国公立大第一段階選抜の注意 知っ得!医学部合格の処方箋 知っていますか?~知識編~ | 知っ得!医学部合格の処方箋 | 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>
「足きり」を気にするようではまだまだ遠い!
国公立大では、センター試験による「二段階選抜」というものがあるのをご存じですか?志望校の実施状況は必ず把握しておきましょう!
国公立大第一段階選抜
国公立大では、センター試験による「二段階選抜」というものがあるのをご存じでしょうか。「二段階選抜」とは、センター試験の得点を利用し、上位から規定の人数までを「一次合格者」として受験に進ませ、それ以下の得点の出願者を「一律不合格として受験させない」ものです。この時の「合否出し」を指して「第一段階選抜」といいます。
「第一段階選抜」を通過した場合、その出願大学の受験票がきますが、そうでないと「第一段階選抜不合格」の通知がくることになります。これが通称「門前払い」といわれる状況です。こうなりますと、出願した大学を「受験すらさせてもらえない」ことになります。
受験生にとって、「第一段階選抜不合格」は非常にショックな出来事でしょう。どうせ不合格になるにしても、受験したうえで不合格ならまだしも、「門前払い」で不合格になると、心理的に大きな違いがあるものです。
では、どれくらいの成績なら「第一段階選抜」を通過できるのでしょうか。実は「第一段階選抜」は、「定員の規定倍の人数」で決定している場合と、それにさらに「規定の得点以上であること」を合わせている場合の二種類があります。「規定の得点」以上に達しているかどうかはセンター試験後の自己採点でわかりますから、むしろ志願者数が「定員の規定倍の人数」になるかどうかの方が「第一段階選抜」の「合否」に直結するといえるでしょう。
参考までに過去3年間で近畿地区の8国公立大で実施された第一段階選抜の状況を見てみましょう。
<表2>
近畿地区国公立大学 第一段階選抜実施状況
ひとつ例を挙げてみましょう。和歌山県立医科大では第一段階選抜実施は「定員の3.3倍」と規定しています。同大の前期試験定員は「一般枠」と「県民医療枠」の合計で79名、「一次合格者」は両枠の合計で262名ですから、「定員の規定倍の人数」の約3.3倍です。
ちなみに、入試では同点の人は少なくありません。「1点で人数カウントが一気にアップする」ことは多々あることも知っておきましょう。第一段階選抜の「通過ライン」は、高得点の出願者が殺到すると得点が上がることになりますが、逆に少ないと「第一段階選抜実施せず」という可能性もあります。和歌山県立医科大の2017年入試でこのラインが非常に高くなったことが、この表から読みとれます。
しかし、センター試験で得点が取れた受験生にとって、第一段階選抜実施はデメリットだけとは限らず、メリットもあります。それは第一段階選抜さえ通過すれば、出願者がどんなに多くなっても二次試験の最大倍率が限定されているということです。
先の例では和歌山県立医科大の今年の「志願倍率は4.4倍」でしたが、第一段階選抜を実施した結果、二次試験の受験資格者は最大倍率の「3.3倍」となりました。ただし、二次試験には欠席者が出ましたので、実質倍率はこれを下回っています。
とはいえ、第一段階選抜ラインばかりを気にしているわけにはいきません。なぜなら、その大学の本来の「合否ライン」に比較すると「第一段階選抜ライン」は当然低めの得点になるのが明らかだからです。つまり、第一段階選抜を気にして出願を左右する状況では、本来は医学科の合否のラインとは若干遠いということができます。本来の合否ラインは、センター試験の得点率が85%前後がギリギリでしょう。現実には、これをめざした得点での出願ができるように最後の追い込みを受験生の皆さんには期待したいところです。