学習計画の亡霊 知っ得!医学部合格の処方箋 意識していますか?~心がけ編~ | 知っ得!医学部合格の処方箋 | 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>
長期計画と短期計画は別物!
自分で「計画出来ること」と自分で「計画出来ないこと」がある
「長期計画」は自分では立てられない
学習計画を立てる時、いつまでに何を終わらせておこうかということを考えて立てなさい・・・という指導をよく受けるでしょう。多くの人はこれが普通のこととして、子供の頃から当たり前だと思ってきたに違いありません。しかし、医学科を志望するくらい学習レベルの高い生徒でも、これがなかなかできません。ならば、言い方は失礼ですが、一般の方ができるかと言われれば、もっと難しいに違いありません。どうしてそんなことが起こるのでしょうか?
実は、長期の学習計画が立てられるかどうかは、「場合」によるのであって、どんな計画でも「長期で立てろ」というものいいで片づけてしまうことができない理屈があるのです。
例えば、1学期に学習した教科書や問題集を夏休みのうちに「やり直しなさい」といわれれば、すでに学習すべき全体が手元に与えられているのですから、乱暴な言い方をすれば「復習する全問題数」を日数でわり算すれば事足ります。いわば、いつまでにどのページや範囲までをやっておいて、夏休み全体に学習配分して終わらせよう・・・という学習計画を立てることは可能ですね。一つひとつの科目でこれと同じように計画を立てていけば、夏休み全体の学習計画を立てることはさほど難しいことではないのです。
さてその一方、はじめて学習することが多数含まれている学期途中の学習計画を長期で立てることは可能でしょうか。多くの方は学校や予備校に通って授業を受けているのですから、これを前提に考える必要があります。多くの場合、授業計画は学習する本人が管理しているものではなく、授業を実施する側がしているはずです。ということは、それにともなって「教材の全体量」も「学習の深み」も「学習進度」も「宿題の量」なども、授業を受ける側の学習者には想定できないことが多数含まれています。
ということは、いつまでにどの範囲をどう授業で扱うかを、学習者が自分でコントロールする訳にはいきません。だとしたら、長期計画を立てること自体が不可能なのではないでしょうか。
むしろ、長期計画を立てるのは学習者本人ではなく、授業を行う教授者側の課題です。つまり、未履修の範囲の長期学習計画は、「授業ペースについていこう」という方法で、学校や予備校に預けることになるでしょう。
にも関わらず、計画は何でも長期でなければならないという脅迫観念が受験生にはあって、「長期計画立てられないのは自分の見通しが悪いからだ」と考える人が多いなら、少しかわいそうです。ある意味、触れることが出来ない亡霊を捕まえようとしているようなものですから、落ち着いて、自分で「計画出来ること」と自分で「計画出来ないこと」をよく見極め、役割分担をするのはどうでしょうか。
履修途中の学期の長期計画について、「長期計画を立てようとしても、全体像が分からないからたてられません」と生徒に宣言されれば、「そりゃそうでしょう」と私はいうでしょう。一方、夏休みの復習計画について同じことを言われれば、「そんな甘いこといっててどうすんのよ、だって全部学習した内容の復習じゃないの」と言うことになります。長期計画が立てられるかどうかが「場合」による・・・というのはそういうことです。
1週間の学習計画は必須
学期途中の長期計画は立てられないからといって、日常学習がまったく計画なしでよいわけではありません。日常の学習では、次の授業で何が行われるかを「予習」することと、行われた授業内容をチェックし、演習量を追加する「復習」の計画は立てなければならないからです。
具体的に言えば、授業の「予習」と「復習」の計画はどの日にするべきか、決めておかねばなりません。授業の「予習」と「復習」をいつするかは、1週間のポジションの中では決めるべきです。それを連続的に考えれば「一週間を1サイクルにした学習計画」は必要です。もっと分かりやすくいえば、曜日ごとに何をするかを具体的に決定しておくことが必要です。月曜日の学習、火曜日の学習・・・曜日には役割があるということです。
現役生はクラブ活動もあるでしょうから、その時間帯も折り込み、塾や予備校に行っている人は、その時間も入れたものを自分なりに立てておくことはできます。
学習計画の役割分担
学習の長期計画は、夏休みのような復習計画は別にして、学校や予備校なりの自分の所属しているところが主導権を持っており、学習する本人が「一週間を1サイクルにした学習計画」に全力を尽くす必要があるのなら、それぞれが徹底力を発揮する必要があるでしょう。
受験生の選ぶ「良い予備校」の条件には、単に合格実績や教材、講師だけではなく「ここに任せておけば大丈夫」という計画性や指導環境があるはずです。つまり、多くの人は漠然と「合格に向けて学習ペースや指導を配分していってくれる」ことを期待しているはずです。
必要な時に必要なものを与えてくれる安心感、それは遠くを見通す力のある場所にしかありません。つまり、長期の学習計画は、どこに所属して指導を受けるかでその質が決定するといえます。長期に学習を計画指導していく力のある「集団」に所属することは、大学合格のゴールにむけてのスタートです。
掴みきれない亡霊のような長期計画を実体のあるものにするのは、予備校や学校の役割です。長期計画と短期計画、予備校や学校と受験生のそれぞれで、役割分担で参りましょう。これがあるべき学習計画の神髄です。