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医学部 「がん発生のしくみを知る」 名古屋大学×河合塾 共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第6回 イベントレポート | 体験授業・イベント

名古屋大学と河合塾のタッグで授業。

名古屋大学と河合塾のタッグで授業。

名大との共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第6回 医学部を、2014年10月12日河合塾 名駅キャンパス 名古屋校で開催しました。

河合塾と名古屋大学が共同で行う特別イベントとして、高校生・高卒生・保護者の方を対象に、名古屋大学医学部の教授と大学院生をお招きし、講演会や懇談会を実施しました。約110人の生徒・保護者の方が、名古屋大学の先端研究者の講演を聞き、大学での研究の奥深さや楽しさを体感できる絶好の機会となりました。

冒頭、名古屋大学松尾副総長(10月30日 次期総長候補者に決定)から、「数日前に名古屋大学関係者で6人目のノーベル賞受賞者が出て学内が一段と活気づいている。ノーベル賞受賞者の天野先生が受賞につながる発見をしたのは25歳のとき。本日の講演者の髙橋先生が世界をあっと言わせる発見をしたのも20代のとき。河合塾のこのシリーズは、若い人が世の中を変える研究に興味を持つ良い試みです。この場に来られた皆さんも名大に入学して素晴らしい研究をしてほしい。」とお話がありました。

講演内容

第1部:名大教授による最先端研究についての講演
第2部:大学院生による大学生活や研究についての講演
第3部:講演者と参加者による懇談会

日時

2014年10月12日(日)10:00~12:00

会場

名古屋校

対象

高校生・高卒生と保護者の方

がん研究の成果と最先端医療への展開

髙橋 雅英 教授 (大学院医学系研究科長・医学部長)

●第1部:がん発生のしくみを知る
 髙橋 雅英 教授 (大学院医学系研究科長・医学部長)

第1部では髙橋教授に、がん研究で明らかになってきた成果と最先端医療への展開を、ご自身のアメリカ時代からのお仕事に沿って紹介していただきました。
日本人の死因第1位はがんですが、これは高齢化とも関連しています。がん発生の要因としては、環境要因と遺伝要因があります。がんは基本的には遺伝要因で発生しますが、環境要因で遺伝子に傷がつくことでも発生します。
髙橋教授は大学院生時代にマウスの乳がんを研究されていたそうで、「マウスの乳しぼりは世界一得意」とユーモアを交えて語られました。当時がん研究は科学(サイエンス)と捉えられてはおらず、手探りの時代だったそうです。
転機は髙橋教授が大学院3年のときです。ヒトのがん細胞の遺伝子異常を見つけたワインバーグ・クーパー先生の論文が発表されました。髙橋先生はクーパー先生に何度も「留学させてほしい」と手紙を書いて訴え、何度も断られましたが、ついに大学院4年の時に了解していただいたそうです。
アメリカ時代の先生の研究テーマは、「世界で初めてがん遺伝子を検出する方法」でした。がん遺伝子の活性化要因は大きく2つ「点突然変異」「遺伝子再構成」です。先生が、がん遺伝子としてみつけた活性化融合RET遺伝子(キメラ遺伝子)は、身体づくりに大事な役割を担っていることがわかりました。
染色体や遺伝子の変異など専門的でありながら、実際の画像を見せたり身近な具体例を挙げたりするなど、わかりやすい説明をしていただき、聴衆の皆さんは大きな関心をもって聞き入っていました。
先生は、特に若い人に伝えたいこととして「新しい薬や治療薬を開発するには、長い期間の基礎研究が必要」ということを挙げられました。最後に、「ぜひ若い人に名古屋大学に入ってもらいたい」と締めくくった髙橋教授に、参加者からは大きな拍手が送られました。

大学生活や研究内容を知り、将来の幅を広げる。

●第2部:大学院生による大学生活や研究についての講演
 医学系研究科 医科学専攻神経内科学分野   本田 大祐 氏
 医学系研究科 医科学専攻神経遺伝情報学分野 長谷川 聖 氏

