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2023.12.8更新

いよいよ私大医学部出願校決定の時期。出願校決定に必要な事とは。

私立大医学科合格者の平均成績

いよいよ12月になり、出願大学決定の時期になりました。国公立大の出願先は「共通テスト」の得点状況によって変わる可能性がありますが、私立大はここで受験スケジュールを決定する必要があります。12月は受験生にとって「受験大学決定を宣言する月」だといえるでしょう。そこで、今回は私立大医学部合格者の成績をもう少し詳しく見ていくことにしましょう。

さて、下の<表1>を見てください。これは先月の「医の知の森」の原稿で触れた「2024年度私立大予想ランク」です。

<表1>

<表1>予想ランク偏差値の表 <表1>予想ランク偏差値の表

河合塾は「ランク」を「国公立大二次試験」や「私立大一般型選抜」での「合格可能性」を示す指標として「偏差値」で設定しています。また「ランクの定義」は「合格可能性100%」ではなく、「この偏差値で受験した場合に合格の可能性が50%である」ということを指しています。模試ではちょうど「C」判定が出る成績です。効果的な集計を算出するため、「ランク偏差値」の刻みは60.0以上~62.5未満、62.5以上~65.0未満、65.0以上~67.5未満…というように「2.5」ごとの大枠で示します。
ちょっと困るのは中間的なニュアンスを出すことができない点です。例えば実際の合格者成績が「65.0の大学」と「67.4の大学」の2つが同じ「65.0以上~67.5未満」の区分に分類されるようなことがおこります。ただし、これはどんな指標を使っても同じようなことになってしまいますから、あくまで思い切って中間的なニュアンスをカットする表現方法にしているのだ…と考えてください。
もちろん、ある大学をどのランク区分に分類するかで受験生からの見え方は大きく変わります。この決定が重要であることはランク設定の担当者も同じことで、医学部のランクを1ランク分上下させることは、かなりプレッシャーが高く、相当のデータ的なエビデンスと判断がなければなかなかできません。

そこで、もう少し現実の中間的なニュアンスが出そうなデータを見てみましょう。下の<表2>は河合塾のいくつかの模試結果を総合し、実際の私立大の医学科合格者の平均偏差値がどれくらいだったか集計したものです。あえて大きく3つのレベルに分類してみましたが、皆さんの「想定している難しさの順番」と「表の並び順」は一致していますか?これが一致していないなら、受験大学の決定前にそこから感覚を修正しておく必要があるでしょう。

<表2>

<表2>私立大医学科合格者の平均偏差値の表 <表2>私立大医学科合格者の平均偏差値の表

実際、合格者の学力はこの3つの分類ごとに全く違ったものになります。<グラフ1>を参照してください。これは上記の3つの区分の合格者をまとめて学力分布を描いたグラフです。グラフごとの頂点の位置、下位の成績の合格人数が全く違うことがはっきりと出ています。
ここからいえることは、大学のレベルをある程度織り交ぜて受験スケジュールを作成していくことは、一般の学部だけでなく医学部受験でも有効だということでしょう。

<グラフ1>

<グラフ1>私立大医学科合格者 レベル別分布のグラフ <グラフ1>私立大医学科合格者 レベル別分布のグラフ

これを具体的な大学で見るために<グラフ2>に、それぞれの区分から1大学を代表的に抽出して比較グラフを作成してみました。

<グラフ2>

<グラフ2>私立大医学科合格者 大学別分布のグラフ <グラフ2>私立大医学科合格者 大学別分布のグラフ

具体的な大学名に置き換わると、<表2>の大学群のそれぞれからどのような大学に出願すべきか検討することの重要性が見えてくるのではないでしょうか。

大学によって「どの科目の成績が必要か」に特徴がある

ここまで「総合成績のレベル」でお示ししてきましたが、実際には大学によって「どの科目の成績が高いか」には違いがあります。今回はそれを統計的に示してみました。具体的には、2023年の入試(前年)において、果たしてどの科目の成績がどんな成績の受験生が合格しているのかのグラフを作成しましたので、それを参考にしてください。
河合塾には全国で25万人以上受験する模試があります。合格した受験生、不合格になった受験生のいずれも前年には河合塾の模試を受験していることが多いので、それをベースに大学ごとに「合格者の成績状況」を示したものが以下の<グラフ3>~<グラフ5>です。

<グラフ3>

<グラフ3>大学によって「どの科目の成績が必要か」を表したグラフ <グラフ3>大学によって「どの科目の成績が必要か」を表したグラフ

<グラフ4>

<グラフ4>大学によって「どの科目の成績が必要か」を表したグラフ <グラフ4>大学によって「どの科目の成績が必要か」を表したグラフ

<グラフ5>

<グラフ5>大学によって「どの科目の成績が必要か」を表したグラフ <グラフ5>大学によって「どの科目の成績が必要か」を表したグラフ

上記のグラフはグラフの高さが合格者の「偏差値」の高さを示していますから、「棒が長ければ成績が高い」ことを示しています。また、グラフの大学名の並びは、「左から総合成績の高い順番」に並んでいます。全体として上位の大学では「数学・理科」のグラフが高く、下位の大学では「英語」のグラフがやや高い傾向があることがわかります。
さて、皆さんの頭の中にあるニュアンスは今回のデータ的エビデンスと一致したでしょうか?データはあくまで参考に過ぎないものとはいえ、今月の「出願大学決定面談」の際には、ぜひ参考にしつつ、最適な受験大学決定を目指していただきたいところです。

出願まで残された日数はあとわずかです。ただし、多くの受験生に知っておいてほしいことは、「大切なことはじっくりと時間をかけて考えられる」と勘違いしないことです。大切なことであっても短期間で集中的に考え、判断し、決断を下す必要がある場合は非常に多いものです。出願大学の決定は、まさにそれだといえます。
面談前の数日で自分の得意科目がどうなのか、今後の学習計画をどう立てて苦手科目を克服するか、それを見越して受験スケジュールを立てるなら、自分の出願すべき大学はどうあるべきか…。色々な判断を合わせ、最適な自分の受験スケジュールを完成させるには、受験生は「学習する」だけではなく「受験のマネジメント」をする力が必要です。受験生たるもの、自己マネジメントができることは当然求められる力だといえるでしょう。

受験生の皆さん、あと一踏ん張り、入試に向けて直前対策に余念なく取り組みましょう。皆さんならこの記事のデータを活用しながら受験大学を決定し、きっと「勝ち」を手に入れてくれるに違いありません。河合塾をうまく活用し、最後まで粘り強く学習されることを期待しています。