実行できている自分」のみを想定して作成しがちです。ところがいざ実行してみると計画が遅れることは普通のことですし、その度に立て直す必要が出てくるものです。
それにも関わらず、中には破綻した計画を「できている」ことにしてしまう人がいます。「この計画」ができていないと自分の予定している「次の段階」に進めないという気持ちが無意識にあって、本当は学習がちゃんとできていないにも関わらず、できている…と自分が思い込もうとします。こうなってくると、学力がついていないことが模試成績に出ても、「本当は考えたらわかった」とか「うっかりミスした」などの言い訳に走り、現実を受け入れられない「現実逃避体質」に陥らないとも限りません。
私はこれまで「長期学習計画」でしくじった人をたくさん見てきましたから、受験生の皆さんにはあえて「短期学習計画」をお勧めします。具体的には「1週間の学習サイクル」を確定できればそれで構いません。月曜日は何をする日、火曜日は何をする日…という具合に曜日に役割を持たせることができれば、曜日ごとに自分が計画を実行したかどうかの自覚が生まれます。慣れれば有意義な一週間を過ごすことができるに違いありません。これなら毎週仕切り直しができるでしょう。
「先週はうまくいかなかったが、今週は頑張ってみるか」という具合です。計画の修正も手早く済むでしょう。新学年や新学期になって一通りの生活習慣が定まったところが計画作成のチャンスです。

自分からネガティブな人たちを遠ざけろ

学習を充実したものにするには、ネガティブなイメージのものは遠ざけておきたいものです。特に人間関係には注意しておきましょう。「私」にネガティブなイメージを与える人がいます。しかしそういう人は悪気があってそうしているのではないから、治ることがありません。自己都合なタイミングで話しかけてきて「私」の集中力を削ぐ人、失敗談ばかりして「アクティブに進みたい私」をネガティブな方向に引きずる人、他人の批判ばかりして「私の自己反省する謙虚さ」を奪う人、言い訳ばかりして「私の前向きな反省」を遠ざける人、不必要に自分と行動を共にして「私の学習タイミング」を狂わせる人…。
受験生は、前向きな話ができる人を友人とし、自分の「環境」にすることが大切です。人も「環境」のうち…「私」の側からそういう「環境」を避け、学習に専念できる「環境」を整えることが受験生の「自己防衛」といえるのです。

日常学習は「本気モード」で

受験生の模試結果の詳細を分析すると、得点が取れなかった人に共通していることは、答案作成時の圧倒的な「時間感覚の欠如」と「訓練の不足」であることが多いです。英文を読むスピードの遅さ、数学の計算力の弱さなど、答案作成に自分の力を出す以前に「基本的な処理力」が劣っているのです。これはケアレスミスの遠因にもなっていて、時間に余裕のない中で答案作成をしているうちに、集中度が欠けてミスを連発することにつながっています。どんなに自分の中に知識の資源があっても、それを高速処理して答案に「物理的」に「正確に」アウトプットできなくては意味がありません。
ですから、日頃の学習中から「最大の集中力」で読み、「最大の計算スピード」で日頃の学習を行うことです。日常学習で、最大集中力なら「2時間でできるはずの内容」を、「ノンビリと3時間かけてやっている」だけの自分になっていないでしょうか。時間をかけてノンビリ答案を作成していいなら、誰でもある程度のレベルまでできて当然で、制限された時間内にできるかどうかが入試なのです。
私は受験生に「カフェ勉は落ち勉」とよくいっています。自習室でイヤホンで音楽を聞きながら学習している人は「カフェ勉」をわざわざ自宅や自習室に輸入しているようなものです。何かを聞きながら学習するのと何もない無音の状態で学習するのと、どちらが集中できるかを尋ねられれば、直感的に無音の方がいいに決まっていますし、実際の効果もその方が高まります。
それなのに、わざわざ自習室で緩めの「カフェ勉」をする人は、ある種の「生活の癖」になっているのでしょう。学習効果をアップするためには、そういう生活習慣は変えなくてはなりません。「大きな成果」を得るのに必要なことは、日常の生活習慣、つまり「生き方全体を見直すこと」です。自分がこれまで当たり前にしていた「カフェ勉」をやめさえすれば、結果として「落ち勉」に繋がらなくても済むのです。
「カフェ勉」でも「できている」と言い切る集中力の欠如した「感性の無さ」は、「不合格になる受験生」に共通です。水の一滴も飲まずに「本気モード」で学習をしてきた人が受験本番で自分の隣に座った時、「カフェ勉」の人は勝てる自信があると言い切れるようには思えません。

