名古屋大学×河合塾　共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第56回 理学部 イベントレポート | 体験授業・イベント

名古屋大学理学部の物理学教室は、ノーベル賞受賞者も輩出する伝統と、新しいことに挑む柔軟さをあわせ持つ、全国でも有数の物理学研究の拠点です。なかでもユニークなのは、研究室をアルファベットで呼ぶこと。私の研究室は天体物理学研究室、通称「A研」です。私の研究室では、あらゆる天体の起源である星間物質に着目し、電波や赤外線といった目には見えない波長の電磁波を駆使して、138億年にわたる宇宙の歴史の中で恒星や銀河がどのように形成・進化してきたかを解き明かそうとしています。

私たち人間を含め、動物にとって音は重要なコミュニケーション手段です。相手が発する音の意味を理解し、コミュニケーションを成立させるためには、脳で音を適切に処理することが必要です。それでは、農で音の処理はどのように行われているのでしょうか？この問いを解明するため、私はショウジョウバエを使って研究しています。ショウジョウバエはシンプルな脳を持ち、研究がしやすいためです。オスは求愛中に翅（はね）を震わせ、メスにアピールします。この時に出る「求愛歌」と呼ばれる音は、メスがオスを吟味するために重要な情報です。私は、ドーパミンに着目してメスの脳でどのように求愛歌が処理されているのかを調査しています。
（名古屋大学　理学部出身）

「平方数の逆数和は収束するか？ 収束するならどのような値になるか？」という問題を知っているでしょうか？これは18世紀を代表する数学者Eulerにより、その値の決定によって解決されました。という話は有名でご存知の方もいるかと思いますが、一方で彼が似たような無限級数を研究していたことはあまり知られていません。そのような級数は歴史上一旦忘れられるのですが、1980年代に入り不思議と数学のいろんなところに現れはじめました。そして今日に至るまで多くの研究がなされ、現在では「多重ゼータ値」と呼ばれるようになりました。私はこの多重ゼータ値という摩訶不思議な無限級数を研究しています。
（名古屋大学　理学部出身）