高卒認定試験分析コメント(生物基礎) 高卒認定試験分析コメント | 高卒認定(旧大検)お役立ち情報 | 河合塾COSMO
生物基礎(2014年第1回 高卒認定試験)
試験概要
【出題分野・範囲】
2013年度までの「生物I」が、教科全範囲から網羅的に出題したのと同様、新課程の「生物基礎」も教科全範囲から網羅的に出題している。特に新しく範囲となったり、記載内容が詳しくなったりした「生物の特徴」「遺伝子」「植生の多様性」そして「生態系とその保全」についても、満遍なくバランス良く出題されている。
【出題形式・傾向】
2013年度までの「生物I」でも、問題本文中の空欄に用語を入れる用語の選択問題はあったが、新課程の「生物基礎」ではその出題傾向がより顕著になった。
【難易度】
2013年度までの過去数年の「生物I」の難易度と大きな変化はない。教科書の本文中で扱われている基本的で基礎的内容が殆どなので、解答に迷うことはないと思われる。ただ、単なる知識題は限られているので、内容を良く理解していることが求められる。一方、本格的ではないものの、実験問題や読図問題、データ解析問題もあるので、こうした問題にてこずる受験生もいると思われるが、ゆっくり落ち着いて考えれば解けると考える。
【問題量】
各大問毎に、小問が4~6題、総小問数25題は、2013年度までの「生物I」と同じ。各小問の問題量も適切である。
【総合コメント】
「生物基礎」教科全般に渡って目配りの効いた出題で、難問奇問もなく、内容のバランスも良く、要所には読図問題やデータ解析問題もあり、よくできたセンスの良い試験だと評価できる。
学習対策
小問毎にテーマが異なる出題形式であるため、「生物基礎」の全ての範囲に渡って目を通しておく必要がある。ただ、内容は基本的で基礎的なレベルであるため、高認合格という事で言えば、教科書本文内容の学習で十分に事足りる。ただ、単語テスト的な安易な知識題は少なく、内容を良く理解しながら教科内容を習得するように心がける必要がある。
一方、本格的な実験題はないものの、それなりの読図力や、データの解析能力を見る思考問題もある。したがって高得点を狙うなら、また大学受験レベルまで視野に入れるなら、そうした読図力やデータ解析能力も付けるような学習が必要だろう。
試験問題の構成・配点・出題テーマ
- 大問1
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【出題分野】生物の特徴
【配点】20点
【出題テーマ】細胞・ATP・酵素・呼吸・共生説
- 大問2
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【出題分野】遺伝子とその働き
【配点】20点
【出題テーマ】塩基組成・ヌクレオチド構造・パフ・細胞分化と遺伝子・DNA抽出実験
- 大問3
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【出題分野】生物の体内環境
【配点】24点
【出題テーマ】体液・腎臓・脳・ホルモン・免疫
- 大問4
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【出題分野】植生の多様性と分布
【配点】20点
【出題テーマ】森林の構造・植生・遷移
- 大問5
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【出題分野】生態系とその保全
【配点】16点
【出題テーマ】CO2濃度・生物濃縮・多様性・外来生物
設問別分析コメント
- 第1問
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原核真核生物、ATP/ADPとエネルギー、酵素の構造と働き、呼吸の働き、ミトコンドリアと葉緑体の起源と、小問テーマは問題毎に異なる。問題量は多くなく、内容も基本的で基礎的なレベル。かといって単なる知識題ではなく、内容の本質を問う良い問題が多い。
- 第2問
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塩基の相補性、RNAのヌクレオチド構造、ショウジョウバエの染色体パフの意味、細胞分化と遺伝子との関係性、体細胞からのDNA抽出実験と、小問テーマは問題毎に異なる。問題量は多くなく、内容も基本的で基礎的なレベルが多い。ただ、単なる知識題は少ないために、一部の問題では難しく感じる問題もあったと思われる。
- 第3問
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血液・組織液・リンパ液の関係、腎臓/腎小体の構造と働き、血液凝固のしくみ、間脳の位置と働き、血糖量調節のしくみと、小問テーマは問題毎に異なる。問題量は多くなく、内容も基本的で基礎的なレベルが多い。基本的な情報さえ押さえておけば、容易に解けるだろう。
- 第4問
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森林の階層構造、植生の分類、初期の乾性遷移のしくみ、極相森における陽樹と陰樹の生態、バイオームの環境要因と、小問テーマは問題毎に異なる。内容も基本的で基礎的なレベルが多い。ただ、グラフ読みの出題や、問題文から図を想像させて解かせるような問題は多少難しかったと思われる。
- 第5問
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CO2濃度の経年増加要因と環境問題、PCBの生物濃縮実態、磯場生態系におけるキーストーン種、外来生物の問題点と、小問テーマは問題毎に異なる。問題量は多くなく、内容も基本的で基礎的なレベルが多い。ただ単なる知識題ではなく、与えられた数値データを計算しないと解けない問題もあり、内容を良く理解していないと難しく感じるだろう。
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