受験生が「男女交際」すると不合格になるという「都市伝説」について

校舎を巡回していると自習室の前で立ち話をする人をたまに見かけます。多くの人は少し休憩を取れば自習室に戻るのですが、自分の学習方法に自信がない人ほど、頻繁にいろんな人に話しかけて「自分の立ち位置」を確認しないと気が済まないようです。
気づけばその類の人が廊下に残り、おしゃべり集団が発生することがよくあります。校舎内を巡回して常に同じ集団を日々注意しなければならなくなるのは、そういう「自分の立ち位置確認組」です。
「自分の立ち位置」を確かめることに執着を持ちすぎる人は、一人の集中力が切れて自習室を出ると、なぜか他の一人がついてきます…。別の一人が出ると、またもう一人が出てきます。気づけば一人ひとりの「集中力の切れめ」全てがお互いの学習の切れ目になってしまっているのですが、そんな学習で医学部に合格する集中力を確保できるはずありません。
都市伝説に「男女交際をしている人は不合格になる」というものがあります。この都市伝説…「男女」といった方が世間の食いつきがいいからそういう言い回しにしたのでしょう。ただ、ポイントは「男女」かどうかよりも、何人かでお互いに気にし合っている人たちは「学習の切れめ」をお互いに合わせて休息してしまうため、それぞれの人が持つ最大限の集中力を活かし切れなくなることなのです。
朝夕に一緒に通学したり、何につけても行動をともにすることが多くなると、お互いの集中力の切れ目ごとに休憩時間を合わせて、長々と話すこともよくあります。いきつくところ学習リズムのロスは習慣化するでしょう。
ということは、「男女」かどうかよりも、複数の人がたむろすることでそれぞれが集中力の最大効率化が欠ける環境に居続けやすい状況を、わざわざ自分たちで作り出していることが問題なのです。その先にどういう結果がまっているでしょうか。
つまり、この都市伝説自体はあながち嘘ではない…ということです。

仲間たちと「団体戦」で受験を勝ち抜く覚悟

予備校に通うメリットは、知識や演習力の習得だけでなく、目標をともにする者どうしが集まれば、モチベーションを保つことが楽になることです。しかし、そのグループのあり方がどうかで、効果は良くも悪くもなる点には注意が必要です。
予備校にご相談に来られる方の中にはよく、「上のレベルのクラスにいる方が学力は伸びやすいのではないですか」という質問をされる方がおられますが、実際には必ずしもそうとも限りません。上位のクラスにいてもさほど伸び率が大きくない人もおりましたし、下位のクラスにいる人でも驚くほど伸び率の大きい人もいました。
「上のレベルにいるから伸びるだろう」という、自分の学力伸長を「グループだのみ」にする人は、残念ながら自身を磨く努力を置き去りにしてしまいがちです。学力伸長は、あくまで自分が学習することが基本です。ということは、「グループ」は自分が「一方的に引っ張ってもらう」ためにあるのではなく、「自分も引っ張る側になる」と意識するべきです。意識を高く持ち、お互いに切磋琢磨してグループを双方の努力で保つことです。
以前、週に1回だけ集まって「問題研究」をしている生徒たちがいました。他の日はそれぞれが自分のペースで学習し、週に1回だけの研究会です。お互いに「これはよく見るパターンの問題」、「これの完答は時間内では難しいと思うがどうか」などをその時間を使って確認し合っていました。
5~6人程度のグループでしたが、結果として、彼らは全員京大か医学部に合格しています。 言葉のニュアンスからいうと「グループ」はいつも一緒にいるという「絵」を想像する方がおられるでしょう。しかし、本当に学習をしている人は、必ずしも物理的に一緒に過ごしていることを指して「グループ」だと認識しているわけではありません。つまり、グループとはモチベーションを維持し、学習レベルを高めることがメインで、物理的にほんの少しだけ共有時間があれば良いようです。物理的には浅い関係のようですが、意識の部分では人生でもっとも深い状態です。このグループのメンバーこそ、本当のわかり合える友人なのではないかと思います。

以上、『医学部受験生に求められる「心得」』の新学期スタート編をお送りしました…いかがでしたか。…次回、引き続き『医学部受験生に求められる「心得」』の「冬期学習を迎える前に」に続きます。