名古屋大学×河合塾　共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第52回 医学部 イベントレポート | 体験授業・イベント

名古屋大学脳とこころの研究センターには、MRIとMEG（脳磁図）の装置が設置されています。これらの装置を駆使して脳とこころの働きを、健常者と共に病気の方も対象にして研究を行っています。具体的には記憶、注意、感情などというこころの働きは、脳のどの領域が司っているかを研究します。また認知症、うつ病、統合失調症、自閉症など、神経精神疾患の患者さんの協力を得て、これら疾患の病態解明や診断治療法の開発も目的としています。

私は、心の病である精神疾患について研究をしています。世界の精神疾患罹患者数は約10億人で、経済的損失額も非常に大きいにも関わらず、病態は未解明で根本的治療薬も存在しません。私は、精神疾患の中でも特に統合失調症という疾患の病態を解明し、治療標的を見つけるために日々研究に取り組んでいます。現在は、妥当性の高いモデル動物の開発を行っています。さらに、脳の細胞を蛍光タンパク質で光らせ、生きた動物の脳内を特殊な顕微鏡を用いて観察したり、遺伝子発現を調べたりすることで、統合失調症の病態メカニズムの解明をめざしています。
（鳥取大学　医学部生命科学科出身）

「緩和ケア」という言葉をご存知でしょうか？緩和ケアとは、重い病気（例えば、がんや心臓の病気）を持つ人の、痛みなどの症状やこころの負担を和らげることで、治療を受けながらも、人生の最期まで自分らしく生きることを支えるためのケアです。日本の多くの医師は、それぞれの専門（○○内科・○○外科など）を持つので、主治医が「緩和ケアが必要」と判断したら、緩和ケアの専門家に紹介されるシステムです。しかし、なかなか「緩和ケアが必要そうな人」の判断が難しい現状があります。そこで私は、緩和ケアが必要になりそうな患者さんを、電子カルテにある情報から自動で予測する、AI技術を使った研究をしています。
（名古屋大学医学部保健学科（学士）、King’s College London（修士）出身）