高卒認定試験分析コメント(数学) 高卒認定試験分析コメント | 高卒認定(旧大検)お役立ち情報 | 河合塾COSMO
数学(2014年第1回 高卒認定試験)
試験概要
【出題分野・範囲】
高卒認定の試験科目「数学」は「数学I」の内容であるが、数学Iの新課程で新たに加わった分野は、「集合と論証」と「データの分析」である。今回の数学は新課程内容の初めての出題であったが、新たな分野からは、「データの分析」から20点分、「集合と論理」からは5点分、あわせて25点分出題された。残り75点分は、旧課程から変わらぬ範囲(数と式、二次関数、三角比)からの出題である。
【出題形式・傾向】
数学Iの各分野の初歩的な問題を、0から9の数字かマイナス符号を穴埋めする形式で聞き、マークシートで答えさせる。この形式は新課程でも変わっていない。しかし、決まった計算手順ですむ問題ばかりではなく、易しい問題でも聞きかたを変えたり、グラフや図から読み取らせようとする問題が出されていることは、これまでと変わりない。今回の新課程で加わった分野の問題でも、データの図から相関係数の様子について問う問題が出された。
【難易度】
教科書でいうと、本文中にはさまれる「問」や「練習」程度までの問題ばかりで、高校1年までの数学の教科書をおよそ理解できてきた人にとっては、やさしめの問題のはずである。しかし、小中学校の数学の学習で、抜けているところが多かったり、途中からわかりにくくなっている人にとっては、まず、自分に不十分な点を見つけて学びなおしてから、高認問題に取り組む必要があるだろう。
【問題量】
新課程分野が25点分出題されたが、その分、旧課程からの分野の問題が減り、全体としては小問20題で、これまでとまったく変わりない。
【総合コメント】
新課程内容に変わり、新たな分野からの出題が全体の1/4を占めたが、出題形式、難易度とも、これまでと変わりない。新課程分野のうち、「集合と論理」は5点分だけで、「データの分析」から20点分であった。2014年度2回目(11月)以降も、およそ同様の配点と予想して、準備するとよいだろう。
学習対策
旧課程からからほぼ変わらない分野から75点分、新課程から新たに登場した分野から25点分出題され、数学Iの学習内容は全体としてやや増えたと言える。特に「データの分析」は20点分、範囲からくまなく出されており、従来からの範囲、「数と式」20点「二次関数」30点「三角比」25点とほぼ同じ比重である。(残り5点分が「集合と論証」)今後もほぼ同様の配点と予想して、新しい分野「データの分析」もふくめて、教科書の本文程度の内容をしっかり理解する必要があるだろう。ただし、高卒認定の合格点は40点程度なので, まず, 確実にできるようにする分野をいくつか決めて取り組むのがよいだろう。
試験問題の構成・配点・出題テーマ
- 大問1
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【出題分野】数と式。集合と論証
【配点】15点
【出題テーマ】因数分解。分母の有理化。命題の真偽
- 大問2
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【出題分野】一次不等式
【配点】10点
【出題テーマ】一次不等式
- 大問3
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【出題分野】二次関数
【配点】15点
【出題テーマ】二次関数とそのグラフ
- 大問4
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【出題分野】二次関数
【配点】15点
【出題テーマ】二次関数。二次不等式
- 大問5
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【出題分野】三角比
【配点】25点
【出題テーマ】三角比による計算。余弦定理。三角形の面積
- 大問6
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【出題分野】データの分析
【配点】20点
【出題テーマ】代表値。四分位数。分散。相関関係
設問別分析コメント
- 第1問
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小問3で、新課程の範囲「集合と論証」から、命題の真偽の問題が出された。「集合と論証」の範囲から、もし、今後も小問1題5点分だけ出題とすると, 今回は「命題の真偽」だったが次回は別のテーマの問題となる可能性も大きい。
- 第2問
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旧課程からある1次不等式の問題は、これまで、小問2題で、1題は計算で解くだけ、他の1題は買い物計算の文章題だったが、今回もまったく変わらなかった。
- 第3問
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二次関数を、グラフとの関連で聞く小問3題で、問題の内容、形式ともこれまでどおり。
- 第4問
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小問2題は、二次関数の最大小とX軸との共有点を聞く問題。他1題は二次不等式。いずれも、これまで聞かれてきた内容ばかりである。
- 第5問
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三角比の範囲では、旧課程から「相似な図形の面積体積」などの範囲が消えたが、消えなかった範囲からは、これまでと同様の内容形式の問題が出された。小問1では、天体間の距離の比を三角比で計算させる内容で、三角比がそもそも天体計算と深く関連して発展した歴史にも注意を向けている。高卒認定の数学では、以前から、視点を広げる意味での良問も工夫されてきた。
- 第6問
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新課程範囲「データの分析」から、小問4題20点分が出題された。小問1はデータを見て、平均値と最頻値を、小問2はデータを見て四分位数を、小問3はデータを見て分散を、答えさせる問題。小問4は表から、相関関係について読み取らせる問題。どれもやさしめのことしか聞いていないが、「データの分析」からは、教科書の終わりのほうにある「分散」や「相関係数」まで出題された。
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