第2部では、名古屋大学医学部研究科所属の2名の大学院生に、キャンパスライフや現在の研究内容をテーマにお話ししていただきました。

医学系研究科 医科学専攻神経内科学分野 本田大祐 氏

医学系研究科 医科学専攻神経内科学分野 本田大祐 氏

本田さんは、神経内科の医師としてご活躍された後、研究したいと思い、大学院に入りました。今回は、現在の研究内容や、臨床医としての生活をお話してくださいました。研究内容は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんを調べていく内に、その行動から前頭側頭型認知症(FTLD)という認知症の症状が見られるということでした。また、それを追求するために、実際のマウスを使った実験動画や、原因としてあるべき所になくてはならない細胞が、核外に溜まってしまっているからだということをわかりやすく説明してくださいました。さらに地方病院で経験されている苦悩や、そこから得る知識が沢山あるため勉強になること。そして、「患者さんを、医療現場を常に念頭においているから研究が楽しい」と締めくくり、参加者は興味深く聞き入っていました。

医学系研究科 医科学専攻神経遺伝情報学分野 長谷川聖 氏

医学系研究科 医科学専攻神経遺伝情報学分野 長谷川聖 氏

長谷川さんは、まず医学部をめざした理由として「笑っている時が一番楽しいから、人を笑顔にしたい。」と話してくださいました。医学部保健学科(検査技術科学専攻)に進学した後、教養、専門、病院実習を経て、卒業後は病院で資格を生かして働く人が多い事も教えてくださり、名古屋大学は自分のやりたいことができる環境がそろっていることもあり、実験や研究が面白いと話してくださいました。
研究内容は「パーキンソン病」がテーマで、発症の原因として脳のドーパミンが足りないということ以外に、多くの患者さんが体内に細菌毒素(LPS)を多く持っていることから、細菌と病気の関係性を説明してくださいました。
現在は、研究以外にデータプログラミングのプロジェクトに加わり、色々な専門分野の人たちと意見交換をすることで様々な刺激を受けられるなど、大学院生活の充実が感じられるお話でした。
どの分野の講演も専門的で興味深く、貴重な経験談を実際の生活に絡めて語っていただいたため、医学部の世界がより理解できる講演でした。最後には温かい拍手が送られました。

専門分野をより深く、興味と経験・知識の交換会。

●第3部:講演者と参加者による懇談会

第1部、第2部の終了後、髙橋教授と大学院生2名はそれぞれのコーナーに分かれ、参加者との懇談会が行われました。

参加者との懇談会

髙橋教授の周りに集まった参加者に、「質問がある方」と声をかけると、次々と手が挙げられました。髙橋教授は1つずつ明確に質問者が理解できるよう回答されました。
「研究一本で生きていくのは難しいのか?」
→研究する上でも一定の臨床医経験は必要だと思う。患者さんを診ることで、病気の見方・モチベーションも変わってくる。その中で研究テーマを見つけていくもの。
「基礎研究を続けるのに必要なのはどういうことか。」
→忍耐力は必要。その中でも、5、6年に一回、感動できることに出会うこと。自分がびっくりするようなことを一度経験するとやめられなくなる。それが持続していく支えとなる。
「仕事と研究を両立する人はいるのか。」
→たくさんいる。大学にいることの重要なミッションは「研究をすること」であり、これはある意味教員の義務。名大のような基幹大学で皆がやっていること。

遠方から参加された方も多く、また、入試や大学の教育の話から、がん治療に関する具体的かつ専門的な質問まであり、幅広い層の方が参加されていることが伺えました。

大学院生のお二人には、参加者から「失敗や挫折の乗り越え方」「研究内容を決めた理由」「臨床と研究の両立」「受験生活での悩み」「医師をめざす心構え」など多岐にわたる質問があり、その一つひとつに実体験を交え、専門的な内容もわかりやすくお答えいただきました。
参加者と一体となった親しみやすい雰囲気の中で、第一志望合格に向けてやる気が芽生え、大変有意義な時間となりました。

参加者の感想(一部抜粋)