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2018.8.13公開

受験生の17時間勝負

夏休み、学習計画をもとにフルパワーで学習時間を積み重ねている方も多いはず。夏に挽回する!と決めたあなたが、今、考えるべきこととは?

夏の学習をイメージする

多くの人は、丸一日を与えられると「使い方」に個性が出るものです。24時間中で仮に7時間睡眠するとして、17時間を何かに使えることになりますが、問題はその中でどれくらいの時間を学習に費やすことができるかが受験生としての勝負になるでしょう。
夏休み中、1日の学習時間はどれくらいが妥当なのでしょうか。これまで数千人を越える受験生の学習計画表を見た経験から結論をいうと、医学科に合格した受験生の学習計画は、「1日10時間学習」であることが大半です。
「えっ、それだけ?」もしくは「えっ、そんなに?」…。皆さんの反応はどちらでしょうか。
この学習時間にもちゃんと理屈があります。1科目を2時間程度は継続学習するとして、単純に5科目学習すれば10時間かかります。「1日10時間学習」の理屈としては合っていますね。しかも、2時間の学習ごとに休憩時間を15分入れると、合計4回ですから11時間が「学習用時間」として必要です。

学習時間とともに重要なのは集中力です。これは夏より前にどれだけ「訓練」していたかとも関係あります。自分の最大の学習効率を短時間でも維持しようと夏前に学習を継続していた人にとって、丸一日を渡されたとしても、その延長のように集中力を維持することができるでしょう。
もしその訓練ができていないと、10時間机に向かっていても、本来は8時間でできることをゆっくりと10時間かけてやるだけになってしまいかねません。集中力の訓練を抜きに「夏になってしまった」という人は、そのことを肝に銘じて集中力を高めることを意識することが重要です。
もしその心がけ抜きに「ゆっくり解くことが日常化」してしまうと、単に机に向かっている時間が長いことで、自己満足してしまうこと以上の弊害があることも、知っておいてほしいことです。スピード感や計算力が鈍り、本番で思わぬ失敗をすることにつながりかねません。

「夏に挽回する」ということ

よく「夏に挽回する」という人がいます。そういう人に限って、1日の学習時間を13~14時間ほど計画表に書き込んできますが、それはただの気合いにすぎません。現実には毎日続けることが前提ですから、たった1日だけできたところで何にもならないのです。では、本当にこれまでの学習の遅れを逆転するほど挽回することはできるのでしょうか…。
これは「挽回」という言葉にどのようなイメージを受験生が持っているかで、印象が異なるといえるでしょう。1日の学習時間のみに注目して、単純に「学習時間の積算」だけを見れば追いつけるかもしれませんね。でも、集中力がないと「かけた時間の多さ=挽回」とはなりませんから、意味がないことは先ほど述べたとおりです。

何にどう学習時間を配分するかはもっと重要です。次はそれを考えてみましょう。
例えば、あまり学力がついていない人が「大学の過去問」を延々とやった場合はどうでしょうか。基本的に入試問題は「人を育てるために出来ていない」のが実態です。ならば、10回分やったら「できない自分を10回確認する」だけではないでしょうか。
学力を構築するためには、「育てるための教材」を使った学習が必要です。参考書や問題集はそのために一定の方向性をもって出来ていますし、大学の過去問を使用する予備校の講習は、単なる過去問の寄せ集めではなく、一定の方針をもって過去問を配置して「設計してある」ことが重要です。
夏の学習は体系化された学力を作り上げることが重要ですから、「何にでも使える学力」を手に入れることです。焦って大学の過去問を自分一人で解くことに終始すれば、「学習時間の積算」ばかりが増えて、学力の「挽回」には効果なしということもありえるのです。

知識か演習か

「知識」を与えることは「ティーチ」、うまく使えない力の出し方を教える「演習」は「コーチ」と呼ばれます。多くの人はこの違いをあまり意識せずに、日常はものを学んでいます。しかし、効果のある学びのためには、その違いを自覚した「学び」が必要になるでしょう。
受験勉強でもそれは同じです。例えば「できない」という一つの言葉で表されている状態を、あえて分類してみればそのことが分かります。
習っていないから知らない、だからできない…これは「自分の努力の及ばないできなさ」ですから、「できない」ことへの罪悪感があまりありません。一方、習ったけれども曖昧で、すんなりと思い出したり、それを使って解くと思い至らないからできない、もしくはスピードが遅くて時間が間に合わない時は、「習った後に自分の努力を傾注していないことによるできなさ」だから、なんだかシュンとしてしまいそうです。
つまり「できない」にも「知識」があるかないかで決まることと、「演習」をしっかりしているかどうかで決まることがある、ということになるでしょう。それも、科目ごとに状況が異なりますから、自分の状況に併せて学習を組み立てることが大切なのです。

夏休み1日の学習時間をフルパワーで締めくくる

結論からいえば、夏の学習は毎日10時間。1日の学習は「知識を定着させること」と「演習すること」に目的を分け、最大集中力で1インターバル2時間程度で行うことが効果的です。

仮に「挽回」をしようとしている人がいるなら、それへの取り組みの際に「何か生活習慣を変える」ような決意をプラスして持つことが必要です。「ながら学習」をやめる…例えば、何かを飲みながら学習するのをやめる、集中力を高める方法をとる…例えば、学習場所を自宅から自習室に移す、時間を守りにくいことから遠ざかる…例えば、ゲームすることを1ヶ月やめる…。いろいろな生活習慣の切り替えで、時間の隙間を有効なものに転用したり、集中力を高めたりする発想が必要です。
何かを変えなければ、これまで以上を「挽回」するペースで新しいものは入りません。「自分を変える決意」なくして「挽回」は難しいでしょう。しかし、1日のうち「学習に使える時間帯を最大限に使おうという気持ち」と、それを支える「生活習慣を変える決意を持つ」こと、そして「知識か演習かを意識した学習」が入っていけば「挽回」することも不可能ではありません。

ところが中には、これまでの生活パターンはそのままで「挽回」だけしたい、という人がいます。きっと予備校はそのための「魔法」を持っているんじゃないか…と思っているようです。しかし、実際にはそんな万能薬はなく、決意を持ってフルパワーで学習をすすめる方法をとるしかないのが受験生です。
今時、映画の世界でも、奇跡だのみで楽をするストーリーは受けないに違いありません。現実の世界に立ち向かうみなさんには、奇跡だけで乗り切ることが「無理な相談」だと分かっているはずです。しかし、フルパワーの学習の後に、入試本番で「やったことのある問題」が出ることはありえます。そこまでいってようやく、それを「奇跡」と呼ぶのかもしれませんね。やはり、「奇跡」はフルパワーの向こう側にしかないようです。