医進生応援プログラム「医師になるということ 第1弾」医学部進学特別講座 イベントレポート | 体験授業・イベント
医師という仕事を理解し、医師になりたいという意識を高める
2017年6月25日に河合塾麹町校(全国医進情報センター)にて、中学生、高校生とその保護者の方を対象に、医学部進学特別講演を開催しました。
第1部では、東京医科歯科大学 法医学分野教授 上村公一先生をお招きし講演会を実施。第2部では河合塾麹町校OB・OGの現役医大生によるトークライブで大学での生活や授業、実習などについて大いに語っていただきました。
100名を超えるたくさんの方にご参加いただき、医学部志望者にとって「医師になりたい」という意識を高める絶好の機会となりました。
- 日時
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2017年6月25日(日)13:00~17:00
- 会場
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河合塾 麹町校
- 対象
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中3生・高校生と保護者の方
第1部 特別講演「社会のための法医学」
上村先生からは、普段あまり耳にすることの少ない法医学の世界について非常にわかりやすくお話いただきました。
まず「法医学は、死体を扱うことが多い。3K(危険、臭い、キツイ)というイメージを持っていませんか?」という投げかけから始まりました。しかし法医学は「科学的で公正な医学的判断を下すことによって、個人の基本的人権の擁護、社会の安全、福祉の維持に寄与することを目的とする医学であり、社会の安定に貢献する」ということを強調され、続けて実際の「研究」「業務:死因究明」「キャリアパス」について具体的にお話いただきました。
法医学の研究は、法医学教室によりさまざまで、大きく分けて、「法医病理(死因の決定)」「薬物=中毒学(薬物の分析)」「血液型・DNA型(親子鑑定など)」に分かれているそうです。東京医科歯科大学法医学分野の研究の一つに、薬毒物による細胞死があります。コカインやヒ素などに代表される薬毒物とオートファジーなどの関与に注目し、日夜研究が続けられているそうです。
法医学の大きな業務は「死因究明」です。現在高齢化社会が進み死因が不明なケースが増えており、死因統計にも影響が起きているそうです。そのほかにも病死、事故死、自殺などを判断することで、保険請求が正しくなされる=社会の公平性を担保すること、そして犯罪の見逃しを防止することなどが、死因究明に求められていることです。
「犯罪の見逃し」について特に着目して説明いただきましたが、日本においては犯罪見逃し防止に向けて死因究明制度についての検討、法整備がされたのはつい最近のことで、2013年のことだそうです。そこから少しずつ解剖率が上がり、原因究明に拍車をかけているようです。
その後キャリアパスに話を移し、必要な資格として医師免許はもちろんのこと、死体解剖資格、法医認定医への合格が必要であることを説明され、さらに現在は、文部科学省では「精度の高い死因究明のための人材プロジェクト」が組まれていることをお話いただきました。
最後に、法医学の魅力を次のように語られました。「研究と実務が両立していること」「自由度が大きいこと」「社会的責任が大きいこと」「公的な仕事であること」「当直が無いこと」「希少価値がある仕事であること(認定医は日本で200人のみ)」。
これから医師をめざす受験生に向けて、大いなるエールを送られました。
第2部 河合塾卒業生・現役医大生によるトークライブ
東京医科歯科大学2年生、千葉大学2年生、東京慈恵会医科大2年生、順天堂大学3年生、杏林大学(東京都枠入学)6年生の現役医大生が参加しました。
医学部をめざしたきっかけから、各自の大学の魅力ポイント、面白い、興味深い授業などについて、またサークルやアルバイトについてまでいろいろ語ってもらいました。さまざまな学年の方に集まってもらったので、基礎教養科目から大学での実習の様子まで、リアルに語ってくれました。手術見学時の話、エイズ治療薬を研究し発見した教授との出会いの話、担任の先生がついて非常に面倒見がよく国家試験対策までしっかり行われるという話、とにかく研究が盛ん、留学も非常にしやすい環境、部活が非常に盛んな大学、などなど、興味深い話がたくさん飛び出しました。
聞いている受験生も、自分の大学生活を思い浮かべながら聞いてくれていた様子でした。
受験勉強についての苦労話も出ましたが、とにかく「医師になりたい」という強い思いを持ち続け、モチベーションを高めて努力し続けることの大切さは、皆一致したことでした。そして医学部に入ってもとにかく勉強をし続けること、その大変さはあれども非常に楽しく充実した大学生活を送ることができ、そして「なりたい医師」に向かって突き進める、という話は受験生の胸にささったことでしょう。