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センター利用のメリットデメリットを詳説!
プラスαで使えば多くのメリットがある「センター利用の私立大」。出願の可能性を検討してはいかがでしょうか。
センター利用私大の活用
各高校での冬期面談期間がいよいよ終了に近づき、多くの受験生の出願大学が決定される時期になりました。おそらく、多くの受験生はこの12月のうちに私立大の出願は決定するでしょうし、すでに出願が済んでいる大学も少なくはないでしょう。
しかし、あと一つ出願の可能性を検討しても良いのが「センター利用の私立大」です。ここでは、その可能性を見てみましょう。
ご承知のように、私立大でセンター試験の得点を利用する場合、これを「一次試験」の代わりにしますから、一般入試のようにそれぞれの大学で課している「独自試験」を受験する必要がありません。この「一次試験」に合格した者が「二次試験」の受験に進むのは一般入試と同じです。では、「私立大のセンター利用方式」のメリットとデメリットを考えてみましょう。
まず、前提となるセンター試験について見ると、平均点が60%になるように作成されていますから、これを医学科入試の「大学独自試験」の代わりに使用すれば、一次試験突破に高得点が必要なことはいうまでもないでしょう。実際、河合塾が行う入試結果追跡で私立大医学科の「センター利用方式」の「ボーダーライン予想」を見れば、得点率で概ね90%程度必要な場合が多いようです。
<表1>
大学名 | 募集区分名 | ボーダー 得点率 (予想) |
ランク 偏差値 |
募集人数 (今年) |
5教科型 |
---|---|---|---|---|---|
国際医療福祉 | センター | 89 | 67.5 | 15 | ○ |
獨協医科 | センター | 89 | - | 15 | |
獨協医科 | センター 栃木県枠 | 89 | - | 3 | |
埼玉医科 | センター前 | 87 | - | 10 | |
杏林 | センター | 89 | - | 25 | |
昭和 | 医セ北海道東北 | 89 | - | 2 | ○ |
昭和 | 医セ南関東 | 89 | - | 2 | ○ |
昭和 | 医セ中部 | 89 | - | 2 | ○ |
昭和 | 医セ北陸近畿中国 | 89 | - | 2 | ○ |
昭和 | 医セ四国九州沖縄 | 89 | - | 2 | ○ |
昭和 | 医セ東京 | 89 | - | 2 | ○ |
順天堂 | センター | 92 | - | 12 | ○ |
順天堂 | センター 東京枠 | 92 | 70.0 | 10 | ○ |
順天堂 | センター 新潟枠 | 92 | 70.0 | 2 | ○ |
順天堂 | センター 千葉枠 | 92 | 70.0 | 5 | ○ |
順天堂 | センター 埼玉枠 | 92 | 70.0 | 7 | ○ |
順天堂 | センター 静岡枠 | 92 | 70.0 | 5 | ○ |
順天堂 | センター 併用 | 91 | 70.0 | 24 | ○ |
帝京 | センター | 93 | 67.5 | 10 | |
東海 | センター 前 | 89 | - | 10 | |
東海 | センター 静岡地域 | 89 | - | 3 | |
東京医科 | センター | 89 | - | 15 | ○ |
愛知医科 | センター | 87 | - | 15 | |
藤田保健衛生 | センター 前 | 87 | - | 10 | ○ |
大阪医科 | センター | 91 | - | 5 | ○ |
関西医科 | センター | 91 | - | 15 | |
近畿 | センター C前 | 89 | - | 10 | |
近畿 | センター C中 | 91 | - | 3 | |
兵庫医科 | センター 前期 | 90 | - | 10 | |
産業医科 | センター | 85 | 65.0 | 85 | |
福岡 | センター Ⅰ | 87 | - | 10 |
- 前期区分のみ
そう聞くと、「定員が少なく、ボーダーラインが高めの『センター利用の私立大』は無理」と思う方が多いようです。しかし、本当にそうでしょうか。そもそも受験生が私立大の一般入試を受験する場合でも、「大学独自試験」で7割程度の得点が必要なことが多いようです。それくらいのレベルの学力がある人なら、センター試験で90%以上得点できる可能性は普通の学部志望の人より高いのではないでしょうか。
それに、もともと国公立大の医学科受験をめざしている人は、センター試験の得点で90%程度をめざしている人が多いでしょう。それならば、「センター利用の私立大」のこのボーダーラインは、もともとめざしていた得点率だということもできるでしょう。
また、大学によってはセンター試験の全科目を採点に使用していないこともあります。例えば、杏林大や東海大、近畿大などでは「英語・数学・理科」の3科目のみを合否判定に使います。また、関西医科大ではこれに現代文を加えて4教科にしたものがセンター利用方式の合否判定科目です。
上記の「英語・数学・理科」だけならば、もともと私立大志望者にとっても通常の受験科目として学習している教科です。「英語・数学・理科」に絞って高得点をめざすのならば、私立大専願の受験生でも直前の対策次第では90%以上の得点がとれる可能性も出てきます。
5教科すべてで90%以上の得点率が不可能でも、限定された科目数なら、ひょっとすると高得点を出して「一次試験を突破できる」かもしれません。受験料は一般入試に比べてやや安価に設定してあることが普通ですから、プラスαで出願しておくことも考えてはどうでしょうか。
わざわざ一次試験を受験することも必要なく、「大学独自試験」の過去問対策も不要の「センター利用の私立大入試」は、一見するといいことづくめに見えます。いいことずくめの「センター利用の私立大入試」ですが、デメリットも検討してみましょう。
実はこの「センター利用の私立大入試」は、入試結果をすべてセンター試験の結果にひもつけしていることが、逆に最大のデメリットだともいえるのです。
私立大の一般入試ではセンター試験の得点が無関係ですから、センター試験が上手くいかなくてもその結果に引きずられることがなく合否が出ます。しかし、「センター利用の私立大」ではすべてがセンター試験の結果を引きずるために、センター試験で高得点が出せなかった場合、すべての出願が「否」に結びついてしまう結末もあり得るわけです。
つまり、「センター利用の私立大」のデメリット、いわば「危険性」が出るのは一定の条件下、すなわち私立大の一般入試をまったく受験しないで、すべての私立大受験を「センター利用の私立大入試」にしてしまった場合です。これは、絶対的なセンター試験の高得点の自信がある人以外は避けるべき方法だといえるでしょう。
さて、とはいうものの「センター利用の私立大」はプラスαで使えば、多くのメリットがあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。センター試験の受験前後の日程で、多くの私立大の出願終わります。これは、多くの「センター利用の私立大」でも同様です。出願締め切りまでのあと少しの期間、出願のプラスαとして、これをご検討になられることをおすすめします。