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2019.11.8公開

自分の個性に応じた課題を積み上げていくこと、そこを自分で悟る必要がある

自分を変えるためのエネルギーのかけ方は千差万別。しかし、行動が伴わない「やる気」は評価されないのです。学習の「ルーティーン」と「今日の風」をとらえませんか?

行動の決め時は今

自分を変えるには、非常に多くのエネルギーがかかります。「学習」や「受験」というキーワードを聞けば、「増やす」「詰める」「高める」「集中する」などの言葉を関連ワードとして連想するでしょう。しかも、このキーワードをすべて同時にこなすとしたらどうでしょう。「増やして、詰めて、高めて、集中して・・・」と自分を変えるためのエネルギーをすべて同時にかけるとなれば、それを考えるだけで憂鬱になるものです。
とはいえ、一見複雑で難しく思える手順でも、一定の習慣で行動したり、判断したりすることに慣れれば、色んな判断や行動をステレオタイプで片づけられるから楽なものです。人間が生活を惰性化したり、習慣化したりすることは、ストレスを溜めないための生物的な本能なのかもしれませんね。毎日の通勤の満員電車で、大体同じ時間帯の電車に同じような顔ぶれが、同じ車両に乗っているのは、そういう理由でしょう。変えなくても困らないのなら変える必要はありません。しかし、「今のままではダメだ」と思った時には、やはり何かを変える必要が出てきます。受験生が学習スタンスを変えるのは、やむにやまれぬそんな時期なんだと思います。
ただし、何をどれくらい変えるかは人によって違います、ほとんど何も変えなくても成績が延びる人がいる一方、相当エネルギーをかけてあれこれ変えないといけない人など、千差万別です。

かつて私のクラスにいたある女子で高卒コース(浪人)の受験生お二人・・・、共通点はお二人ともそれぞれ医学部志望の弟さんがいたことです。かなり長い間お二人とも弟さんのお話をしたことはありませんでした。実はそれぞれの弟たちは、お二人とも現役にして姉たちと同時受験だったから、ばつが悪くて黙っていたのです。しかも、それぞれの姉たちが言うのは、「弟は頭にくるほど賢い」という共通点でした。「私なんか必死で勉強して、それでもできないことがある・・・。浪人までしているのに、それでも合格できるかどうか必死ですよ。なのに、弟はほとんど勉強しているのを見たことない。でも、1回やったことはすぐにできるようになるんです」
・・・とほぼ異口同音に言うのです。
その後の経緯もお二人ともよく似ており、姉たちは努力のかいあってそれぞれ地方国立大に合格していきました。努力が実った立派な成果です。一方、彼女たちの弟は、お二人とも現役で東京大学の理科三類に合格していきました。世の中とは、そんなものなのです。兄弟姉妹さえ違いがありますから、誰しも一律にここを変えるとよい・・・というアドバイスはできません。「私には私の課題がある。できないことはあるけれども、人に誇れることもある。」自分の個性に応じた課題を積み上げていくこと、そこを自分で悟る必要があるのです。

学習のルーティーン

万人に時間は平等に与えられていますから、大切に使いたいものです。受験生として初歩のうちは、なかなか学習の集中力をすぐに高めることが難しいものですが、一定程度経験を積めばすっと高まるようになるはずです。少し前にラグビーの選手が「ルーティーン」という言葉を流行させましたが、これはもともと学習の前準備としてはよくあることでした。
学習前の「儀式」のようなもので、これをやったら学習に入る・・・というものです。多くの成功者がこれをもっていますが、なかなかこれが確立しない人は、気づけば一日が終わってしまう人生を送ります。
私はよく校舎を巡回していますが、毎年「廊下の番人」のような人に出会います。よくまぁ、毎日廊下をうろうろしているものだなぁと感心してしまいますが、そういう人はほとんどルーティーンがなく、学習に入れずに行ったり来たりして、色んな人と学習とは直接関係ない時間を過ごす日々を続けるものです。
先日、廊下である女子に声をかけました。いつもは他の生徒とよく一緒にいる子ですが、今日は珍しく一人でいるので少し話してみたのです。
「あなた、よく廊下で出会うけれどもちゃんと学習時間は確保できているの?」
「実は、なかなか集中できなくて、ようやくやろうと思う頃にはかなり夜遅くになっていて、夜中なんです・・・」
私は彼女の行く末がとても心配です。自分で自分を駆り立て、集中した状況に持っていけなくとも他人は誰も心配してくれませんし、待ってはくれません。ましてや誰かが代わってくれるはずもありません。
「いい子なんだけどなぁ・・・」
しかし、行動が伴わない「やる気」は評価されないものです。学習成果がなくては、性格が良くても医学部は合格させてはくれないのです。自分を鍛える時間には限りがあることを、彼女は体感していないのでしょう。その日暮らしで今日がだめでも明日は明日で考える・・・明日は明日の風が吹く・・・。そんなところでしょうか。

受験生はお盆の上のリンゴだ

受験生をリンゴに例えると、それを乗せたお盆は今日どこにあるかが問題です。リンゴはお盆の中を自由に転がり回れるから、自由だと思っています。別に明日でも今日でも同じことだし、自分の「運命」は好きな時に自分で決められる・・・そんなところです。
しかし、お盆を持った「手」は明日は別の場所にお盆を持っていくかもしれません。その時、リンゴはもはや同じ空間を転がることはできません。現役生だから言ってもらえていたことも、浪人生になればいちいち誰も教えてくれないことはあるものです。今日だったら添削を見てもらえる先生がいたのに、明日はいないかもしれません。お盆は日々、別の場所に動きます・・・それは「宿命」です。

受験生は「今日の風」を今日とらえること、それは今日のお盆の上を転がるリンゴです。明日も全力、今日も全力でその場所にあるお盆の上を転がり、その時に得られるものを大切にする自分に向上しましょう。そのためにも、自分なりの「ルーティーン」を編み出して、一日一日の前進を大切にできる受験生であってほしいものです。